番外編2:都合の良い実験
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本人から聞いた話では、彼女が船に監禁されていた時にD・スマッシュしたディスクは一つだけで、その他のディスクには手も触れていなかったらしい。
「ロールシャッハのディスクだけを扱えるバイオコード、か」
「彼のディスクにだけ特異的に発動していることになるわね」
実験が終わりメンバーはリビングや自室に戻ったが、トニーとペッパーは作戦室に残り話し込んでいた。
「特異的……シングル・バイオコードってとこかな」
「スペシャル、とは言い難いわよね」
大人の会話を横で聞いていたアキラが口を挟む。
「なあ。あの仮面の奴等、どうしてこんなややこしいバイオコードを作ったんだ?」
「恐らく、ディスク利用者を自分等の良いように制限するためだろう。夢主の話によると、奴等はロールシャッハをディー・セキュアできなかったらしい」
「ロールシャッハは夢主にしか扱えないんだよな」
「ああ。実際、昨日やった実験でもそうだった」
5人の子供達にD・スマッシュ、並びにD・セキュアを試させたが、ロールシャッハのディスクは無反応を通した。
「このバイオコードの研究が進められれば、奴等が操るヴィランをせっかく倒しても回収できなくなると同時に、こちらに協力的なヒーローのディスクを奪い返したってアキラ達がディー・スマッシュできないよう制限することも可能だ」
「それってマズいんじゃあ…!」
「かなりな。全く、厄介なことをしてくれる」
アキラはようやく実感した。敵もただのバカではないと。
「まあ、今すぐそういう事態になるとは限らないだろう。夢主が持たされたバイオコードの力はロールシャッハのディスクに限定してしまっているようだし、そこは奴等の誤算だな。本物のバイオコードを一から生み出すことは出来なかった。所詮はまがい物さ。今日の実験で、それが判明した」
この男からすれば、スマートブレインなどという科学者は二流に過ぎないが。
「いくら悪党が知恵を巡らせたって、この天才トニー・スタークとお前の親父には適う筈が」
「あの、スタークさん。お話の途中で済みませんが、良いですか?」
夢主が部屋の外から覗き込むようにして彼に声をかけた。
「どうした?愛の告白なら、もっとロマンチックな場所で受け付けるが?」
「トーニーイー?」
すぐ側に居るペッパーを失念していたことが、彼の本日最大のミスである。
「学生相手に何言ってんのよ」
「よく懲りないよなぁトニー」
「そういう浮ついた態度ってどうかと思うんですが…」
「フム」
夢主が何もしなくとも、パートナーは半透明の小さな姿となって肩の上に乗っかった。
「ん?ロールシャッハ。お前、今出てきたのって…」
「ああ。貴様の態度を見るに見かねてな」
「あ~、いやーそのー、俺が聞きたいのは、自力でホログラムを出したのかってことだ!」
味方の居ないアイアンマンは何とか話題の流れを真面目な方向に転換してみせる。
「そう言や、ロールシャッハは自分のタイミングで出たり入ったりしてるよな」
「それだけじゃないんです。前にも、ロールシャッハさんのディスクが勝手に動いたりしていて…」
「ええっ?」
「何っ!?それは本当か!?」
それは、6人目の子供が1つのディスクしか扱えないことよりもずっと衝撃的な事実だった。
「ディスクが勝手に動くなんて…」
「怖ぇ~ッ!」
「まるでホラーだな」
「その溝が黒く染まっているのも気になるわよね」
「ん~、まだまだ調べる必要がありそうだ!」
「待て」
研究にやる気を出しているところをロールシャッハが低い声で制する。
「夢主」
彼は肩から手首に飛び降り、夢主と正面から向き合った。
「なんでしょうか…?」
「妙な研究とやらに付き合わされて、お前の体は平気なのか?」
ロールシャッハは唯一彼をD・スマッシュできる子供に、なるべく、彼なりに優しい言葉をかけた。本気で気にかけてくれているのか、パートナーという形式上尋ねてくれただけなのか、夢主がダウンすると自分が外に出られないから嫌で言っただけなのか。真意はそのマスクからは読み取れない。
だが、労りの言葉が嬉しいことは確かだ。
「はい、大丈夫ですよ。ありがとうございます」
「…フム」
笑顔で答えれば俯いてしまった。そう言えば、今初めて名前で呼んでもらえた。ロールシャッハの素っ気ない態度に反して夢主の表情は緩んでいく。
「おお?早速パートナーっぽくなってきたなぁ、ロールシャッハ。嫌よ嫌よも好きの内ってか~?」
無言でロールシャッハは姿を消す。夢主の肩を落とさせた無神経な男に対し、ペッパーがため息を吐いた。
「ロールシャッハのディスクだけを扱えるバイオコード、か」
「彼のディスクにだけ特異的に発動していることになるわね」
実験が終わりメンバーはリビングや自室に戻ったが、トニーとペッパーは作戦室に残り話し込んでいた。
「特異的……シングル・バイオコードってとこかな」
「スペシャル、とは言い難いわよね」
大人の会話を横で聞いていたアキラが口を挟む。
「なあ。あの仮面の奴等、どうしてこんなややこしいバイオコードを作ったんだ?」
「恐らく、ディスク利用者を自分等の良いように制限するためだろう。夢主の話によると、奴等はロールシャッハをディー・セキュアできなかったらしい」
「ロールシャッハは夢主にしか扱えないんだよな」
「ああ。実際、昨日やった実験でもそうだった」
5人の子供達にD・スマッシュ、並びにD・セキュアを試させたが、ロールシャッハのディスクは無反応を通した。
「このバイオコードの研究が進められれば、奴等が操るヴィランをせっかく倒しても回収できなくなると同時に、こちらに協力的なヒーローのディスクを奪い返したってアキラ達がディー・スマッシュできないよう制限することも可能だ」
「それってマズいんじゃあ…!」
「かなりな。全く、厄介なことをしてくれる」
アキラはようやく実感した。敵もただのバカではないと。
「まあ、今すぐそういう事態になるとは限らないだろう。夢主が持たされたバイオコードの力はロールシャッハのディスクに限定してしまっているようだし、そこは奴等の誤算だな。本物のバイオコードを一から生み出すことは出来なかった。所詮はまがい物さ。今日の実験で、それが判明した」
この男からすれば、スマートブレインなどという科学者は二流に過ぎないが。
「いくら悪党が知恵を巡らせたって、この天才トニー・スタークとお前の親父には適う筈が」
「あの、スタークさん。お話の途中で済みませんが、良いですか?」
夢主が部屋の外から覗き込むようにして彼に声をかけた。
「どうした?愛の告白なら、もっとロマンチックな場所で受け付けるが?」
「トーニーイー?」
すぐ側に居るペッパーを失念していたことが、彼の本日最大のミスである。
「学生相手に何言ってんのよ」
「よく懲りないよなぁトニー」
「そういう浮ついた態度ってどうかと思うんですが…」
「フム」
夢主が何もしなくとも、パートナーは半透明の小さな姿となって肩の上に乗っかった。
「ん?ロールシャッハ。お前、今出てきたのって…」
「ああ。貴様の態度を見るに見かねてな」
「あ~、いやーそのー、俺が聞きたいのは、自力でホログラムを出したのかってことだ!」
味方の居ないアイアンマンは何とか話題の流れを真面目な方向に転換してみせる。
「そう言や、ロールシャッハは自分のタイミングで出たり入ったりしてるよな」
「それだけじゃないんです。前にも、ロールシャッハさんのディスクが勝手に動いたりしていて…」
「ええっ?」
「何っ!?それは本当か!?」
それは、6人目の子供が1つのディスクしか扱えないことよりもずっと衝撃的な事実だった。
「ディスクが勝手に動くなんて…」
「怖ぇ~ッ!」
「まるでホラーだな」
「その溝が黒く染まっているのも気になるわよね」
「ん~、まだまだ調べる必要がありそうだ!」
「待て」
研究にやる気を出しているところをロールシャッハが低い声で制する。
「夢主」
彼は肩から手首に飛び降り、夢主と正面から向き合った。
「なんでしょうか…?」
「妙な研究とやらに付き合わされて、お前の体は平気なのか?」
ロールシャッハは唯一彼をD・スマッシュできる子供に、なるべく、彼なりに優しい言葉をかけた。本気で気にかけてくれているのか、パートナーという形式上尋ねてくれただけなのか、夢主がダウンすると自分が外に出られないから嫌で言っただけなのか。真意はそのマスクからは読み取れない。
だが、労りの言葉が嬉しいことは確かだ。
「はい、大丈夫ですよ。ありがとうございます」
「…フム」
笑顔で答えれば俯いてしまった。そう言えば、今初めて名前で呼んでもらえた。ロールシャッハの素っ気ない態度に反して夢主の表情は緩んでいく。
「おお?早速パートナーっぽくなってきたなぁ、ロールシャッハ。嫌よ嫌よも好きの内ってか~?」
無言でロールシャッハは姿を消す。夢主の肩を落とさせた無神経な男に対し、ペッパーがため息を吐いた。