番外編??+6:都合の良い彼女 作成途中
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罪悪感の増幅を止めたのは、ポケットの中の硬い存在感。取り出さずともわかる、ロールシャッハから貰ったバッヂだ。
「……」
久しく忘れていた、憧れの感情がよみがえる。如何なる時も意思を曲げない背中を思い出した。
鞘を握る手に力を入れる。
「……こんなんじゃ、だめだ」
窮地に立たされた夢主は、過去に貰った小物と今持たされた武器に勇気づけられた。
いざとなったら、この身1つで立ち向かわなければ。正に今が、その時なんだ。
慌ただしい足音が近付いてくる。
夢主が暗闇の中で孤独と恐怖を無理矢理にでも打ち消していると、目前の板の外側で野太い悲鳴が上がった。
「!」
あの男性の声ではない。クリスとも違う。彼等のどちらかがA.I.M.隊員と刺し違えでもしたのかと思ったが、今の2人は丸腰の筈だ。
「誰が…?」
何か硬いものが連続でぶつかる音や雷鳴、果ては地響きに伴って技の名前までが夢主の耳に届いてきた。
「シールドスロー!」
「ライトニング・ストライク!」
「ハルクスマーッシュ!!」
雷の光に指先がこわばるが、それを上回る安心感で涙が零れ、頬に一筋の道を作った。
「来て……くれたの…!?」
その呟きへ回答するように戸が開け放たれる。目の前には、キャプテン・アメリカと今しがた別れたクリスの切羽詰まった顔。
「夢主!」
逞しい手を差し伸べられ、硬く青いアーマーに思わず飛びつくと優しく抱き止められた。
「キャップさん!」
「良かった、君も無事だったか!」
「おい、くっついてる場合じゃないだろ」
はしたないと言わんばかりにクリスは悪態をつく。夢主はすぐさまヒーローから離れ、抱擁はほんの数秒で終了を告げた。
「ご、ごめんなさいっ!」
「夢主、あの協力者の居場所は分かるか?」
抱きつかれた当人はさして気にしていない様子。元パートナーの妬きもちや恥じらう少女よりも優先して気に懸けなければならない問題がある。
「この建物内には居ないようだが…」
「ジュウベエさん、これを置いてどこか…に……」
正義のヒーローに会えて緊張の糸が解けたのか、鼻がつんと苦しくなってきた。
「夢主?」
「ごめんなさい……私には、何も出来なかった…!」
ただついて行っただけで、何の役にも立てなかった。呑気に構えていて、怖い目に遭えば震えていただけだった。
「弱いし、足手まといで…!」
自身を省みる夢主にヒーローは優しく声をかける。
「君達を無事救出できたんだ。それだけでも良かった」
キャプテン・アメリカが夢主の頭を撫でるよりも先に、ソーとハルクが3人の居る部屋に入ってきた。
「クリス!夢主!……そうか、今の軍は我々ではなく、君達を狙っていたのか」
「外の奴等は全員片付けたぞ」
「了解した」
ひとまずの安全が確保され、子供達は久々に肩の力を抜いた。
「クリス、夢主、一緒に来てくれ。数刻もすればS.H.I.E.L.D.のエージェントがこの付近に到着する。彼等と合流し、誘導の指示に従ってくれ」
「なあキャップ、どうやって俺達を見つけたんだ?」
「S.H.I.E.L.D.とアベンジャーズで捜してくださったんですか?」
「実は……我々がこうして合流できたのは偶然だったのだ」
「?」
「偶然って、そんなことあるのか?」
たまたまにしては幸運にも程があるし、もうじき応援が駆けつける点も有り難いことだが都合が良すぎる。クリスと夢主は顔を見合わせた。
「やはり知らないか。ここには、A.I.M.の例の支部がある」
「え…!?」
「アベンジャーズはその基地を壊滅させるべく、S.H.I.E.L.D.の指示の元で作戦実行中だ」
「機動力のあるアイアンマン、ワスプ、そしてノバは前もってA.I.M.基地に潜入している」
「合図があればS.H.I.E.L.D.と一緒に乗り込む。奴等を中と外からぶっ潰す!」
喧嘩別れをした者の名前を聞いて夢主は黙って顔を伏せた。
「ヒーロー6人とS.H.I.E.L.D.が動いてくれてたってことか」
「ヒーローと言えば、夢主。我々と別行動中、ロールシャッハに会ったか?」
「いいえ、皆さんは…?」
夢主のすがるような眼差しに、3人とも気まずそうにして目線を落とした。
「我々も連絡が取れないでいる」
「ロールシャッハさん……」
「彼の安否も気がかりだが、今は君達の安全確保が最優先だ。ここを離れるとしよう」
「……」
久しく忘れていた、憧れの感情がよみがえる。如何なる時も意思を曲げない背中を思い出した。
鞘を握る手に力を入れる。
「……こんなんじゃ、だめだ」
窮地に立たされた夢主は、過去に貰った小物と今持たされた武器に勇気づけられた。
いざとなったら、この身1つで立ち向かわなければ。正に今が、その時なんだ。
慌ただしい足音が近付いてくる。
夢主が暗闇の中で孤独と恐怖を無理矢理にでも打ち消していると、目前の板の外側で野太い悲鳴が上がった。
「!」
あの男性の声ではない。クリスとも違う。彼等のどちらかがA.I.M.隊員と刺し違えでもしたのかと思ったが、今の2人は丸腰の筈だ。
「誰が…?」
何か硬いものが連続でぶつかる音や雷鳴、果ては地響きに伴って技の名前までが夢主の耳に届いてきた。
「シールドスロー!」
「ライトニング・ストライク!」
「ハルクスマーッシュ!!」
雷の光に指先がこわばるが、それを上回る安心感で涙が零れ、頬に一筋の道を作った。
「来て……くれたの…!?」
その呟きへ回答するように戸が開け放たれる。目の前には、キャプテン・アメリカと今しがた別れたクリスの切羽詰まった顔。
「夢主!」
逞しい手を差し伸べられ、硬く青いアーマーに思わず飛びつくと優しく抱き止められた。
「キャップさん!」
「良かった、君も無事だったか!」
「おい、くっついてる場合じゃないだろ」
はしたないと言わんばかりにクリスは悪態をつく。夢主はすぐさまヒーローから離れ、抱擁はほんの数秒で終了を告げた。
「ご、ごめんなさいっ!」
「夢主、あの協力者の居場所は分かるか?」
抱きつかれた当人はさして気にしていない様子。元パートナーの妬きもちや恥じらう少女よりも優先して気に懸けなければならない問題がある。
「この建物内には居ないようだが…」
「ジュウベエさん、これを置いてどこか…に……」
正義のヒーローに会えて緊張の糸が解けたのか、鼻がつんと苦しくなってきた。
「夢主?」
「ごめんなさい……私には、何も出来なかった…!」
ただついて行っただけで、何の役にも立てなかった。呑気に構えていて、怖い目に遭えば震えていただけだった。
「弱いし、足手まといで…!」
自身を省みる夢主にヒーローは優しく声をかける。
「君達を無事救出できたんだ。それだけでも良かった」
キャプテン・アメリカが夢主の頭を撫でるよりも先に、ソーとハルクが3人の居る部屋に入ってきた。
「クリス!夢主!……そうか、今の軍は我々ではなく、君達を狙っていたのか」
「外の奴等は全員片付けたぞ」
「了解した」
ひとまずの安全が確保され、子供達は久々に肩の力を抜いた。
「クリス、夢主、一緒に来てくれ。数刻もすればS.H.I.E.L.D.のエージェントがこの付近に到着する。彼等と合流し、誘導の指示に従ってくれ」
「なあキャップ、どうやって俺達を見つけたんだ?」
「S.H.I.E.L.D.とアベンジャーズで捜してくださったんですか?」
「実は……我々がこうして合流できたのは偶然だったのだ」
「?」
「偶然って、そんなことあるのか?」
たまたまにしては幸運にも程があるし、もうじき応援が駆けつける点も有り難いことだが都合が良すぎる。クリスと夢主は顔を見合わせた。
「やはり知らないか。ここには、A.I.M.の例の支部がある」
「え…!?」
「アベンジャーズはその基地を壊滅させるべく、S.H.I.E.L.D.の指示の元で作戦実行中だ」
「機動力のあるアイアンマン、ワスプ、そしてノバは前もってA.I.M.基地に潜入している」
「合図があればS.H.I.E.L.D.と一緒に乗り込む。奴等を中と外からぶっ潰す!」
喧嘩別れをした者の名前を聞いて夢主は黙って顔を伏せた。
「ヒーロー6人とS.H.I.E.L.D.が動いてくれてたってことか」
「ヒーローと言えば、夢主。我々と別行動中、ロールシャッハに会ったか?」
「いいえ、皆さんは…?」
夢主のすがるような眼差しに、3人とも気まずそうにして目線を落とした。
「我々も連絡が取れないでいる」
「ロールシャッハさん……」
「彼の安否も気がかりだが、今は君達の安全確保が最優先だ。ここを離れるとしよう」
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