第五部:都合の良い男
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こちらは瀕死のヒーローと子供の2人、相手は大人4人。
どうすれば、逃げられるか。
どうすれば、逃がせられるか。
敵がグダグダと話し合っている間、何かヒントになるものは無いかと夢主が思い出していたのは、またもや数日前の出来事だった。
ロールシャッハが海に飛び込んだこと。その行為に敵がうろたえていたこと。彼は泳いで逃げ切れたこと。運良く、泳ぎが得意そうなヴィランが機能していなかったこと。
今も、タイガーシャークが機能していないこと。
「話を戻そう。これは光栄なことだぞ?いちヒーローが科学の進歩に貢献できる機会になんてなかなか巡り会えないものだ」
「そうか?」
「結構多いと思うけど」
「お前達は黙っていろ!」
「うみ、の……中なら…」
自分がこのまま海に飛び込めば、十中八九命を落とすだろう。重傷を負っているロールシャッハがこのまま飛び込めば、無事では済まないだろう。
「貴様は幸運なヒーローだ、ロールシャッハ」
しかし彼は今飛び込まなければ、確実に殺されてしまう。
飛び込ませなければ、死なせてしまう。
「さあ、こいつ等を引き上げろ。この不届き者はここへひざまづかせ、第一号は私の実験室へ……いや、処刑の瞬間を目に焼き付けさせるのも…」
「早くしろ、話長ぇんだよ。つーか言い出しっぺがやれ」
「で、どっちにするんです?」
「殺す前に、まず私に一発殴らせなさいよ!こいつはね…!」
敵が悠長にもたついている、今しか。
「ロールシャッハさん、ありがとう」
「だから…っ…助かってから、言えと」
「そしたら、絶対言えないもん…」
ディスクと専用のバイオバンドが付けっぱなしになっていて、本当に都合が良かった。この時ばかりは神に強く感謝した。
「おい……待て!!」
微笑む夢主の目の前で、マスクの黒い模様が見たことのない速さで細切れになる。
「貴方は、生きて。ディー・セキュア」
カラフルな光の輪と共にロールシャッハはディスクに吸い込まれた。
「何!?」
「バカなっ!」
こうして、大好きなヒーローを強制的に海へ飛び込ませることに成功する。
支えを失った夢主は船の側面を沿うように頭から落下していく。青いディスクが海面に直撃して破損することの無いよう、手首から外し胸元で強く握り締めながら。
誰か正義の心を持った人物が、海の中からロールシャッハの入ったディスクを探し出してくれることを信じて、夢主は目を瞑った。
どうすれば、逃げられるか。
どうすれば、逃がせられるか。
敵がグダグダと話し合っている間、何かヒントになるものは無いかと夢主が思い出していたのは、またもや数日前の出来事だった。
ロールシャッハが海に飛び込んだこと。その行為に敵がうろたえていたこと。彼は泳いで逃げ切れたこと。運良く、泳ぎが得意そうなヴィランが機能していなかったこと。
今も、タイガーシャークが機能していないこと。
「話を戻そう。これは光栄なことだぞ?いちヒーローが科学の進歩に貢献できる機会になんてなかなか巡り会えないものだ」
「そうか?」
「結構多いと思うけど」
「お前達は黙っていろ!」
「うみ、の……中なら…」
自分がこのまま海に飛び込めば、十中八九命を落とすだろう。重傷を負っているロールシャッハがこのまま飛び込めば、無事では済まないだろう。
「貴様は幸運なヒーローだ、ロールシャッハ」
しかし彼は今飛び込まなければ、確実に殺されてしまう。
飛び込ませなければ、死なせてしまう。
「さあ、こいつ等を引き上げろ。この不届き者はここへひざまづかせ、第一号は私の実験室へ……いや、処刑の瞬間を目に焼き付けさせるのも…」
「早くしろ、話長ぇんだよ。つーか言い出しっぺがやれ」
「で、どっちにするんです?」
「殺す前に、まず私に一発殴らせなさいよ!こいつはね…!」
敵が悠長にもたついている、今しか。
「ロールシャッハさん、ありがとう」
「だから…っ…助かってから、言えと」
「そしたら、絶対言えないもん…」
ディスクと専用のバイオバンドが付けっぱなしになっていて、本当に都合が良かった。この時ばかりは神に強く感謝した。
「おい……待て!!」
微笑む夢主の目の前で、マスクの黒い模様が見たことのない速さで細切れになる。
「貴方は、生きて。ディー・セキュア」
カラフルな光の輪と共にロールシャッハはディスクに吸い込まれた。
「何!?」
「バカなっ!」
こうして、大好きなヒーローを強制的に海へ飛び込ませることに成功する。
支えを失った夢主は船の側面を沿うように頭から落下していく。青いディスクが海面に直撃して破損することの無いよう、手首から外し胸元で強く握り締めながら。
誰か正義の心を持った人物が、海の中からロールシャッハの入ったディスクを探し出してくれることを信じて、夢主は目を瞑った。