第五部:都合の良い男
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アイアンマンがパートナーに作戦を解説し、他の子供達は船上の様子に注目している。そのかたわらでヒカルはふと、開きっぱなしで放置されているペッパーのノートパソコンへ目を向けた。彼女はスタークジェットの操縦をヒカルと交代している間だけ、ある作業を進めていた。その跡が途中で放り出された状態で残っている。
「ペッパーさん、これって…!」
彼女は目的地へ向かっている最中でも、悪党に囚われている子供について根気良く調べ続けていたのだ。日本の警察に届け出があった行方不明者リストや不審者目撃情報、更には、ここ最近不登校を繰り返す学生の情報等々、少しでも手掛かりになり得るものが多数のウィンドウとなってパソコン画面の中で折り重ねられていた。
その中から彼女が見落としていたであろう、数日前の監視カメラの映像を全面に表示させた。
「ヒカルくん、どうしたの?」
ペッパーはスタークジェットを自動操縦モードに切り替え、マウスを持つヒカルの隣に立つ。
「もしかして、ロールシャッハが言っていた子供…この子じゃないですか?」
「え?……まあ、本当だわ!でかしたわねヒカルくん!」
「ペッパー、今俺が結構大事な話をしていたんだが…」
「兄さん、何か分かったの!?」
「…まあ良いや」
アイアンマンはアキラへの解説を諦めて、パートナーの肩からパソコンのキーボードの前に飛び移った。
「うん。って言っても、実際探してくれたのはペッパーさんだよ」
そう言いながら自分自身は一歩引き、集まってきたエド達が画面を見易いよう場所を譲る。
「見て。ロールシャッハがディスクごと子供と一緒にさらわれた日の、監視カメラの映像よ。ほらここ、大人数人が1人の女の子を取り囲んでいるのが見えるでしょ?」
ペッパーは再生している動画を停止し、一部分を拡大して見せた。
夜道を駆ける1人の子供を取り押さえたのは、今正にこのジェット機の真下で足止めを食らっているバロン・ジモ。そして、派手な仮面で顔の上半分を隠している男達もバッチリ映っている。
「あいつ等だ!」
続けて再生すると、子供は胸に抱え込んでいた何かを持ち上げた。
「あ!止めて!」
ジェシカが何かに気付き、ペッパーが映像を一時停止させる。
「これ、ひょっとしてディスクじゃない?」
画面中の彼女は振りかぶった手に何かを握り締めている。暗くて見えにくいが、拡大した画像を解析し画質を上げていくと、確かに青っぽい手の平サイズの装置が見えてきた。
「ホントだ!ロールシャッハのディスクだよ、きっと!」
「間違い無ぇな…」
クリスはロールシャッハと彼の証言を疑っていたことを後悔した。あのダークヒーローは真実を述べていたのだ。
「じゃあ、あの船にはここに映っている子が捕まっているんだな!」
「おそらくね」
再度動画を進めると、ディスクを手にした腕はバロン・ジモに掴まれてしまった。
「ディー・スマッシュしようとしてたのかな?」
「地面に叩きつけるって言うより、遠くへ投げようとしてない?」
「……」
ワスプとヴィランの戦闘の様子をチェックしていたヒカルはまたパソコンの方に戻ってきて、皆の後ろからじっと画面を見つめた。
「ペッパーさん、その子の目線の先には何がありますか?」
「目線の先?ちょっと待って……」
ペッパーは新しいウィンドウを出し、映像にある場所をすぐさま特定し地図で表した。
「商店街…交番だわ…」
「交番…」
「じゃあその子、ディスクをお巡りさんに……」
かなり苦し紛れな方法ではあるが、彼女はロールシャッハを警察の人間に託そうと足掻いていた。使い方も効果も関わる人間・組織も分からない、まるで得体の知れない装置。それを悪そうな大人に奪われまいと、武器や仲間も無しにたった独りで戦っていたのだ。
おそらく、この監視カメラに映る前から。
「……絶対助けるわよ」
ジェシカに言われなくとも、全員の気持ちは一緒だった。
「ペッパーさん、これって…!」
彼女は目的地へ向かっている最中でも、悪党に囚われている子供について根気良く調べ続けていたのだ。日本の警察に届け出があった行方不明者リストや不審者目撃情報、更には、ここ最近不登校を繰り返す学生の情報等々、少しでも手掛かりになり得るものが多数のウィンドウとなってパソコン画面の中で折り重ねられていた。
その中から彼女が見落としていたであろう、数日前の監視カメラの映像を全面に表示させた。
「ヒカルくん、どうしたの?」
ペッパーはスタークジェットを自動操縦モードに切り替え、マウスを持つヒカルの隣に立つ。
「もしかして、ロールシャッハが言っていた子供…この子じゃないですか?」
「え?……まあ、本当だわ!でかしたわねヒカルくん!」
「ペッパー、今俺が結構大事な話をしていたんだが…」
「兄さん、何か分かったの!?」
「…まあ良いや」
アイアンマンはアキラへの解説を諦めて、パートナーの肩からパソコンのキーボードの前に飛び移った。
「うん。って言っても、実際探してくれたのはペッパーさんだよ」
そう言いながら自分自身は一歩引き、集まってきたエド達が画面を見易いよう場所を譲る。
「見て。ロールシャッハがディスクごと子供と一緒にさらわれた日の、監視カメラの映像よ。ほらここ、大人数人が1人の女の子を取り囲んでいるのが見えるでしょ?」
ペッパーは再生している動画を停止し、一部分を拡大して見せた。
夜道を駆ける1人の子供を取り押さえたのは、今正にこのジェット機の真下で足止めを食らっているバロン・ジモ。そして、派手な仮面で顔の上半分を隠している男達もバッチリ映っている。
「あいつ等だ!」
続けて再生すると、子供は胸に抱え込んでいた何かを持ち上げた。
「あ!止めて!」
ジェシカが何かに気付き、ペッパーが映像を一時停止させる。
「これ、ひょっとしてディスクじゃない?」
画面中の彼女は振りかぶった手に何かを握り締めている。暗くて見えにくいが、拡大した画像を解析し画質を上げていくと、確かに青っぽい手の平サイズの装置が見えてきた。
「ホントだ!ロールシャッハのディスクだよ、きっと!」
「間違い無ぇな…」
クリスはロールシャッハと彼の証言を疑っていたことを後悔した。あのダークヒーローは真実を述べていたのだ。
「じゃあ、あの船にはここに映っている子が捕まっているんだな!」
「おそらくね」
再度動画を進めると、ディスクを手にした腕はバロン・ジモに掴まれてしまった。
「ディー・スマッシュしようとしてたのかな?」
「地面に叩きつけるって言うより、遠くへ投げようとしてない?」
「……」
ワスプとヴィランの戦闘の様子をチェックしていたヒカルはまたパソコンの方に戻ってきて、皆の後ろからじっと画面を見つめた。
「ペッパーさん、その子の目線の先には何がありますか?」
「目線の先?ちょっと待って……」
ペッパーは新しいウィンドウを出し、映像にある場所をすぐさま特定し地図で表した。
「商店街…交番だわ…」
「交番…」
「じゃあその子、ディスクをお巡りさんに……」
かなり苦し紛れな方法ではあるが、彼女はロールシャッハを警察の人間に託そうと足掻いていた。使い方も効果も関わる人間・組織も分からない、まるで得体の知れない装置。それを悪そうな大人に奪われまいと、武器や仲間も無しにたった独りで戦っていたのだ。
おそらく、この監視カメラに映る前から。
「……絶対助けるわよ」
ジェシカに言われなくとも、全員の気持ちは一緒だった。