ヴィランをアベンジャーズが引きつけている間に、船内の構造を把握し且つ子供の位置を感覚で掴めるロールシャッハが侵入。これが作戦の前半部分だ。

「くそっ、アジトまではまだまだ距離があるというのに！そもそも何故…！？」

ティムはじめセレブリティは予想外の人物による襲撃で動揺してしまったが、冷静さを取り戻すまでそう時間はかからなかった。

敵の目的は十中八九、例の子供。だが目の前の２人は攻撃を受け止めたり避けたりの防戦一方で、派手に反撃してこない。ヒーロー様の様子がいつもと違う。

「ククク……そうか貴様等、わかったぞ」

まるで、自分等が誰かの代わりに攻撃されることこそが目的かのようだ。

「ロールシャッハが来ているのだろう？先程のジェット機に乗っているのか？それとも、もうこの船に潜り込んだか？」
「くっ…！」

キャプテン・アメリカは歯を食いしばり白衣の男を睨みつけた。

「正直な反応、誠に感謝する、キャプテン・アメリカ。と言うことは、貴様等は囮か」

作戦の一部が呆気なくバレてしまう。ハルクが相方を睨みつけた。

「す、済まん…！」
「モードックにアボミネーション、お前達は引き続きそいつ等の相手を。残りのヴィランはあのドブネズミを探し出せ！」

指示を受けたヴィランは貨物を乗り越え船内への入り口へ向かうが、キャプテン・アメリカが盾を構え立ちはだかった。

「ここは通さん！」
「なぁ～にが“通さん！”だ！モードックミサイル！」

戦闘の方はヴィラン２体に任せて、悪党４人も船内に戻ろうとする。が、彼等の進行方向へ大きな瓦礫が飛んできた。

「お前等もだ、絶対通さない！」

ハルクがそのまま仮面集団に襲いかかるが、アボミネーションがそれを許さない。キャプテン・アメリカはモードックの攻撃を避けている内に、他のヴィランが戸に手をかけるのを許してしまう。

「くっ…やはり２人だけでは抑えきれんか…！？」

更に悪いことに、ヒーローの体が光に包まれ徐々に透けていく。

「もう活動限界か…！」
「時間稼ぎ、誠にギョ苦労様だギョ。よし、これで安全にネズミ探しを」

ヒーロー２人が消えたと同時に、黄色い光線がヴィラン５体を直撃した。

「ギョギョーッ！」
「ネズミなんかより、蜂のお相手はいかが！？」

上空から現れたワスプは高速で飛び回り、スティングの雨を次々と船に降らせていく。

「このヤロウッ！」
「野郎じゃなくてレディですから！そこんとこ間違えないでくれる？」

唯一空を飛べるモードックが捕まえにかかるが、ワスプは体の大きさを自由自在に変えながらすり抜け、華麗に空を舞ってみせる。