番外編??+6:都合の良い彼女 作成途中
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「夢主ちゃん、どうしてあんな…」
大人は責め立てるのではなく、子供の本音を引き出してやるために優しく声を掛けた。ジェシカも、この空気を少しでも変えるべく努めて声を張る。
「サムもサムだけど、何もあそこまで言わなくっても良かったんじゃない?」
「……だって、もし」
夢主の続きの言葉は、外からの爆発音によってかき消された。
「うわあああ!?」
「何だ!?」
窓に残った黒い焦げの正体は、何者かによって放たれたミサイル弾だろうか。
「防弾ガラスで助かった~」
「アキラ、まだ危ないから窓から離れて!」
『こちらノバ、黄色い防護服の奴等に基地が囲まれてる!こいつ等ってA.I.M.だろ!?』
ヒーローの声が通信機を通して広い部屋中に響く。それは遠く離れたヘリキャリア内のアイアンマン達にも届いていた。
『何だって!?防犯カメラには何も……ハッキングか!』
「さっき、ノバがA.I.M.って言ってたよね!A.I.M.がもう来ちゃったの!?うわあああっ!」
無数の銃弾が防弾ガラスの窓に弾かれる音でエドはいち早く頭を抱え込む。しかし目前の危険はすぐ止み、紺と黄のコスチュームが窓の外をあっという間に通り過ぎた。
『良い子はしっかり戸締まりしとけよ!』
言われる前からペッパーは幾度も試しているが、緊急用のシャッターは何故か閉まらない。防弾ガラスだけでは化学兵器に何時まで耐えられるか。
『ペッパー!』
「ええ!皆、こっちよ!」
アイアンマンとペッパーの指示で、アキラ達はより安全な場所へ移動し始める。
基地の奥まで来れば、爆音や振動もある程度は遠のいていて皆は僅かながら冷静さを取り戻す。
「あそこよ!制御を独立させているここなら……待って、クリスくんと夢主ちゃんは!?」
「途中までは一緒に来てたのに…!」
「あのおじさんも居ないよ!」
各々が自分のことで精一杯な時に、ジュウベエは用のある2人の手を引き全く関係無い部屋に駆け込んでいた。
「いっ痛っ…!」
「放せって!今はアキラ達と…」
大人はクリスの言葉に耳を全く貸さない。ひるんでいる娘の方を一旦手放し、片手で丸い装置を起動させる。
「それって、テレポートの…!」
「待てよ!まだお前のことは」
「俺達が捕まれば終わりなんだ!」
ここに来て初めて声を張る彼に、クリスと夢主は不思議と言い返すことが出来なかった。
「いいか、許可を出すまで一切動くな」
ひとまず3人は安全な場所へ。
だが、着いた先は出発地点からあまりにも近すぎる戦地だった。
「う、うそ!?」
「おい、なんでこんな所に!?あといい加減放せよ!」
基地へ向けての猛攻撃による騒音の中でも、幾人かのA.I.M.隊員が背後の気配に気付き振り返る。
「居たぞ!そこの茂み、ターゲットだ!」
「いつの間に後ろに!?」
「ま、まあ良い、大人しく我々について来いっ」
いくつもの銃口を向けられたが、この場で唯一動揺の色を見せていない男は冷静に相手を煽る。
「俺を捕獲したいのならば、アベンジャーズ基地に限らず地球上全てを漁ることだ」
そう言い残し、他の2人と共に光に包まれ目の前から姿を消した。
「テレポートか!?」
「チッ、ターゲット捕獲失敗、撤退だ。交戦中の部隊にも伝えろ」
「こちら第二部隊、ターゲットBがターゲットAとCを連れ去った!撤退!」
「あの男…オオクマ・ジュウベエの行きそうな場所を洗い出せ!」
3人の目と鼻の先を黄色い防護服達が続々と通り過ぎていく。
「みんな行っちゃう…」
「本当に、見えていないんだな」
「もう動いて構わないが、それ以上大きな声は出すな。あくまで対視覚用のシールドだ」
彼等はアベンジャーズ基地から転送してきた後、茂みから一歩も踏み出してはいなかった。
「俺達を見失ったらすぐ帰っちまうのかよ」
「随分とあっさりしているというか…」
「当然だ。捕獲対象が逃げたならば、正義のヒーローの基地に長居は無用。奴等はあくまで、仕事をしに来ているんだ」
「仕事…」
「行くぞ。長居が無用なのは俺達も同じだ」
夢主は後ろ髪を引かれ、つい数分前までのんびり過ごしていた建物を見つめる。極めて頑丈ではあったが、ハッキングされてしまった以上、完全に頼りにはできない建物。
ここに居ることがA.I.M.隊員にバレてしまえば、またアキラ達を巻き込んでしまう。言い方を変えれば、ここに居なければあの子達はハッキングされるような基地に居てもA.I.M.の眼に留まらない。
これからはしばらく会えないだろう。皆のために身体を張っていた、彼にも。
「サムとはあのままで良かったのか?」
「うん。あのね、もし……もしこの作戦が失敗しても、私のこと嫌いになってくれてたら大丈夫かなって」
「は?」
「その方が、何というか……私にもしもの事があった時、サムくんの…ショックって言うのかな、少なくなるかと」
「……」
男心云々以前に、相手の気持ちをまるで分かっていない考え方。クリスは苦い顔でため息を吐いた。
「逆にすっげー後悔させちまうと思うけど」
そう言われて非常に後悔したが、すぐに口を強く結び弱々しい決意で自分を奮い立たせる。
「うう…じゃあ、頑張る」
既に挫けそうな仲間を横目で伺った後、クリスはテレポートの光に包まれながら別のことを気にしていた。
「ロールシャッハ」
「え?」
「どうしてるだろうな」
「……」
大好きな単語を耳にしても夢主は始終浮かない顔。その代わりにもう1人が反応した。
「奴も日本に来ているのか?」
「ああ。多分、夢主を守るために。最近はよく1人で出歩いてるけど」
「……」
大人は責め立てるのではなく、子供の本音を引き出してやるために優しく声を掛けた。ジェシカも、この空気を少しでも変えるべく努めて声を張る。
「サムもサムだけど、何もあそこまで言わなくっても良かったんじゃない?」
「……だって、もし」
夢主の続きの言葉は、外からの爆発音によってかき消された。
「うわあああ!?」
「何だ!?」
窓に残った黒い焦げの正体は、何者かによって放たれたミサイル弾だろうか。
「防弾ガラスで助かった~」
「アキラ、まだ危ないから窓から離れて!」
『こちらノバ、黄色い防護服の奴等に基地が囲まれてる!こいつ等ってA.I.M.だろ!?』
ヒーローの声が通信機を通して広い部屋中に響く。それは遠く離れたヘリキャリア内のアイアンマン達にも届いていた。
『何だって!?防犯カメラには何も……ハッキングか!』
「さっき、ノバがA.I.M.って言ってたよね!A.I.M.がもう来ちゃったの!?うわあああっ!」
無数の銃弾が防弾ガラスの窓に弾かれる音でエドはいち早く頭を抱え込む。しかし目前の危険はすぐ止み、紺と黄のコスチュームが窓の外をあっという間に通り過ぎた。
『良い子はしっかり戸締まりしとけよ!』
言われる前からペッパーは幾度も試しているが、緊急用のシャッターは何故か閉まらない。防弾ガラスだけでは化学兵器に何時まで耐えられるか。
『ペッパー!』
「ええ!皆、こっちよ!」
アイアンマンとペッパーの指示で、アキラ達はより安全な場所へ移動し始める。
基地の奥まで来れば、爆音や振動もある程度は遠のいていて皆は僅かながら冷静さを取り戻す。
「あそこよ!制御を独立させているここなら……待って、クリスくんと夢主ちゃんは!?」
「途中までは一緒に来てたのに…!」
「あのおじさんも居ないよ!」
各々が自分のことで精一杯な時に、ジュウベエは用のある2人の手を引き全く関係無い部屋に駆け込んでいた。
「いっ痛っ…!」
「放せって!今はアキラ達と…」
大人はクリスの言葉に耳を全く貸さない。ひるんでいる娘の方を一旦手放し、片手で丸い装置を起動させる。
「それって、テレポートの…!」
「待てよ!まだお前のことは」
「俺達が捕まれば終わりなんだ!」
ここに来て初めて声を張る彼に、クリスと夢主は不思議と言い返すことが出来なかった。
「いいか、許可を出すまで一切動くな」
ひとまず3人は安全な場所へ。
だが、着いた先は出発地点からあまりにも近すぎる戦地だった。
「う、うそ!?」
「おい、なんでこんな所に!?あといい加減放せよ!」
基地へ向けての猛攻撃による騒音の中でも、幾人かのA.I.M.隊員が背後の気配に気付き振り返る。
「居たぞ!そこの茂み、ターゲットだ!」
「いつの間に後ろに!?」
「ま、まあ良い、大人しく我々について来いっ」
いくつもの銃口を向けられたが、この場で唯一動揺の色を見せていない男は冷静に相手を煽る。
「俺を捕獲したいのならば、アベンジャーズ基地に限らず地球上全てを漁ることだ」
そう言い残し、他の2人と共に光に包まれ目の前から姿を消した。
「テレポートか!?」
「チッ、ターゲット捕獲失敗、撤退だ。交戦中の部隊にも伝えろ」
「こちら第二部隊、ターゲットBがターゲットAとCを連れ去った!撤退!」
「あの男…オオクマ・ジュウベエの行きそうな場所を洗い出せ!」
3人の目と鼻の先を黄色い防護服達が続々と通り過ぎていく。
「みんな行っちゃう…」
「本当に、見えていないんだな」
「もう動いて構わないが、それ以上大きな声は出すな。あくまで対視覚用のシールドだ」
彼等はアベンジャーズ基地から転送してきた後、茂みから一歩も踏み出してはいなかった。
「俺達を見失ったらすぐ帰っちまうのかよ」
「随分とあっさりしているというか…」
「当然だ。捕獲対象が逃げたならば、正義のヒーローの基地に長居は無用。奴等はあくまで、仕事をしに来ているんだ」
「仕事…」
「行くぞ。長居が無用なのは俺達も同じだ」
夢主は後ろ髪を引かれ、つい数分前までのんびり過ごしていた建物を見つめる。極めて頑丈ではあったが、ハッキングされてしまった以上、完全に頼りにはできない建物。
ここに居ることがA.I.M.隊員にバレてしまえば、またアキラ達を巻き込んでしまう。言い方を変えれば、ここに居なければあの子達はハッキングされるような基地に居てもA.I.M.の眼に留まらない。
これからはしばらく会えないだろう。皆のために身体を張っていた、彼にも。
「サムとはあのままで良かったのか?」
「うん。あのね、もし……もしこの作戦が失敗しても、私のこと嫌いになってくれてたら大丈夫かなって」
「は?」
「その方が、何というか……私にもしもの事があった時、サムくんの…ショックって言うのかな、少なくなるかと」
「……」
男心云々以前に、相手の気持ちをまるで分かっていない考え方。クリスは苦い顔でため息を吐いた。
「逆にすっげー後悔させちまうと思うけど」
そう言われて非常に後悔したが、すぐに口を強く結び弱々しい決意で自分を奮い立たせる。
「うう…じゃあ、頑張る」
既に挫けそうな仲間を横目で伺った後、クリスはテレポートの光に包まれながら別のことを気にしていた。
「ロールシャッハ」
「え?」
「どうしてるだろうな」
「……」
大好きな単語を耳にしても夢主は始終浮かない顔。その代わりにもう1人が反応した。
「奴も日本に来ているのか?」
「ああ。多分、夢主を守るために。最近はよく1人で出歩いてるけど」
「……」