第六部:都合の悪い女
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もう片方の飛行機の着陸音や子供達の話し声で少々賑やかな外とは対照的に、機内は妙に静まり返っていた。
「……」
「ロールシャッハさん。助けに来てくださって、本当に」
「何故だ」
目の前の男は突き刺すように夢主の言葉を遮った。
「何故あそこでディー・セキュアした」
ジェシカとアキラは2人の様子が気になり、開いたままの出入り口からそのやりとりをこっそり覗く。
「スッゲー…チャージ無しで自由にディー・スマッシュできるんだもんなぁ~」
「しっ!」
外野の存在を知ってか知らずか、ロールシャッハは極めて単調な声で尋問を続ける。
「自分が何をしたのか、わかっているのか」
「あれは……ああしないと、ロールシャッハさんが危なかったから…」
「それで死のうとしたのか」
夢主は目を伏せた。
あの時、船から海へ落ちた時。自分の死をしっかりと確信していた。だがそんなことよりも、ロールシャッハを悪党の手から救い出すことで頭が一杯だった。
軽率な行動を叱られていることは重々承知している。が、その叱っている本人を守りたかったからこそ取った行動だったのだ。
「でも……」
そうやって皆まで言ってしまえば、まるでロールシャッハのせいでこうなったんだと主張するようで夢主は気が引けた。微動だにしない彼と目を合わせられないまま、怖ず怖ずと口を開く。
「…私は、ロールシャッハさんを助けたくて」
「そうか。俺は、お前を助けたかったのだがな」
「……」
「どうした。俺の言っている言語が分からないのか」
険悪な雰囲気を見かねたジェシカがロールシャッハと夢主の間に割り込んだ。
「まあまあ!こうして2人とも無事なんだから、結果オーライよ!ねっ?」
「……」
夢主はバイオバンドが巻き付けられたままの手首を握り締め、はいともいいえとも言えないでいる。
「お前が無事なのは、たまたま運が良かったからだ。俺が助けたからじゃない」
誰の目にも触れないマスクの内側で眉間に皺が寄った。
「あそこまで来た俺は、何もしていない」
たとえ死ぬことになるとしても、絶対に諦めない。絶対に救い出す。ロールシャッハは覚悟の上で夢主を救出しに来ていた。
だが、強制的に諦めさせられた。妥協を強いられた。よりにもよって、その助け出したかった人物の一存で。彼女が彼を助けたいがためにとった選択肢は、ロールシャッハの信条を踏みにじる行為だった。
それをようやく理解した夢主はただ俯くばかりだ。
「……」
「ロールシャッハさん。助けに来てくださって、本当に」
「何故だ」
目の前の男は突き刺すように夢主の言葉を遮った。
「何故あそこでディー・セキュアした」
ジェシカとアキラは2人の様子が気になり、開いたままの出入り口からそのやりとりをこっそり覗く。
「スッゲー…チャージ無しで自由にディー・スマッシュできるんだもんなぁ~」
「しっ!」
外野の存在を知ってか知らずか、ロールシャッハは極めて単調な声で尋問を続ける。
「自分が何をしたのか、わかっているのか」
「あれは……ああしないと、ロールシャッハさんが危なかったから…」
「それで死のうとしたのか」
夢主は目を伏せた。
あの時、船から海へ落ちた時。自分の死をしっかりと確信していた。だがそんなことよりも、ロールシャッハを悪党の手から救い出すことで頭が一杯だった。
軽率な行動を叱られていることは重々承知している。が、その叱っている本人を守りたかったからこそ取った行動だったのだ。
「でも……」
そうやって皆まで言ってしまえば、まるでロールシャッハのせいでこうなったんだと主張するようで夢主は気が引けた。微動だにしない彼と目を合わせられないまま、怖ず怖ずと口を開く。
「…私は、ロールシャッハさんを助けたくて」
「そうか。俺は、お前を助けたかったのだがな」
「……」
「どうした。俺の言っている言語が分からないのか」
険悪な雰囲気を見かねたジェシカがロールシャッハと夢主の間に割り込んだ。
「まあまあ!こうして2人とも無事なんだから、結果オーライよ!ねっ?」
「……」
夢主はバイオバンドが巻き付けられたままの手首を握り締め、はいともいいえとも言えないでいる。
「お前が無事なのは、たまたま運が良かったからだ。俺が助けたからじゃない」
誰の目にも触れないマスクの内側で眉間に皺が寄った。
「あそこまで来た俺は、何もしていない」
たとえ死ぬことになるとしても、絶対に諦めない。絶対に救い出す。ロールシャッハは覚悟の上で夢主を救出しに来ていた。
だが、強制的に諦めさせられた。妥協を強いられた。よりにもよって、その助け出したかった人物の一存で。彼女が彼を助けたいがためにとった選択肢は、ロールシャッハの信条を踏みにじる行為だった。
それをようやく理解した夢主はただ俯くばかりだ。