番外編??+3:都合の良い善意
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立て付けの悪いドアが乱暴に蹴破られ、突如部屋中に白く濃い煙が立ちこめた。
「ぶわっ!どちら様!?」
「え!?……あ!」
消火剤に包まれる、ほんの直前だった。いつ見ても不思議な模様のマスクを、懐かしいヒーローの顔を、夢主は見逃さなかった。
「ロールシャッハさん!?」
「夢主を返せ」
アベンジャーズやS.H.I.E.L.D.隊員、ナイトオウルの影は無い。彼だけだ。独自の情報網か何かを頼りに、デッドプールと夢主の居場所を嗅ぎ付けたようだ。
「チックショー!何でここがバレたんだ!?ひとまず撤退だ、お嬢ちゃん!」
「ええ!?」
デッドプールはターゲットを脇に担ぎ、窓のガラスと枠をあっさり破った。
「サヨナラ賃貸!」
破片と共にアスファルトへ華麗に着地し、傭兵は全速力でその場を去る。
ロールシャッハも負けじと同じ場所から外へ飛び降り、車のボンネットに着地した。
「1人で逃げてくださいよ!あと手首の縄も外してください!」
「冷たいなぁ命の恩人に向かって」
「命の…?貴方が?」
「そ!俺があのオチブレティ5からの依頼を断ってたら、奴等の第二希望が夢主ちゃんを殺しに来てたさ。奴なら……タスキーなら、確実にな」
「…たすき?」
デッドプールはマスクの中で顔をしかめた。その険しさは布越しでも見て取れる程。
「どっちが良い?ロールシャッハに助けられた後も、賞金稼ぎに追われ続ける日を送るか。一旦死んだことにして、俺ちゃんとバカンスに洒落込むか。あっ、その3。ホントに死ぬか。さあ貴方の答えは!?」
「……」
大好きなヒーローなら、どうするか。夢主の答えは決まっていた。
「決着を…つけたいです」
「はい?」
「あの人達と、戦って勝ちたいです」
「いや、あのさぁ…」
「勝って、そしてもう二度と私に関わってこないよう約束させます!」
「ちょい待ち、どっちにするかって聞いてんだけど。君ホント人の話聞かないなぁ」
「俺は夢主に賛成かな!」
振り向いたが時既に遅し。真横を飛ぶノバがブラストを撃ち、デッドプールは盛大に転げてしまった。
宙に放り出された夢主はノバがしっかりとキャッチ。
「サムくん!」
「もうすぐ到着するアベンジャーズも、全員夢主に賛成するさ」
その場で優しく降ろされ、両手を拘束していた縄を焼き切ってくれた。
「ありがとう」
「今のはノバ。でも、これはサム」
彼は彼女の背中をトンと押し、今まで逃げてきた方向へ向かせる。目線の先にはこちらへ全力で走ってくるロールシャッハ。
「!……ロールシャッハさん…」
色々言いたいことも隠したいことも、とにかく沢山ある。だが、まずは再会を喜ぶべきだろう。あんなにも必死になって助けに来てくれているのだから。
「ロールシャッハさぁん!!」
夢主は自由になった両手を広げた。
「邪魔だ」
「痛っ」
「あれ?」
ヒーロー様は久々に顔を合わせた夢主を横に押しのけ、呆気にとられたノバも無視し、アスファルトで伸びているデッドプールの元へずんずん突き進んでいく。2人は今気が付いたが、彼の手にはそこら辺で拾ってきたであろう鉄パイプが握られている。
「え、あの……私は…?」
絶対に妥協しないヒーローの目は、いつでも悪者を捕らえている。被害者や一般人、かつてのパートナーは二の次だ。
「……」
よくよく考えればわかりきっていたこと。自分はもう過去の存在。だが、実際ぞんざいに扱われると心に来るものがある。
夢主はノバの横でへたり込んだ。
「なあ、今からでもサムに乗り換えない?」
「え!?でも……その…そんな、急に」
「冗談だって」
サムは一方的にタコ殴りに遭っている犯人を眺めながら、自分の発言を軽く撤回した。
「ぶわっ!どちら様!?」
「え!?……あ!」
消火剤に包まれる、ほんの直前だった。いつ見ても不思議な模様のマスクを、懐かしいヒーローの顔を、夢主は見逃さなかった。
「ロールシャッハさん!?」
「夢主を返せ」
アベンジャーズやS.H.I.E.L.D.隊員、ナイトオウルの影は無い。彼だけだ。独自の情報網か何かを頼りに、デッドプールと夢主の居場所を嗅ぎ付けたようだ。
「チックショー!何でここがバレたんだ!?ひとまず撤退だ、お嬢ちゃん!」
「ええ!?」
デッドプールはターゲットを脇に担ぎ、窓のガラスと枠をあっさり破った。
「サヨナラ賃貸!」
破片と共にアスファルトへ華麗に着地し、傭兵は全速力でその場を去る。
ロールシャッハも負けじと同じ場所から外へ飛び降り、車のボンネットに着地した。
「1人で逃げてくださいよ!あと手首の縄も外してください!」
「冷たいなぁ命の恩人に向かって」
「命の…?貴方が?」
「そ!俺があのオチブレティ5からの依頼を断ってたら、奴等の第二希望が夢主ちゃんを殺しに来てたさ。奴なら……タスキーなら、確実にな」
「…たすき?」
デッドプールはマスクの中で顔をしかめた。その険しさは布越しでも見て取れる程。
「どっちが良い?ロールシャッハに助けられた後も、賞金稼ぎに追われ続ける日を送るか。一旦死んだことにして、俺ちゃんとバカンスに洒落込むか。あっ、その3。ホントに死ぬか。さあ貴方の答えは!?」
「……」
大好きなヒーローなら、どうするか。夢主の答えは決まっていた。
「決着を…つけたいです」
「はい?」
「あの人達と、戦って勝ちたいです」
「いや、あのさぁ…」
「勝って、そしてもう二度と私に関わってこないよう約束させます!」
「ちょい待ち、どっちにするかって聞いてんだけど。君ホント人の話聞かないなぁ」
「俺は夢主に賛成かな!」
振り向いたが時既に遅し。真横を飛ぶノバがブラストを撃ち、デッドプールは盛大に転げてしまった。
宙に放り出された夢主はノバがしっかりとキャッチ。
「サムくん!」
「もうすぐ到着するアベンジャーズも、全員夢主に賛成するさ」
その場で優しく降ろされ、両手を拘束していた縄を焼き切ってくれた。
「ありがとう」
「今のはノバ。でも、これはサム」
彼は彼女の背中をトンと押し、今まで逃げてきた方向へ向かせる。目線の先にはこちらへ全力で走ってくるロールシャッハ。
「!……ロールシャッハさん…」
色々言いたいことも隠したいことも、とにかく沢山ある。だが、まずは再会を喜ぶべきだろう。あんなにも必死になって助けに来てくれているのだから。
「ロールシャッハさぁん!!」
夢主は自由になった両手を広げた。
「邪魔だ」
「痛っ」
「あれ?」
ヒーロー様は久々に顔を合わせた夢主を横に押しのけ、呆気にとられたノバも無視し、アスファルトで伸びているデッドプールの元へずんずん突き進んでいく。2人は今気が付いたが、彼の手にはそこら辺で拾ってきたであろう鉄パイプが握られている。
「え、あの……私は…?」
絶対に妥協しないヒーローの目は、いつでも悪者を捕らえている。被害者や一般人、かつてのパートナーは二の次だ。
「……」
よくよく考えればわかりきっていたこと。自分はもう過去の存在。だが、実際ぞんざいに扱われると心に来るものがある。
夢主はノバの横でへたり込んだ。
「なあ、今からでもサムに乗り換えない?」
「え!?でも……その…そんな、急に」
「冗談だって」
サムは一方的にタコ殴りに遭っている犯人を眺めながら、自分の発言を軽く撤回した。