番外編??+6:都合の良い彼女 作成途中
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あれから数日後。ジュウベエ、クリス、夢主の3人は日本を後にしていた。瞬時に移動する装置と身を隠す装置を駆使すれば、A.I.M.に取り囲まれることはまず無い。
とは言え油断は大敵。足がつくことを恐れ、過疎地の宿や立ち腐れの空き家を転々としていた。
人気の無い住宅地は、昼間でも夢主の眠りを邪魔することなく静まり返っている。そんな子供の頭のすぐ隣に大人がゆっくりと腰を掛け、脚の錆びた簡易ベッドを軋ませる。
「……」
数本の指の腹で彼女の地肌を軽くなぞるも、サラサラとまとわり付く感覚など皆無。極めて短い髪の毛との戯れは呆気なく終わった。
「いつ…こんなに…」
ほんの数日前、共に外食した時に気付いてはいたが、わざわざ口にするまでもなかった言葉。今更ながらこぼれ出たそれは誰の耳にも届かずに消え入った。
「さ……」
「?」
苦しい夢でも見ているのか、少女は目を閉じたまま顔をしかめる。
「…サ……ん…」
今は特に用事も無く暇な見張り役。見ていて飽きない娘は暇潰しに丁度良い。断片的な寝言に耳を澄ませるべく、その口へ顔を近付けた。
「夢主から離れろ」
顔を上げると、向かいのベッドで仮眠していたもう1人の子供が上体を起こし刃物を向けてきている。
近くに立て掛けておいた愛用刀は鞘から抜かれ利用されているが、奪われる瞬間気付いていなかった訳ではない。
「ガキは単純だ」
そして大抵は弱い存在だが、たまに突拍子もないことをしでかす。
「何だと?」
「よく考えろ。その刃の切っ先はすぐ俺に届くだろうが、俺の手はこの首をすぐへし折ることができる」
そう言ってジュウベエはまだ意識の無い夢主の襟首を強く掴み、見せつけるように持ち上げた。
「ティムが開発したステルス装置は俺にしか扱えない。俺を殺せた後、どう行動するつもりだ?」
「いいから離れろ!」
「そいつを降ろすのが先だ」
「信用できるかよ。あいにく、俺はアキラと違って疑り深いんだ」
両者引かず。暫しの間睨み合っていたが、大人の方が先に口角を緩めた。
「気が合いそうだな」
「俺はそう思わないけどな」
ジュウベエが余裕の笑みを見せ、掴んでいたワイシャツを手離す。薄い枕とぶつかった夢主はようやく悪夢から戻ってきた。
「んへぇっ!?……あ、おっおはようござ、もう出発ですか!?」
「街へ出る。新しい衣服が必要になった」
「服…」
目の前の2人を見ても特に変わった様子は見られない。とすると自分のことかと体を見下ろす。首元が酷くよれてしまっているのは、慣れないベッドでの寝相が酷かったせいだろうか。
そんなことより、とんでもないものが目の端に映り夢主は完全に覚醒した。
「いや待って、クリスくん!?なんでそれ…!」
敵の居ない小部屋で何故抜刀していたのか。その持ち主は意にも介さず部屋を後にしようとしている。
「あの、大丈夫です。この位なら気にしません、まだ着られます。装置があるから他の人には見えていないですし…」
「それは鞘に入れて持ってこい」
現状のリーダーは夢主を完全に無視し、部屋の外へ出て行ってしまった。
「……」
「……」
自分のやや乱れた服。側に居た大のおとな。子供が刀を奪っている。
眠っている間に何があったのか、仲間は何を防ぐつもりだったのか。頭の中で状況を冷静に整理し、ようやく察した。
「あの、ありがとう」
「いや、別に……そういうんじゃ…」
感謝の言葉に対しクリスは返事をもごもご曇らせながら、慣れない手付きで東洋の刀を鞘に納める。相変わらず照れ隠しが下手である。
「勘違いだったら無視して?」
「何が可笑しいんだよ」
いつまでも顔を合わせてくれないと困るので真面目モードに切り替え、外で待たせている同行者に急いで追い付いた。
とは言え油断は大敵。足がつくことを恐れ、過疎地の宿や立ち腐れの空き家を転々としていた。
人気の無い住宅地は、昼間でも夢主の眠りを邪魔することなく静まり返っている。そんな子供の頭のすぐ隣に大人がゆっくりと腰を掛け、脚の錆びた簡易ベッドを軋ませる。
「……」
数本の指の腹で彼女の地肌を軽くなぞるも、サラサラとまとわり付く感覚など皆無。極めて短い髪の毛との戯れは呆気なく終わった。
「いつ…こんなに…」
ほんの数日前、共に外食した時に気付いてはいたが、わざわざ口にするまでもなかった言葉。今更ながらこぼれ出たそれは誰の耳にも届かずに消え入った。
「さ……」
「?」
苦しい夢でも見ているのか、少女は目を閉じたまま顔をしかめる。
「…サ……ん…」
今は特に用事も無く暇な見張り役。見ていて飽きない娘は暇潰しに丁度良い。断片的な寝言に耳を澄ませるべく、その口へ顔を近付けた。
「夢主から離れろ」
顔を上げると、向かいのベッドで仮眠していたもう1人の子供が上体を起こし刃物を向けてきている。
近くに立て掛けておいた愛用刀は鞘から抜かれ利用されているが、奪われる瞬間気付いていなかった訳ではない。
「ガキは単純だ」
そして大抵は弱い存在だが、たまに突拍子もないことをしでかす。
「何だと?」
「よく考えろ。その刃の切っ先はすぐ俺に届くだろうが、俺の手はこの首をすぐへし折ることができる」
そう言ってジュウベエはまだ意識の無い夢主の襟首を強く掴み、見せつけるように持ち上げた。
「ティムが開発したステルス装置は俺にしか扱えない。俺を殺せた後、どう行動するつもりだ?」
「いいから離れろ!」
「そいつを降ろすのが先だ」
「信用できるかよ。あいにく、俺はアキラと違って疑り深いんだ」
両者引かず。暫しの間睨み合っていたが、大人の方が先に口角を緩めた。
「気が合いそうだな」
「俺はそう思わないけどな」
ジュウベエが余裕の笑みを見せ、掴んでいたワイシャツを手離す。薄い枕とぶつかった夢主はようやく悪夢から戻ってきた。
「んへぇっ!?……あ、おっおはようござ、もう出発ですか!?」
「街へ出る。新しい衣服が必要になった」
「服…」
目の前の2人を見ても特に変わった様子は見られない。とすると自分のことかと体を見下ろす。首元が酷くよれてしまっているのは、慣れないベッドでの寝相が酷かったせいだろうか。
そんなことより、とんでもないものが目の端に映り夢主は完全に覚醒した。
「いや待って、クリスくん!?なんでそれ…!」
敵の居ない小部屋で何故抜刀していたのか。その持ち主は意にも介さず部屋を後にしようとしている。
「あの、大丈夫です。この位なら気にしません、まだ着られます。装置があるから他の人には見えていないですし…」
「それは鞘に入れて持ってこい」
現状のリーダーは夢主を完全に無視し、部屋の外へ出て行ってしまった。
「……」
「……」
自分のやや乱れた服。側に居た大のおとな。子供が刀を奪っている。
眠っている間に何があったのか、仲間は何を防ぐつもりだったのか。頭の中で状況を冷静に整理し、ようやく察した。
「あの、ありがとう」
「いや、別に……そういうんじゃ…」
感謝の言葉に対しクリスは返事をもごもご曇らせながら、慣れない手付きで東洋の刀を鞘に納める。相変わらず照れ隠しが下手である。
「勘違いだったら無視して?」
「何が可笑しいんだよ」
いつまでも顔を合わせてくれないと困るので真面目モードに切り替え、外で待たせている同行者に急いで追い付いた。