番外編??+6:都合の良い彼女 作成途中
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難無くアベンジャーズ基地に入り込んだ男は、眺めの良い全面窓を背にソファへ静かに腰を下ろした。出されたお茶菓子を子供達と共に囲むが、眉間の皺はむしろ深く濃くなっていく。
隣に座る少年はその仏頂面に臆することなく、むしろ全く気にせず、握手を求めた。
「初めまして。俺はアカツキ・アキラ!夢主にA.I.M.のこと教えてくれたんだよね?」
この男児以外からの視線は少々鋭く刺さってくる。しかし、単に彼等は客人から得られる新情報に対して身構えているだけ。かつての敵対者へ向けていた意識とは違う。
「足の引っ張り合いを数え切れない程してきた相手に、その挨拶か」
「え?」
「こうすれば思い出すだろう」
オオクマ・ジュウベエは炎と髑髏をモチーフにしたベネチアンマスクを懐から取り出した。顔から離して掲げたので、服装は白いままだ。
「あーっ!お前は、あの…」
「セレブリティ5…!」
『セレブリティ・シングルにでも改名した後か?』
「そういうことはティムにでも聞け」
『奴と連絡先を交換する仲だったら、是非ともそうさせてもらおう』
アキラがチーム名を思い出すよりも前に、兄が答えを出し画面越しのヒーローが軽く茶化した。
『どうして今更アベンジャーズの基地に来たんだ?オオクマ・ジュウベエ』
「流石に、名前くらいは調べがついているか」
『しかも単独での正面突破とは…まるで王道を行く主人公だな、お前達らしくないぞ?』
「夢主にアドバイスしてくれたってどういうこと?戦う気は無さそうだけど、全部正直に話してくれるんでしょうね?」
「……」
煽りを織り交ぜてくるアイアンマンや身を乗り出したジェシカからの質問には、彼は片眉を少々吊り上げるだけで回答は無し。
『おいおいダンマリか~?そっちから乗り込んできておいて勘弁してくれ。女性に囲まれたロールシャッハじゃあるまいし』
自分は今この現場に居ない。刀が収まっているであろう鞘は持ち主とアキラとの間に立て掛けられている。凶器を所持している客人への警戒とこの状況に対する焦りを悟られないよう、ヘリキャリア内のアイアンマンは態度と口調で隠し通した。
「ロールシャッハって女の人が苦手なの?」
一方で少年は彼の冗談を素直に拾い、話を気ままに逸らせていく。
「う~ん…得意ではない感じかな。悪いことをしない人には手を出さないから、女性とのちょっとした口喧嘩とか案外弱いかも」
「へぇ~。夢主も、側で見ていてどうだった?」
「エドくんのイメージそのままだよ。喧嘩どころかわざわざ近付きに行かないし。ロールシャッハさん自ら口説きに、なんてことはコミックの中でしか…」
『そこ、関係無い話は一旦我慢してもらえるか?』
「ご、ごめんなさい」
「すみません…」
「トニーが言い出したんじゃん」
「ヒーロー側から休戦協定を求められると思っていたが、貴様等は今の状況をまるで分かっていない」
ロールシャッハの事で盛り上がりかけた子供達も、彼等を注意したアイアンマンやその他のメンバーも、皆が今一度客人に注目する。
「アベンジャーズやS.H.I.E.L.D.も、この程度か」
『何!?じゃあお前はその状況とやらを把握しているって言うのか?かの有名なヒーローチームや、国際規模の諜報機関よりも!?』
『ヴィランや裏の人間でしか知り得ない情報もあるだろう』
『フューリー…!』
ニック・フューリーは頭に血が昇った大人の肩に手を置いてから、マイクには拾われない程度の声量で彼を宥める。アイアンマンの「分かってる」と吐き捨てられた言葉だけがこちらへ微かに届いた。
『だが、我々公的機関や正義の味方だからこそ実行に移せる計画や手段もある』
『そう!俺達にしかできないこと、どうせそれがお望みだろう?』
「あくまでお互い様を貫くか。良いだろう、全てを説明してやる。そもそもその為にここまで来たんだ」
どうやらかつての敵対者は本当に協力してくれるらしい。フューリー達とジュウベエの話に耳を傾けている者達、特にアキラの目が輝いた。
「おじさん、ありが」
「但し、この件が片付くまでは俺の指示に必ず従う。それが条件だ」
「え…!?」
突然振られた無茶な要求に全員が息を呑んだ。最初から疑惑の目を向けていたクリスが真っ先に口を開く。
「今まで敵だった奴に、急にそんなこと言われても頷けるかよ」
『待った。お前の要求は、アベンジャーズやS.H.I.E.L.D.による協力か?それとも……アキラ達を指示通りに行動させる決定権か?』
「ええっ?俺達何かした方が良いの?」
大人同士のややこしく緊迫したやり取りに、まさか自分の名が挙がるとは思ってもみなかった。てっきりヒーローや国際諜報機関の力が頼りにされていると考えていたからだ。
『まあどっちにしろ、そっちの指揮官様に積極的に動いてもらわないことには何も始まらない。そうだな……ちゃんと先頭切ってくれるってんなら、俺達はついて行こう』
「……良いだろう」
「?」
彼等の言わんとするところをアキラが理解しない内に、取引は一旦成立した。
隣に座る少年はその仏頂面に臆することなく、むしろ全く気にせず、握手を求めた。
「初めまして。俺はアカツキ・アキラ!夢主にA.I.M.のこと教えてくれたんだよね?」
この男児以外からの視線は少々鋭く刺さってくる。しかし、単に彼等は客人から得られる新情報に対して身構えているだけ。かつての敵対者へ向けていた意識とは違う。
「足の引っ張り合いを数え切れない程してきた相手に、その挨拶か」
「え?」
「こうすれば思い出すだろう」
オオクマ・ジュウベエは炎と髑髏をモチーフにしたベネチアンマスクを懐から取り出した。顔から離して掲げたので、服装は白いままだ。
「あーっ!お前は、あの…」
「セレブリティ5…!」
『セレブリティ・シングルにでも改名した後か?』
「そういうことはティムにでも聞け」
『奴と連絡先を交換する仲だったら、是非ともそうさせてもらおう』
アキラがチーム名を思い出すよりも前に、兄が答えを出し画面越しのヒーローが軽く茶化した。
『どうして今更アベンジャーズの基地に来たんだ?オオクマ・ジュウベエ』
「流石に、名前くらいは調べがついているか」
『しかも単独での正面突破とは…まるで王道を行く主人公だな、お前達らしくないぞ?』
「夢主にアドバイスしてくれたってどういうこと?戦う気は無さそうだけど、全部正直に話してくれるんでしょうね?」
「……」
煽りを織り交ぜてくるアイアンマンや身を乗り出したジェシカからの質問には、彼は片眉を少々吊り上げるだけで回答は無し。
『おいおいダンマリか~?そっちから乗り込んできておいて勘弁してくれ。女性に囲まれたロールシャッハじゃあるまいし』
自分は今この現場に居ない。刀が収まっているであろう鞘は持ち主とアキラとの間に立て掛けられている。凶器を所持している客人への警戒とこの状況に対する焦りを悟られないよう、ヘリキャリア内のアイアンマンは態度と口調で隠し通した。
「ロールシャッハって女の人が苦手なの?」
一方で少年は彼の冗談を素直に拾い、話を気ままに逸らせていく。
「う~ん…得意ではない感じかな。悪いことをしない人には手を出さないから、女性とのちょっとした口喧嘩とか案外弱いかも」
「へぇ~。夢主も、側で見ていてどうだった?」
「エドくんのイメージそのままだよ。喧嘩どころかわざわざ近付きに行かないし。ロールシャッハさん自ら口説きに、なんてことはコミックの中でしか…」
『そこ、関係無い話は一旦我慢してもらえるか?』
「ご、ごめんなさい」
「すみません…」
「トニーが言い出したんじゃん」
「ヒーロー側から休戦協定を求められると思っていたが、貴様等は今の状況をまるで分かっていない」
ロールシャッハの事で盛り上がりかけた子供達も、彼等を注意したアイアンマンやその他のメンバーも、皆が今一度客人に注目する。
「アベンジャーズやS.H.I.E.L.D.も、この程度か」
『何!?じゃあお前はその状況とやらを把握しているって言うのか?かの有名なヒーローチームや、国際規模の諜報機関よりも!?』
『ヴィランや裏の人間でしか知り得ない情報もあるだろう』
『フューリー…!』
ニック・フューリーは頭に血が昇った大人の肩に手を置いてから、マイクには拾われない程度の声量で彼を宥める。アイアンマンの「分かってる」と吐き捨てられた言葉だけがこちらへ微かに届いた。
『だが、我々公的機関や正義の味方だからこそ実行に移せる計画や手段もある』
『そう!俺達にしかできないこと、どうせそれがお望みだろう?』
「あくまでお互い様を貫くか。良いだろう、全てを説明してやる。そもそもその為にここまで来たんだ」
どうやらかつての敵対者は本当に協力してくれるらしい。フューリー達とジュウベエの話に耳を傾けている者達、特にアキラの目が輝いた。
「おじさん、ありが」
「但し、この件が片付くまでは俺の指示に必ず従う。それが条件だ」
「え…!?」
突然振られた無茶な要求に全員が息を呑んだ。最初から疑惑の目を向けていたクリスが真っ先に口を開く。
「今まで敵だった奴に、急にそんなこと言われても頷けるかよ」
『待った。お前の要求は、アベンジャーズやS.H.I.E.L.D.による協力か?それとも……アキラ達を指示通りに行動させる決定権か?』
「ええっ?俺達何かした方が良いの?」
大人同士のややこしく緊迫したやり取りに、まさか自分の名が挙がるとは思ってもみなかった。てっきりヒーローや国際諜報機関の力が頼りにされていると考えていたからだ。
『まあどっちにしろ、そっちの指揮官様に積極的に動いてもらわないことには何も始まらない。そうだな……ちゃんと先頭切ってくれるってんなら、俺達はついて行こう』
「……良いだろう」
「?」
彼等の言わんとするところをアキラが理解しない内に、取引は一旦成立した。