ある日、夢主含め全員が閉め切られた作戦室に集合していた。呼び出したのは勿論トニー・スターク。

理由は他でもない、夢主が持つバイオコードの性能を検証するためである。

「私が、他のディスクを？」
「そう！今回は夢主がディスクを投げる番だ。よってロールシャッハ、お前にはちょっとの間、ディスクの中で待っててもらうことになる」

検証と言っても、その内容は至ってシンプル。夢主にロールシャッハ以外のディスクをＤ・スマッシュさせてみようという単純な試みである。注射器一つ出てこない簡単な手法だ。

「フム。ヴィランのディスクを使うのか」

簡単ではあるが、リスクの高いやり方でもある。

夢主の手にはヴィランの入ったファイト属性のディスクが握らされていた。召還した途端こいつが暴れ出すかもしれない。

「その点は心配無用だ。もし夢主がディー・セキュアに失敗しても俺達が抑える」

部屋の中心に立つ彼女を取り囲むようにアキラ達５人が配置に付き、いつでもＤ・スマッシュできるよう準備している。

「ここはアベンジャーズ基地のド真ん中。何より、そのヴィランは俺達に一度負けている」
「油断するな、アイアンマン」
「わかってるって」

得意げに説明するアイアンマンにソーが水を差した。ロールシャッハもまだ気掛かりなようだ。

「そもそもこれは必要な実験なのか？」

お前は天才物理学者なのだろう、他に方法はいくらでもありそうなものだが。と続けた。

「夢主の体にインストールされているバイオコードを分析したんだがな、いまいち…っつうか、なーんもわからなかった。あいつ等、どうやってこんなものを作り出したんだか…」
「そうか」

納得したのかロールシャッハは問いかけを止め、夢主を見上げて忠告した。

「危なくなったらすぐ逃げろ。良いな」

万一のことが起きても、自分はディスクの中から出られない。彼は他の子供に召還を頼めないため、この実験中は無力に等しい。

「はい、気を付けます。じゃあ…外しますね」

ディスクを操作し、一旦ロールシャッハを収める。