番外編??+5:都合の良い4人
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お花片手になっちまったー」
「う、あの、重いです…」
冷えて硬くなったステーキへの興味が完全に失せてしまい、ジョエルは退屈そうに子供に絡んでくる。
「なあ、なんか面白いこと言えよ」
「いやぁ…えっと……私まだ食べてるので…」
「ふーん。それ美味いか?」
肯定したら皿の上のものをまた盗られると思ったが、反応してやらないとうるさくなりそうだし実際美味しかったので深く頷いておいた。
「はい…」
「よっしゃ。沢山食って元気出せよ!」
何度目になるのか、頭の上に乗せられた手によって首が力任せに揺さぶられる。
自分勝手な男性は思いの外、真っ直ぐに励ましてくれた。最近何かと荒んでいた心が少しだけ安らいだが、それは今の意外性の他にも何か要因がある気がする。
「…?」
ハッキリとは思い出せないがこの感覚、どこかで一度経験したことがある。不思議と嫌じゃない、この感じ。つい最近かもしれない。
「放してあげればいかがですか?」
「実験体が食べ辛そうにしているぞ」
「なあ、いい加減その呼び方止めね?もう俺達関係無ぇんだから」
「関係無い?」
その言葉が引っかかった。夢主がただの一般人から利用価値のある実験材料になってしまったのは他でもない、この者達のせいだ。今だって彼等の雇ったヴィランに頻繁に狙われている。
「関係無いって……どういうことですか?」
だから何かの間違いだと思った。
そして今頃になって恐怖心が沸々と湧いてきた。やはり仲良く食事をして良い相手ではないのかもしれない。
しかしそれはつかの間の杞憂に済む。
「我々はディスク関連の件については手を引いたのだ」
「貴方の前でこう言うのも妙ですが、私達も随分と酷い目に遭いましたからね」
「ヴィランを操るのは楽しかったけどよ~、異次元とかもうコリゴリだぜ」
「あれ以来バイオコードは無くなっちゃったし、残ってたとしても散らばったディスクの位置が分かるのはロキ様だけ。悔しいけどお手上げなのよ」
お手洗いを済ませたロゼッタは先程とは打ってかわり落ち着いた様子でジョエルの隣に戻ってきた。精神が安定したようで何よりだ。
「でも、待ってください!私のところに来たデッドプールさんは、貴方達に雇われたって…」
「デッドプールだと?この中で、誰か奴に連絡した者は?」
「いいえ?」
「一度も無いわよあんな奴」
「つかデッドプールって誰だよ」
真犯人とばかり思っていた人物達は、まるでその事実を初めて耳にしたような反応を示す。
「……違うんですか?」
「お前が奴に騙されているか、奴も騙されているかだな」
ジュウベエは腕を組み、目を瞑ったまま夢主へ丁寧に助言していく。
「それって、どういう…」
「デッドプールの本当の雇い主が、俺達の名を勝手に使っているということだ」
「じゃあ、最近私を襲っているヴィランって、一体誰が…?」
「はぁ~?お前そんなに狙われてんのか?鈍臭ぇなー」
ケラケラ笑っていられるのは標的ではない立場だから。ジョエルの屈託のない笑顔が少し鬱陶しかった。
「俺達に心当たりは一切無い。お前のバイオコードを欲しがっているヴィラン、または組織による差し金だろう」
「私、バイオコードはもう持ってません!どうして狙われなきゃならないんですか!?」
「そう訴えられてもな……先程も言った通り、我々はこの件には関与していない。私がせっかく進めてきた研究も永久に白紙の状態だ」
「……」
この者達は恐らく、本当のことを言っている。晩餐を共にして丸め込むくらいなら、さっさと拘束して運び出した方が何倍も効率的だろう。大人5人が非力な子供を囲んでいる状況で、そういった手っ取り早い手段にいつまで経っても講じない。
現時点では敵でも味方でもない、といったところだろうか。
「そう、ですか…」
元悪党が取りあえずは安全な人物だと分かったが、その代わり新たな疑問が浮かぶ。今後は敵の手掛かりも目星も一切無しで追われ続けなければならなくなった。
以前、誰かさんに向かってこの件の決着を付けると豪語したこともあったが、果たして無事に解決できるのだろうか。五体満足でことが済めば良いのだが。
「そんな悲しい顔すんなって~。どん底同士明るく楽しく、そんでもって仲良くやろうぜっ?」
ジョエルはほんの軽い、友好の証のつもりで夢主の頬へ唇を落とした。
「!?」
正面の男性陣も、これには驚き揃って目を見開く。
「ん?日本ってほっぺたもダメだったっけ?」
「別に駄目ということではないが…」
ティムは呆れてその先を口に出来なかった。
「見ての通り、抵抗はあるでしょうね」
キスをされた相手はすっかり固まっていた。が、彼女はただ単に硬直しているだけではなかった。
「そうか…」
夢主の生涯の中で、無許可で口づけしてきたもう1人の男性。今隣に居る者と同様少々強引で、どんなときでも明るく笑顔を絶やさない。言葉に落とし込めば単純な一文だが、これが意外と難しい。ふとしたことで悩んだり気を落としたりする自分には無い魅力だ。
非常識な男の子と一緒に居ても満更でもない理由がようやく分かった。
「う、あの、重いです…」
冷えて硬くなったステーキへの興味が完全に失せてしまい、ジョエルは退屈そうに子供に絡んでくる。
「なあ、なんか面白いこと言えよ」
「いやぁ…えっと……私まだ食べてるので…」
「ふーん。それ美味いか?」
肯定したら皿の上のものをまた盗られると思ったが、反応してやらないとうるさくなりそうだし実際美味しかったので深く頷いておいた。
「はい…」
「よっしゃ。沢山食って元気出せよ!」
何度目になるのか、頭の上に乗せられた手によって首が力任せに揺さぶられる。
自分勝手な男性は思いの外、真っ直ぐに励ましてくれた。最近何かと荒んでいた心が少しだけ安らいだが、それは今の意外性の他にも何か要因がある気がする。
「…?」
ハッキリとは思い出せないがこの感覚、どこかで一度経験したことがある。不思議と嫌じゃない、この感じ。つい最近かもしれない。
「放してあげればいかがですか?」
「実験体が食べ辛そうにしているぞ」
「なあ、いい加減その呼び方止めね?もう俺達関係無ぇんだから」
「関係無い?」
その言葉が引っかかった。夢主がただの一般人から利用価値のある実験材料になってしまったのは他でもない、この者達のせいだ。今だって彼等の雇ったヴィランに頻繁に狙われている。
「関係無いって……どういうことですか?」
だから何かの間違いだと思った。
そして今頃になって恐怖心が沸々と湧いてきた。やはり仲良く食事をして良い相手ではないのかもしれない。
しかしそれはつかの間の杞憂に済む。
「我々はディスク関連の件については手を引いたのだ」
「貴方の前でこう言うのも妙ですが、私達も随分と酷い目に遭いましたからね」
「ヴィランを操るのは楽しかったけどよ~、異次元とかもうコリゴリだぜ」
「あれ以来バイオコードは無くなっちゃったし、残ってたとしても散らばったディスクの位置が分かるのはロキ様だけ。悔しいけどお手上げなのよ」
お手洗いを済ませたロゼッタは先程とは打ってかわり落ち着いた様子でジョエルの隣に戻ってきた。精神が安定したようで何よりだ。
「でも、待ってください!私のところに来たデッドプールさんは、貴方達に雇われたって…」
「デッドプールだと?この中で、誰か奴に連絡した者は?」
「いいえ?」
「一度も無いわよあんな奴」
「つかデッドプールって誰だよ」
真犯人とばかり思っていた人物達は、まるでその事実を初めて耳にしたような反応を示す。
「……違うんですか?」
「お前が奴に騙されているか、奴も騙されているかだな」
ジュウベエは腕を組み、目を瞑ったまま夢主へ丁寧に助言していく。
「それって、どういう…」
「デッドプールの本当の雇い主が、俺達の名を勝手に使っているということだ」
「じゃあ、最近私を襲っているヴィランって、一体誰が…?」
「はぁ~?お前そんなに狙われてんのか?鈍臭ぇなー」
ケラケラ笑っていられるのは標的ではない立場だから。ジョエルの屈託のない笑顔が少し鬱陶しかった。
「俺達に心当たりは一切無い。お前のバイオコードを欲しがっているヴィラン、または組織による差し金だろう」
「私、バイオコードはもう持ってません!どうして狙われなきゃならないんですか!?」
「そう訴えられてもな……先程も言った通り、我々はこの件には関与していない。私がせっかく進めてきた研究も永久に白紙の状態だ」
「……」
この者達は恐らく、本当のことを言っている。晩餐を共にして丸め込むくらいなら、さっさと拘束して運び出した方が何倍も効率的だろう。大人5人が非力な子供を囲んでいる状況で、そういった手っ取り早い手段にいつまで経っても講じない。
現時点では敵でも味方でもない、といったところだろうか。
「そう、ですか…」
元悪党が取りあえずは安全な人物だと分かったが、その代わり新たな疑問が浮かぶ。今後は敵の手掛かりも目星も一切無しで追われ続けなければならなくなった。
以前、誰かさんに向かってこの件の決着を付けると豪語したこともあったが、果たして無事に解決できるのだろうか。五体満足でことが済めば良いのだが。
「そんな悲しい顔すんなって~。どん底同士明るく楽しく、そんでもって仲良くやろうぜっ?」
ジョエルはほんの軽い、友好の証のつもりで夢主の頬へ唇を落とした。
「!?」
正面の男性陣も、これには驚き揃って目を見開く。
「ん?日本ってほっぺたもダメだったっけ?」
「別に駄目ということではないが…」
ティムは呆れてその先を口に出来なかった。
「見ての通り、抵抗はあるでしょうね」
キスをされた相手はすっかり固まっていた。が、彼女はただ単に硬直しているだけではなかった。
「そうか…」
夢主の生涯の中で、無許可で口づけしてきたもう1人の男性。今隣に居る者と同様少々強引で、どんなときでも明るく笑顔を絶やさない。言葉に落とし込めば単純な一文だが、これが意外と難しい。ふとしたことで悩んだり気を落としたりする自分には無い魅力だ。
非常識な男の子と一緒に居ても満更でもない理由がようやく分かった。