番外編??+5:都合の良い4人
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あーっ、こんなところに居た」
遅れてやって来たノバはかつての自分の警護対象人物を確認すると、彼女の正面に降り立った。
「もーちょいでカタ着きそうだぜ、さっき見たらヴィラン達が蜘蛛糸だらけになってたから。スパイダーマンの来日中に悪いことするなんて、運の無さだけは認めてやるかな」
「……」
被害者は俯いたまま無反応を通すが、比較的無神経なヒーローは構わず続ける。
「良いか、ここから動くなよ?交差点の辺りとか今ヤバイから」
彼は夢主を残して現場へ赴こうと身体を浮かせるが、手の指を数本、後ろからそっと掴まれた。
「ん?」
何事かと目を丸くし振り返れば、地べたに腰を下ろしたままの彼女がやっと顔を上げ口をきく。
「…って……待って…!」
その目は今にもあふれ出しそうな涙で厚く覆われ、鼻は真っ赤に染まっていた。
「置いてかないでっ!」
「!」
ノバもといサム・アレキサンダーは、思い出さなくても良い感情を蘇らせてしまった。
一方通行で終わった女の子が、今は必死で自分を頼ってきている。他でもない、俺を求めてきている。
「お願い…今、独りにしないで…」
「……」
その潤んだ瞳によって、封じ込めていた感情の主張が激しさを増していく。とりあえず向き合い膝を突くと、彼女はすぐに自分の胸へ飛び込んできた。
「やだ…待って…やだよっ…!」
「……」
そっと抱き締め頭を軽くぽんぽんと撫でてやると、自分の使っているものとは違うシャンプーの香りが鼻孔をくすぐる。紺色の背中に回された腕にはより一層力が込められた。
「そんなこと言われてもなぁ~、俺かなり忙しいんだけど」
サムはあくまで平静を装い、皮肉っぽく呟いた。
「だめ…?」
必死にねだってくる夢主に見上げられると、まるで自分が優位に立ったかのような錯覚に陥る。つい芽生えた悪戯心は、こんなことをしてはいけないと制止する良心を余裕で上回った。
「しょーがない、んじゃあキス1回で30秒ここに居てやるよ。なーん」
たかが悪戯。なーんてな、と軽く撤回するつもりだった。
でもそれは出来なかった。
「!?」
夢主はノバの硬いヘルメットを避けた上で角度を変えながら、彼女自身の大事だったものを何度も何度も押しつけてくる。
「んん!?んんうっ!?」
「んっ、んむ、ひぐっ、んうっ…!」
少女は自棄になっていた。これで助かるなら、安心が得られるなら、もうそれで良い。もうどうにでもなってしまえ。今となっては、彼女を縛り付ける大層な概念は側に居ないのだ。
その柔らかい唇はしがみついてくる手と同様震えており、頬を伝う涙で濡れていて少しだけしょっぱい。
「あっ、ぶっ、ん、ちょっ、ちょっと!スト、ップ!わかった、わかったから!俺が悪かったから!!」
強引な口付けを止めさせると、夢主は火蓋を切ったかのように泣き崩れながらヒーローの腕の中に収まった。
「悪かったから…」
相手が精神的に弱っているタイミングで、随分と卑怯な冗談を言ってしまったと痛感する。
その様子を、密かに来日していた大人が物陰からじっと見張っていた。
遅れてやって来たノバはかつての自分の警護対象人物を確認すると、彼女の正面に降り立った。
「もーちょいでカタ着きそうだぜ、さっき見たらヴィラン達が蜘蛛糸だらけになってたから。スパイダーマンの来日中に悪いことするなんて、運の無さだけは認めてやるかな」
「……」
被害者は俯いたまま無反応を通すが、比較的無神経なヒーローは構わず続ける。
「良いか、ここから動くなよ?交差点の辺りとか今ヤバイから」
彼は夢主を残して現場へ赴こうと身体を浮かせるが、手の指を数本、後ろからそっと掴まれた。
「ん?」
何事かと目を丸くし振り返れば、地べたに腰を下ろしたままの彼女がやっと顔を上げ口をきく。
「…って……待って…!」
その目は今にもあふれ出しそうな涙で厚く覆われ、鼻は真っ赤に染まっていた。
「置いてかないでっ!」
「!」
ノバもといサム・アレキサンダーは、思い出さなくても良い感情を蘇らせてしまった。
一方通行で終わった女の子が、今は必死で自分を頼ってきている。他でもない、俺を求めてきている。
「お願い…今、独りにしないで…」
「……」
その潤んだ瞳によって、封じ込めていた感情の主張が激しさを増していく。とりあえず向き合い膝を突くと、彼女はすぐに自分の胸へ飛び込んできた。
「やだ…待って…やだよっ…!」
「……」
そっと抱き締め頭を軽くぽんぽんと撫でてやると、自分の使っているものとは違うシャンプーの香りが鼻孔をくすぐる。紺色の背中に回された腕にはより一層力が込められた。
「そんなこと言われてもなぁ~、俺かなり忙しいんだけど」
サムはあくまで平静を装い、皮肉っぽく呟いた。
「だめ…?」
必死にねだってくる夢主に見上げられると、まるで自分が優位に立ったかのような錯覚に陥る。つい芽生えた悪戯心は、こんなことをしてはいけないと制止する良心を余裕で上回った。
「しょーがない、んじゃあキス1回で30秒ここに居てやるよ。なーん」
たかが悪戯。なーんてな、と軽く撤回するつもりだった。
でもそれは出来なかった。
「!?」
夢主はノバの硬いヘルメットを避けた上で角度を変えながら、彼女自身の大事だったものを何度も何度も押しつけてくる。
「んん!?んんうっ!?」
「んっ、んむ、ひぐっ、んうっ…!」
少女は自棄になっていた。これで助かるなら、安心が得られるなら、もうそれで良い。もうどうにでもなってしまえ。今となっては、彼女を縛り付ける大層な概念は側に居ないのだ。
その柔らかい唇はしがみついてくる手と同様震えており、頬を伝う涙で濡れていて少しだけしょっぱい。
「あっ、ぶっ、ん、ちょっ、ちょっと!スト、ップ!わかった、わかったから!俺が悪かったから!!」
強引な口付けを止めさせると、夢主は火蓋を切ったかのように泣き崩れながらヒーローの腕の中に収まった。
「悪かったから…」
相手が精神的に弱っているタイミングで、随分と卑怯な冗談を言ってしまったと痛感する。
その様子を、密かに来日していた大人が物陰からじっと見張っていた。