第六部:都合の悪い女
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和やかな雰囲気の中、アイアンマンが夢主の肩越しに目をやった。
「ん?ロールシャッハ、どこ行くんだ?」
名前を呼ばれた人物だけは、離れた位置に停められているアーチーの方へ歩いていた。その場に居る全員が向かっていた家と丁度反対方向だ。
「決まっている。ニューヨークへ帰る」
「ええ!?」
アキラ達5人が口を揃えて叫んだ。
「ガキの馴れ合いにはこれ以上付き合っていられない」
「待てロールシャッハ!パートナーの夢主はどうするのだ?」
「パートナー?」
キャプテン・アメリカがやや責めるように問いかけた。
「パートナーはナイトオウルだ」
ナイトオウルは人差し指で自分の頬をポリポリ掻く。
「俺を拘束する子供ではない」
「拘束…」
その正直すぎる言葉に夢主は力無く呟いた。ナイトオウルは頬を掻く指を止める。
「ちょっと、何てこと言うのよ!」
「またか小娘。今度は何だ」
ジェシカはロールシャッハと距離を取ったまま言いたいことを吐き出し始めた。
「貴方は認めたくないんでしょうけれどっ、夢主とはお互いに助け合った仲なんでしょ?それで十分パートナーの証になるんじゃないの!?」
「待てジェシカ」
ヒートアップする彼女を引き下がらせたのはアキラの肩に乗っているアイアンマンだった。
「確かにお前はディスクに拘束されている身だが、それは夢主のせいじゃない。ディスクを悪用した者、ロキと悪党共のせいだ。そもそも、そのディスクを開発した俺のせいでもある」
「トニー…」
マイティ・ソー始め、他のヒーローもそれぞれ夢主を弁護する。
「奴等は恐らく、バイオコードを持った夢主を狙ってくるだろう。誰かが彼女を守らなければならない」
「彼女を責めるな、ロールシャッハ。そして彼女と共に戦ってほしい。私からもお願いだ」
「パートナーは、守るものだ。投げ出すの、ヒーローじゃない」
「せっかく助け出した女の子がまた悪党に連れ去られたりでもしたら、貴方もやるせないでしょ?」
アベンジャーズの言葉にも彼は全く動じない。
「なら、貴様等がそいつを守れば良い。戦力としては既に十分だろう。殴る蹴るだけのヒーローが日本に残る必要性は感じられない。これっぽっちもな」
両腕を自分の頭の後ろに回したピーターがロールシャッハの言い分に水を差す。
「殴る蹴るだけのヒーローがニューヨークに今すぐ戻んなきゃいけない必要性も感じらんないけど?」
「貴様、またぶたれたいのか」
もう彼のビンタは御免こうむりたい。ピーターは茶々入れを止め、軽くお手上げのポーズを取りつつナイトオウルの後ろに隠れた。
「日本に居ても居なくても変わりないのなら、俺自身の意志を通させてもらう」
「これだけ言ってもまだ分からないのか?強情な奴め!夢主!あいつをディー・セキュアしろ!!」
「え!?」
「トニー!?」
アイアンマンがアキラの肩から強引な指令を出した。
「いくら何でも、それはマズいんじゃあ…」
ヒカルが落ち着かせようと間に入るが、負けず嫌いな科学者はもう聞く耳を持っていない。
「仕方無いだろ!今は奴を止めることが最優先だ!」
ロールシャッハの顔面で蠢く黒い模様はみるみる形を変えていく。
「……」
「わぁ~、めちゃくちゃ怒ってるよ!」
物知りなエドがマスクの柄を分析した訳ではない。彼始め、ここに居る全員が只ならぬ怒気を感じていた。
腕を組んだペッパーがため息混じりに指摘する。
「正直に言いなさいよトニー。貴方はロールシャッハの特殊なディスクを研究したいだけでしょ?」
「ま、まあ、それも無いとは言えないが……ってか、ロールシャッハ!お前、夢主にずーっとディー・スマッシュさせといたまま日本を出るつもりか?」
「その質問は、そっちに投げることだな」
ロールシャッハは顎で夢主を指す。
そう言えば、肝心の彼女は先程からずっと黙ったまま己の足下を見つめている。
「夢主、早くディー・セキュアを」
「出来ません」
「何…!?」
「だって……そんなこと、したくないです」
「したくないって…何呑気なこと言ってんだ!?」
あの時、アイアンマンが助けに来てくれていなかったら。来たのが空を飛べるヴィランだったら。一歩間違えれば、大好きなヒーロー様は未だに敵の手の内にあったのかもしれない。
自分も彼も、もう「拘束」されるのは御免だ。
「私、悪い人達に閉じ込められて、嫌だったから…怖かったから…」
冷たい拘束器具、強制的に浴びせられた痺れや腕に注入された謎の薬を思い出し、体が少しだけ強ばる。
「だから、無理矢理従わせることなんて…」
「気持ちは分かるけど、このまま何もしないとロールシャッハ本当にニューヨーク帰っちゃうぜ!?夢主はそれで良いのかよ!?」
「そうよ!何遠慮してんのよ!」
「遠慮なんか…」
アキラやジェシカとは対照的に、ワスプは泣く子供をなだめるように問いかけてくる。
「夢主、貴女はどうしたいの?本当はロールシャッハと一緒に居たいんじゃないの?」
「……」
勿論だ。いちファンがロールシャッハの側に居られるなんて、正に夢のような話。一緒に居たいに決まっている。
「でも…」
それがどんな形でも構わないわ!という訳ではない。
自分ばかりが満足する形で良いのか?自分の意志ばかりを尊重してしまって、果たして良いのだろうか?
彼の生活は?彼のヒーロー稼業は?
彼の意志は?
「素直な気持ち、大事。パートナーは、離れ離れにならない」
「ハルクの言う通りだよ!」
両手の握り拳を強く締め、エドまでもが夢主の本心を引き出そうとした。
「ん?ロールシャッハ、どこ行くんだ?」
名前を呼ばれた人物だけは、離れた位置に停められているアーチーの方へ歩いていた。その場に居る全員が向かっていた家と丁度反対方向だ。
「決まっている。ニューヨークへ帰る」
「ええ!?」
アキラ達5人が口を揃えて叫んだ。
「ガキの馴れ合いにはこれ以上付き合っていられない」
「待てロールシャッハ!パートナーの夢主はどうするのだ?」
「パートナー?」
キャプテン・アメリカがやや責めるように問いかけた。
「パートナーはナイトオウルだ」
ナイトオウルは人差し指で自分の頬をポリポリ掻く。
「俺を拘束する子供ではない」
「拘束…」
その正直すぎる言葉に夢主は力無く呟いた。ナイトオウルは頬を掻く指を止める。
「ちょっと、何てこと言うのよ!」
「またか小娘。今度は何だ」
ジェシカはロールシャッハと距離を取ったまま言いたいことを吐き出し始めた。
「貴方は認めたくないんでしょうけれどっ、夢主とはお互いに助け合った仲なんでしょ?それで十分パートナーの証になるんじゃないの!?」
「待てジェシカ」
ヒートアップする彼女を引き下がらせたのはアキラの肩に乗っているアイアンマンだった。
「確かにお前はディスクに拘束されている身だが、それは夢主のせいじゃない。ディスクを悪用した者、ロキと悪党共のせいだ。そもそも、そのディスクを開発した俺のせいでもある」
「トニー…」
マイティ・ソー始め、他のヒーローもそれぞれ夢主を弁護する。
「奴等は恐らく、バイオコードを持った夢主を狙ってくるだろう。誰かが彼女を守らなければならない」
「彼女を責めるな、ロールシャッハ。そして彼女と共に戦ってほしい。私からもお願いだ」
「パートナーは、守るものだ。投げ出すの、ヒーローじゃない」
「せっかく助け出した女の子がまた悪党に連れ去られたりでもしたら、貴方もやるせないでしょ?」
アベンジャーズの言葉にも彼は全く動じない。
「なら、貴様等がそいつを守れば良い。戦力としては既に十分だろう。殴る蹴るだけのヒーローが日本に残る必要性は感じられない。これっぽっちもな」
両腕を自分の頭の後ろに回したピーターがロールシャッハの言い分に水を差す。
「殴る蹴るだけのヒーローがニューヨークに今すぐ戻んなきゃいけない必要性も感じらんないけど?」
「貴様、またぶたれたいのか」
もう彼のビンタは御免こうむりたい。ピーターは茶々入れを止め、軽くお手上げのポーズを取りつつナイトオウルの後ろに隠れた。
「日本に居ても居なくても変わりないのなら、俺自身の意志を通させてもらう」
「これだけ言ってもまだ分からないのか?強情な奴め!夢主!あいつをディー・セキュアしろ!!」
「え!?」
「トニー!?」
アイアンマンがアキラの肩から強引な指令を出した。
「いくら何でも、それはマズいんじゃあ…」
ヒカルが落ち着かせようと間に入るが、負けず嫌いな科学者はもう聞く耳を持っていない。
「仕方無いだろ!今は奴を止めることが最優先だ!」
ロールシャッハの顔面で蠢く黒い模様はみるみる形を変えていく。
「……」
「わぁ~、めちゃくちゃ怒ってるよ!」
物知りなエドがマスクの柄を分析した訳ではない。彼始め、ここに居る全員が只ならぬ怒気を感じていた。
腕を組んだペッパーがため息混じりに指摘する。
「正直に言いなさいよトニー。貴方はロールシャッハの特殊なディスクを研究したいだけでしょ?」
「ま、まあ、それも無いとは言えないが……ってか、ロールシャッハ!お前、夢主にずーっとディー・スマッシュさせといたまま日本を出るつもりか?」
「その質問は、そっちに投げることだな」
ロールシャッハは顎で夢主を指す。
そう言えば、肝心の彼女は先程からずっと黙ったまま己の足下を見つめている。
「夢主、早くディー・セキュアを」
「出来ません」
「何…!?」
「だって……そんなこと、したくないです」
「したくないって…何呑気なこと言ってんだ!?」
あの時、アイアンマンが助けに来てくれていなかったら。来たのが空を飛べるヴィランだったら。一歩間違えれば、大好きなヒーロー様は未だに敵の手の内にあったのかもしれない。
自分も彼も、もう「拘束」されるのは御免だ。
「私、悪い人達に閉じ込められて、嫌だったから…怖かったから…」
冷たい拘束器具、強制的に浴びせられた痺れや腕に注入された謎の薬を思い出し、体が少しだけ強ばる。
「だから、無理矢理従わせることなんて…」
「気持ちは分かるけど、このまま何もしないとロールシャッハ本当にニューヨーク帰っちゃうぜ!?夢主はそれで良いのかよ!?」
「そうよ!何遠慮してんのよ!」
「遠慮なんか…」
アキラやジェシカとは対照的に、ワスプは泣く子供をなだめるように問いかけてくる。
「夢主、貴女はどうしたいの?本当はロールシャッハと一緒に居たいんじゃないの?」
「……」
勿論だ。いちファンがロールシャッハの側に居られるなんて、正に夢のような話。一緒に居たいに決まっている。
「でも…」
それがどんな形でも構わないわ!という訳ではない。
自分ばかりが満足する形で良いのか?自分の意志ばかりを尊重してしまって、果たして良いのだろうか?
彼の生活は?彼のヒーロー稼業は?
彼の意志は?
「素直な気持ち、大事。パートナーは、離れ離れにならない」
「ハルクの言う通りだよ!」
両手の握り拳を強く締め、エドまでもが夢主の本心を引き出そうとした。