番外編2:都合の良い実験
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夢主は本日初めて触った、溝まで真っ青な馴染みのないディスクを構えた。
「じゃあ、いきますね!ディー……」
そして中断した。
「どうした?」
「スタークさん。これって、裏面なぞったら英語のメッセージが聞こえるんですよね?」
「ああ、極小さな音声だがな。認証メッセージと属性の種類が分かる仕組みだ」
「何も聞こえないです…」
「何も…?」
ロールシャッハをD・スマッシュした時は電子的な声がディスクから聞こえたのを覚えている。が、今手に持っている装置は声どころか何の応答も無い。
「一応、最後までディー・スマッシュしてみたら?」
遠巻きに見ているアキラは何の気なしに言った。
「そうだな、とりあえず頼む」
「わかりました!」
しかし、その後何度か地面に叩きつけてもディスクは無反応。念のため他属性のヴィランディスクも試したが、同様に失敗に終わった。
「夢主がディー・スマッシュしたディスクはそれ以降夢主にしか扱えない。そういう話じゃなかったのか?」
「もしかして、もうロールシャッハをディー・スマッシュした時点で力を使い切っちゃってたりして」
「それだ!」
ジェシカの軽い思いつきの発言にトニーは顎から手を離す。
「じゃあこの実験は無意味?」
「……」
パートナーからの質問を受け少し考える素振りを見せた後、一つ依頼をした。
「…クリス、キャプテン・アメリカのディスクを夢主に渡してくれ」
「!」
クリスと同じくらい速くヒカルがその意図と危険性に気付いた。
「でもスタークさん、もしこれで夢主ちゃんがディー・スマッシュに成功したら…!」
「ああ。キャプテン・アメリカは夢主しかディー・スマッシュすることができなくなる」
一同は騒然としたが、
「試す価値はある」
キャプテン本人が了承した。
「心配するな。もし今後私をディー・スマッシュできる者が夢主だけになったとしても、私の一番のパートナーはクリス、君だ」
「キャップ……」
「それに、まだそうと決まった訳じゃない」
「…ああ。だよな」
「まっ、そんな心配しなくても、成功する確率はゼロに近いだろう」
「……」
夢主は嫌な汗をかいていた。
数日間ここトニー・スタークの別荘に住まわせてもらったことでわかったことがある。アベンジャーズとそのパートナーの子供達は、それぞれ強い信頼関係で結ばれている。端から見ている夢主はそんな彼等を尊敬しているし、その関係性がちょっぴり羨ましくもある。
下手をすれば、長らく絆を築いてきたであろうこのパートナー同士を引き裂いてしまうのかもしれないのだ。
だが、夢主をこれ以上無いどん底に陥れる流れはもう出来上がっていた。
「ってことでロールシャッハ、悪いがもうちょっとだけディスクの中で待っててもらえるか?」
「……」
夢主の手首に立つヒーローは返事をしない。
「ロールシャッハさん?」
「お前は何とも思わないのか」
「え?」
「他のヒーローを召還できたらそいつと組めば良い。そうしたら、俺はニューヨークへ帰れる」
「ハァ?」
トニー・スタークはその端正な顔を歪ませた。
「な、何を言って…私は、私はそんな、私のパートナーは」
「この尻軽女め」
小さなロールシャッハはそう吐き捨てると自分のディスクへ勝手に引っ込んだ。
呆れたジェシカは口の端を引きつかせる。
「尻軽って…小っさ~…」
「嫉妬よ嫉妬。カワイイじゃない……夢主?」
憧れのヒーローに嫌われてしまった。と言うより、憧れのヒーローが毛嫌いしているものに認定されてしまった。尻軽女という単語だけが脳内をぐるぐる回る。
「あ~…夢主?もしもーし?」
生粋のロールシャッハファンは顔面蒼白のままピクリとも動かない。
「気にすることないって!」
「そうだ。今は落ち込むことよりも、君のバイオコードの力を検証することを優先させるべきだ」
「よろしく頼むぞ、夢主!」
アキラはともかく、アイアンマンやキャプテン・アメリカも2人の痴話喧嘩をさほど心配していないようだ。
「は、はい…よろしくお願いします…」
「キャップまで…」
「何つーか、容赦無ぇ…」
まだ実験が始まって間もないが、対象者はある意味疲弊しきってしまった。
「じゃあ、いきますね!ディー……」
そして中断した。
「どうした?」
「スタークさん。これって、裏面なぞったら英語のメッセージが聞こえるんですよね?」
「ああ、極小さな音声だがな。認証メッセージと属性の種類が分かる仕組みだ」
「何も聞こえないです…」
「何も…?」
ロールシャッハをD・スマッシュした時は電子的な声がディスクから聞こえたのを覚えている。が、今手に持っている装置は声どころか何の応答も無い。
「一応、最後までディー・スマッシュしてみたら?」
遠巻きに見ているアキラは何の気なしに言った。
「そうだな、とりあえず頼む」
「わかりました!」
しかし、その後何度か地面に叩きつけてもディスクは無反応。念のため他属性のヴィランディスクも試したが、同様に失敗に終わった。
「夢主がディー・スマッシュしたディスクはそれ以降夢主にしか扱えない。そういう話じゃなかったのか?」
「もしかして、もうロールシャッハをディー・スマッシュした時点で力を使い切っちゃってたりして」
「それだ!」
ジェシカの軽い思いつきの発言にトニーは顎から手を離す。
「じゃあこの実験は無意味?」
「……」
パートナーからの質問を受け少し考える素振りを見せた後、一つ依頼をした。
「…クリス、キャプテン・アメリカのディスクを夢主に渡してくれ」
「!」
クリスと同じくらい速くヒカルがその意図と危険性に気付いた。
「でもスタークさん、もしこれで夢主ちゃんがディー・スマッシュに成功したら…!」
「ああ。キャプテン・アメリカは夢主しかディー・スマッシュすることができなくなる」
一同は騒然としたが、
「試す価値はある」
キャプテン本人が了承した。
「心配するな。もし今後私をディー・スマッシュできる者が夢主だけになったとしても、私の一番のパートナーはクリス、君だ」
「キャップ……」
「それに、まだそうと決まった訳じゃない」
「…ああ。だよな」
「まっ、そんな心配しなくても、成功する確率はゼロに近いだろう」
「……」
夢主は嫌な汗をかいていた。
数日間ここトニー・スタークの別荘に住まわせてもらったことでわかったことがある。アベンジャーズとそのパートナーの子供達は、それぞれ強い信頼関係で結ばれている。端から見ている夢主はそんな彼等を尊敬しているし、その関係性がちょっぴり羨ましくもある。
下手をすれば、長らく絆を築いてきたであろうこのパートナー同士を引き裂いてしまうのかもしれないのだ。
だが、夢主をこれ以上無いどん底に陥れる流れはもう出来上がっていた。
「ってことでロールシャッハ、悪いがもうちょっとだけディスクの中で待っててもらえるか?」
「……」
夢主の手首に立つヒーローは返事をしない。
「ロールシャッハさん?」
「お前は何とも思わないのか」
「え?」
「他のヒーローを召還できたらそいつと組めば良い。そうしたら、俺はニューヨークへ帰れる」
「ハァ?」
トニー・スタークはその端正な顔を歪ませた。
「な、何を言って…私は、私はそんな、私のパートナーは」
「この尻軽女め」
小さなロールシャッハはそう吐き捨てると自分のディスクへ勝手に引っ込んだ。
呆れたジェシカは口の端を引きつかせる。
「尻軽って…小っさ~…」
「嫉妬よ嫉妬。カワイイじゃない……夢主?」
憧れのヒーローに嫌われてしまった。と言うより、憧れのヒーローが毛嫌いしているものに認定されてしまった。尻軽女という単語だけが脳内をぐるぐる回る。
「あ~…夢主?もしもーし?」
生粋のロールシャッハファンは顔面蒼白のままピクリとも動かない。
「気にすることないって!」
「そうだ。今は落ち込むことよりも、君のバイオコードの力を検証することを優先させるべきだ」
「よろしく頼むぞ、夢主!」
アキラはともかく、アイアンマンやキャプテン・アメリカも2人の痴話喧嘩をさほど心配していないようだ。
「は、はい…よろしくお願いします…」
「キャップまで…」
「何つーか、容赦無ぇ…」
まだ実験が始まって間もないが、対象者はある意味疲弊しきってしまった。