某国、とある施設の中。

目と鼻を覆うベネチアンマスクを付けたティム・ギリアムは１人で研究室にこもっていた。

「スマートブレイン。召集だ」
「我等の王様がお呼びだぜ」

そこへ、スキンヘッドの男と金髪の男が戸を開け部屋の外から声をかける。２人共それぞれ派手なベネチアンマスクを装着しているが、室内の男のそれと違って象のような長い鼻は付いていない。

「生憎、例の研究中で手が離せないところでな。ロキには数分後に向かうと伝えてくれ」

その科学者は背を向けたまま、落ち着いた様子で答えた。

「まーたそれか。特別何とかって奴」
「特別認証システムだ。良い加減覚えないか」
「へいへい。ロキもその研究が絡むと急に甘くなるし……そんなに重要なシステムなのか？俺はワープ装置を先に開発してくれた方が助かるんだがな～」
「そうだ」

金髪の男のお喋りを半ば制する形で、スキンヘッドの男が口を挟む。

「いくらディスクの在処がわかっていても、我々がアベンジャーズとガキ共より先に回収に行けなければ意味が無いんだぞ」
「フ、これだから脳筋共は」
「あぁ？」
「何ぃ！？」
「良いか」

暴力沙汰になる前に、今度はきちんと振り向いて２人に説明を始める。

「我々は単にディスク集めをしていれば良い訳ではない。この間は貴様がもたついていたせいで、そのアベンジャーズとガキ共にヴィランを奪われたではないか！我々が先にディスクを回収していたとしても、奪われてしまえばそれこそ意味が無いのだ」
「つまり、貴方が今進めている研究って…」

顔全体を仮面で覆った男と組織内唯一の女が話に加わる。

「ディスクを奪われないようにするための研究…ですか？」
「クク…それだと少し、説明不足だな」
「もう、勿体ぶらないでちゃんと教えなさいよ！」
「もうじき試作版が完成する。時が来れば、私の素晴らしい研究成果をいくらでも聞かせてやろうではないか」