番外編??+6:都合の良い彼女 作成途中
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
結局また3人きりになってしまった。出掛ける前に滞在していた空き家のベッドに腰をかける。
「さっきのって……助けてくれたのか?」
「信用しないんじゃなかったのか。A.I.M.に引き渡すとまで言ったんだぞ」
クリスの問いかけに、相手は背を向けたまま冷たく言い返した。
「俺には、あいつ等4人から俺達を庇ってくれたように見えた。それに裏切るつもりなら、最初から連れて行かれてる筈だろ。だから……納得いかねえけど、取りあえず信用しとく」
「ありがとうございました…」
夢主は一向に振り向こうとしない背広へ頭を下げる。
「……すぐに手頃な隠れ家を探す。ここも万全ではなくなった」
「え?」
「ティムは、自信作を片方だけ取り戻さないなんてことはしない。これはここに捨てて行く」
淡々と次の行動へ移していくジュウベエに対し、用心深い方の子供も警戒を解き始めていた。
「あいつ等は放っておくのか?……餌にされたとか、言ってたけど」
「奴等の肝は据わっていない。目の前の強い者になびく弱者、揃いも揃って腰抜けなだけだ」
弱者。腰抜け。そう聞いて夢主は脚を畳んで座り込む。きつい言葉に、心当たりしかない。
「ごめんなさい。私、弱いくせに、考えも甘くて……」
「ティム達の話だ」
自分に向けられた批判ではないことくらい承知している。が、自身の不甲斐なさと間近に感じた身の危険も相まって涙がにじみ出てきてしまう。
「夢主…」
ハンカチを取り出そうとするクリスを制し、自分で涙を拭う。
「だ、大丈夫……でも」
しかし、その声に覇気は無い。
「これから、どうすれば…」
今後はテレポート装置に頼れず、素の姿を晒しての行動が強いられる。これといった武器を持たない夢主は頭を抱えた。
「とても精神力の強さで狙われているサンプルとは思えない」
ため息混じりの文句に対しクリスは睨み付けるが、うまく言い返せずに終わった。突きつけられたのは言い掛かりなどではなく、事実だからだ。
ジュウベエは目を伏せ、もう一度大きくため息を吐いた。
「アベンジャーズ、いや、S.H.I.E.L.D.と合流しろ」
「え…?」
「身を潜める手立てが無くなり、ヒーロー達の仕事は進展無し。ならば、お前達は公的機関に頼れ。他のガキ共を巻き込みたくなければな」
「やっとかよ。最初から……って、待てよ。お前達はって、あんたはどう…」
クリスの意見を遮るようにして、玄関の方からドアの突き破られる音が響く。
『A.I.M.だ!オオクマ・ジュウベエ、大人しく投降しろ!』
『転送装置を使っても無駄だ!こちらには探知機がある!』
拡声器越しの声が堂々と警告してくる。脱獄者を追い詰める公務員かのような態度だ。
「うそっ、もう!?」
「おい、ヤバイぞ!どうす……!?」
名指しされた男はA.I.M.に一切構わず、子供達の手首を掴み大股で部屋を移動する。
『まさかこんな所に潜伏していたとはな!我々に対する挑戦のつもりか!?』
『宇宙にでも出ない限り逃げ切ることは不可能だ!』
ジュウベエはクリスを奥のクローゼットへ、もう1人を開き戸のタンスへ押し込める。
「きゃっ!」
夢主は空き家の元持ち主が置いていったであろう色褪せた衣服に両肩を包まれた。
外を窺うジュウベエの顔や部屋の壁にサーチライトの眩しすぎる光が巡る。
「チッ、下っ端への連絡くらい…」
「?あ、あの…」
「ここから先は、自分次第だ。粘るも殺されるも、勝手にしろ」
何かを押し付けられ、夢主は反射的に受け取る。外から戸を閉められ明かりが届かなくなってから、それを手の感触だけで確認する。
「……刀…」
託された物を改めて握り締め、呼吸を抑える。
「……」
ここに隠れたところで、自分達は見つからずに済むのだろうか。勝機は、望みはあるのか。
「誰か、誰かっ……ロールシャッハさん……」
口癖の如く自然に出てきたヒーロー名。だが、彼とのパートナーは解消済み。最近薔薇をくれたのは嬉しかったが、それきりだ。自分が今こんな状況に居ることすら、彼は知らないのだろう。
「誰か……」
前にも似たようなことがあった。誰でも良い、誰か、側に居てほしい。
「サ…」
否、今は誰でも良くはない。
常識を打ち破り颯爽と駆け付けてほしいという期待と、あんな別れ方のままでは終わりたくないという執着。
「サムくん……」
彼の想いを散々放置しておいて、彼の怒りを焚きつけておいて、何がサムくんだ。
誰の耳にも届いていなくとも、今の発言を取り消したい気持ちでいっぱいになる。自分の為だけの後悔より彼への罪悪感が上回ったのは、多分これが初めて。
「都合、良すぎるよね……ごめんね…」
夢主は心の底からサムに謝った。
「さっきのって……助けてくれたのか?」
「信用しないんじゃなかったのか。A.I.M.に引き渡すとまで言ったんだぞ」
クリスの問いかけに、相手は背を向けたまま冷たく言い返した。
「俺には、あいつ等4人から俺達を庇ってくれたように見えた。それに裏切るつもりなら、最初から連れて行かれてる筈だろ。だから……納得いかねえけど、取りあえず信用しとく」
「ありがとうございました…」
夢主は一向に振り向こうとしない背広へ頭を下げる。
「……すぐに手頃な隠れ家を探す。ここも万全ではなくなった」
「え?」
「ティムは、自信作を片方だけ取り戻さないなんてことはしない。これはここに捨てて行く」
淡々と次の行動へ移していくジュウベエに対し、用心深い方の子供も警戒を解き始めていた。
「あいつ等は放っておくのか?……餌にされたとか、言ってたけど」
「奴等の肝は据わっていない。目の前の強い者になびく弱者、揃いも揃って腰抜けなだけだ」
弱者。腰抜け。そう聞いて夢主は脚を畳んで座り込む。きつい言葉に、心当たりしかない。
「ごめんなさい。私、弱いくせに、考えも甘くて……」
「ティム達の話だ」
自分に向けられた批判ではないことくらい承知している。が、自身の不甲斐なさと間近に感じた身の危険も相まって涙がにじみ出てきてしまう。
「夢主…」
ハンカチを取り出そうとするクリスを制し、自分で涙を拭う。
「だ、大丈夫……でも」
しかし、その声に覇気は無い。
「これから、どうすれば…」
今後はテレポート装置に頼れず、素の姿を晒しての行動が強いられる。これといった武器を持たない夢主は頭を抱えた。
「とても精神力の強さで狙われているサンプルとは思えない」
ため息混じりの文句に対しクリスは睨み付けるが、うまく言い返せずに終わった。突きつけられたのは言い掛かりなどではなく、事実だからだ。
ジュウベエは目を伏せ、もう一度大きくため息を吐いた。
「アベンジャーズ、いや、S.H.I.E.L.D.と合流しろ」
「え…?」
「身を潜める手立てが無くなり、ヒーロー達の仕事は進展無し。ならば、お前達は公的機関に頼れ。他のガキ共を巻き込みたくなければな」
「やっとかよ。最初から……って、待てよ。お前達はって、あんたはどう…」
クリスの意見を遮るようにして、玄関の方からドアの突き破られる音が響く。
『A.I.M.だ!オオクマ・ジュウベエ、大人しく投降しろ!』
『転送装置を使っても無駄だ!こちらには探知機がある!』
拡声器越しの声が堂々と警告してくる。脱獄者を追い詰める公務員かのような態度だ。
「うそっ、もう!?」
「おい、ヤバイぞ!どうす……!?」
名指しされた男はA.I.M.に一切構わず、子供達の手首を掴み大股で部屋を移動する。
『まさかこんな所に潜伏していたとはな!我々に対する挑戦のつもりか!?』
『宇宙にでも出ない限り逃げ切ることは不可能だ!』
ジュウベエはクリスを奥のクローゼットへ、もう1人を開き戸のタンスへ押し込める。
「きゃっ!」
夢主は空き家の元持ち主が置いていったであろう色褪せた衣服に両肩を包まれた。
外を窺うジュウベエの顔や部屋の壁にサーチライトの眩しすぎる光が巡る。
「チッ、下っ端への連絡くらい…」
「?あ、あの…」
「ここから先は、自分次第だ。粘るも殺されるも、勝手にしろ」
何かを押し付けられ、夢主は反射的に受け取る。外から戸を閉められ明かりが届かなくなってから、それを手の感触だけで確認する。
「……刀…」
託された物を改めて握り締め、呼吸を抑える。
「……」
ここに隠れたところで、自分達は見つからずに済むのだろうか。勝機は、望みはあるのか。
「誰か、誰かっ……ロールシャッハさん……」
口癖の如く自然に出てきたヒーロー名。だが、彼とのパートナーは解消済み。最近薔薇をくれたのは嬉しかったが、それきりだ。自分が今こんな状況に居ることすら、彼は知らないのだろう。
「誰か……」
前にも似たようなことがあった。誰でも良い、誰か、側に居てほしい。
「サ…」
否、今は誰でも良くはない。
常識を打ち破り颯爽と駆け付けてほしいという期待と、あんな別れ方のままでは終わりたくないという執着。
「サムくん……」
彼の想いを散々放置しておいて、彼の怒りを焚きつけておいて、何がサムくんだ。
誰の耳にも届いていなくとも、今の発言を取り消したい気持ちでいっぱいになる。自分の為だけの後悔より彼への罪悪感が上回ったのは、多分これが初めて。
「都合、良すぎるよね……ごめんね…」
夢主は心の底からサムに謝った。