第五部:都合の良い男
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「で…さっき2人が、見つけた、とか言ってたな。どぉ~こぉ~だぁ~?」
執拗なマークが外れたモードックは上空からデッキ全体をじっくり見渡す。こちらは物陰に身を潜めている筈なのに、そのヴィランは夢主と目が合った瞬間ニヤリと笑った。
「そこかぁ!!」
複数のミサイルが放たれ、2人は咄嗟に駆け出した。が、夢主の手を引くロールシャッハが急に膝から崩れ落ちてしまう。
「!?」
やはり彼は無理をしていた。何の変哲もない人間の身体は、とうに限界を越えていたのだ。
それと同時に、不規則な軌道を描くミサイルは先程まで隠れ場になっていた瓦礫を吹き飛ばした。
「いやっ…!!」
体勢を低くしていなかった夢主は爆風によって船のギリギリ外側へ放り出される。
今度こそ死を覚悟したが、伸ばしていた腕をロールシャッハの左手が掴み、夢主の体は船の側面に沿うようにぶら下がった。
途端に、彼の左肩に激痛が走る。
声は上げないものの、ぐるんと勢い良く変化したマスクの模様を見ればその苦痛の程は一目瞭然だ。
「イーッヒッヒッヒッ!風前の灯火だなぁロールシャッハ、無様だぞ!」
「そう言う貴方こそ背中がガラ空きよ!…そんなっ…!」
体が透け始めたワスプがキング・コブラを振り切り攻撃を仕掛けようとしたが、
「ワスプスティ…」
それも叶わずジェシカの元へ吸い込まれていってしまった。
「ロールシャッハさん…」
心配せずとも、彼はこの手を絶対に離さない男だ。それでも夢主の表情は凍り付く。下は海。この高さから落ちたら一溜まりもない。
「今……引き上げっ」
ロールシャッハは最後まで言い切れずに、急に大きな唸り声を上げた。
ジュウベエから受けた傷が夢主の全体重によって開き悲鳴を上げている。加えて、キング・コブラの毒の効果で思うように力が入らず、夢主を掴んでいる手が震え出す。マスクの裏側から荒い息遣いが聞こえる。
トレンチコートに浸透しきれずにじみ出し始めた血が、不安げに見上げる夢主の額に数滴垂れた。
船の側面には登るための取っ掛かり等無く、宙吊りにされた子供にはどうすることもできない。
「諦めろロールシャッハ」
ワスプが居なくなったことで悪党4人も解放されてしまい、身動きがとれない2人の周りに集まってきた。モードックの笑い声もすぐ近くから聞こえる。
「ゲームオーバー。我々の勝ちだ」
船の外に体を半分乗り出したロールシャッハの真後ろに立ってティムは続ける。
「貴様には優れた武器も、特別な能力も、バカ力も無い。ただの人間だ。いくらヒーローと言えど限界がある」
「前回の借りを返す時が来た、今すぐ楽にしてやるぜぇ~!」
「待てモードック。こいつには私が直々に罰を下してやる。先日はよくもこの私に暴力を振るい、出し抜いてくれたな」
「ぐ、ロ…ロールシャッハ!」
離れた場所で横たわっているアイアンマンが手の平を悪党に向ける。が、手持ち無沙汰になったモードックが彼の目の前に飛んできて視界を遮った。
「ジャマすんなぁ~!モードックミサ、どわっ!?何だこれは!?」
「シュルルル、貴様…!?」
スマートブレインは背後の些細な異常を気にする様子もなく、夢主を見下ろしながら話し始める。
執拗なマークが外れたモードックは上空からデッキ全体をじっくり見渡す。こちらは物陰に身を潜めている筈なのに、そのヴィランは夢主と目が合った瞬間ニヤリと笑った。
「そこかぁ!!」
複数のミサイルが放たれ、2人は咄嗟に駆け出した。が、夢主の手を引くロールシャッハが急に膝から崩れ落ちてしまう。
「!?」
やはり彼は無理をしていた。何の変哲もない人間の身体は、とうに限界を越えていたのだ。
それと同時に、不規則な軌道を描くミサイルは先程まで隠れ場になっていた瓦礫を吹き飛ばした。
「いやっ…!!」
体勢を低くしていなかった夢主は爆風によって船のギリギリ外側へ放り出される。
今度こそ死を覚悟したが、伸ばしていた腕をロールシャッハの左手が掴み、夢主の体は船の側面に沿うようにぶら下がった。
途端に、彼の左肩に激痛が走る。
声は上げないものの、ぐるんと勢い良く変化したマスクの模様を見ればその苦痛の程は一目瞭然だ。
「イーッヒッヒッヒッ!風前の灯火だなぁロールシャッハ、無様だぞ!」
「そう言う貴方こそ背中がガラ空きよ!…そんなっ…!」
体が透け始めたワスプがキング・コブラを振り切り攻撃を仕掛けようとしたが、
「ワスプスティ…」
それも叶わずジェシカの元へ吸い込まれていってしまった。
「ロールシャッハさん…」
心配せずとも、彼はこの手を絶対に離さない男だ。それでも夢主の表情は凍り付く。下は海。この高さから落ちたら一溜まりもない。
「今……引き上げっ」
ロールシャッハは最後まで言い切れずに、急に大きな唸り声を上げた。
ジュウベエから受けた傷が夢主の全体重によって開き悲鳴を上げている。加えて、キング・コブラの毒の効果で思うように力が入らず、夢主を掴んでいる手が震え出す。マスクの裏側から荒い息遣いが聞こえる。
トレンチコートに浸透しきれずにじみ出し始めた血が、不安げに見上げる夢主の額に数滴垂れた。
船の側面には登るための取っ掛かり等無く、宙吊りにされた子供にはどうすることもできない。
「諦めろロールシャッハ」
ワスプが居なくなったことで悪党4人も解放されてしまい、身動きがとれない2人の周りに集まってきた。モードックの笑い声もすぐ近くから聞こえる。
「ゲームオーバー。我々の勝ちだ」
船の外に体を半分乗り出したロールシャッハの真後ろに立ってティムは続ける。
「貴様には優れた武器も、特別な能力も、バカ力も無い。ただの人間だ。いくらヒーローと言えど限界がある」
「前回の借りを返す時が来た、今すぐ楽にしてやるぜぇ~!」
「待てモードック。こいつには私が直々に罰を下してやる。先日はよくもこの私に暴力を振るい、出し抜いてくれたな」
「ぐ、ロ…ロールシャッハ!」
離れた場所で横たわっているアイアンマンが手の平を悪党に向ける。が、手持ち無沙汰になったモードックが彼の目の前に飛んできて視界を遮った。
「ジャマすんなぁ~!モードックミサ、どわっ!?何だこれは!?」
「シュルルル、貴様…!?」
スマートブレインは背後の些細な異常を気にする様子もなく、夢主を見下ろしながら話し始める。