番外編??+2:都合の悪い時機
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「じゃ、じゃあ!ブラック・ウィドウさんは恋したことあるんですか!?」
精巧に設計されたゲートが一瞬で開く音は子供の叫び声によってかき消され、女性は別エリアからやってきた男性と目が合った。
両者固まり、しばし沈黙。
「……あ、るわよ。豊富よ」
「ほ、豊富…?」
「豊富よ」
「キスも…ですか?そのことについてお聞きしたいので…」
「当たり前、じゃない」
ブラック・ウィドウは眉一つ動かさずに答えていくが、状況を全て理解し彼女の心情を見透かした上でホークアイは肩を揺らす。
「声が震えてるぜ、諜報員殿」
振り返ると夢主の後ろには幾度となくアベンジャーズに協力してくれた頼もしいヒーローが突っ立っている。笑いを堪えているのは何故なのか。
「ホークアイさん、お久しぶりです!……あ。今の、どこから聞いてましたか?」
「そこに居るの、もしかしてハニーと夢主ちゃん?俺も混ぜてよ、グループデートしようぜ~」
開いたままの分厚いゲートの向こうからやかましい声が届く。本来の目的の人物はすぐそこだ。
「悪いが2人とも独り占めさせてもらう。お前はそこでじっとしていろ」
自信たっぷりな男性だからこそ言える冗談へ女性陣からの冷たい目とジト目が送られる。
「ぷっぷのぷー!待ってろよ、今ここをな…こうして、こうしてやる!」
ホークアイが振り向くと、捕虜は音も無しに通路側に出ていた。内側からは絶対に開かないバリアは閉じられたままだ。
「なっ…どうやって!?」
「作画担当にご協力いただいたのさ……え?あ、じゃあ設定担当?……そう言えばそうか。いや、ソーか」
「やはりコイツはさっさとディスクに封印しとくべきだったか!」
弓を構えたホークアイがいち早く攻撃を仕掛ける。が、その危機的状況をきっかけにデッドプールは自分の仕事を思い出した。
「デッドプールは 自由の翼を 手に入れた ! 素早さが 274 上がった !」
妙な説明口調でそう言うと、片方を逆手にし剣2本の刃を前に向けたまま突進してくる。飛んでくる矢をいとわない捨て身の突進だ。
「気でも狂ったか!?」
「元々だもんねー、あらよっと」
ホークアイをテレポートで正面からすり抜けデッドプールは尚も走り続ける。狙うは本来の標的。
「しまった!」
「駆逐の時間だぜヒャッハー!」
「!?」
たしかに何かを裂いた手応えがあり、傭兵は刀を鞘に収め膝を突いてポーズを決めた。
「またつまらぬモノを斬ってしまっ……てない!?」
デッドプールの日本刀は夢主の制服のスカートを破いてはいたが、脚はかすっただけで肉は斬っていなかった。
代わりに、彼女を庇ったブラック・ウィドウのスーツが破けて傷口が開いている。
「ブラック・ウィドウさん!」
「かすり傷よ。ここでじっとしてて」
最小限の言葉を残し彼女も攻撃を仕掛けるが、容易くはじき返されてしまい夢主の背後にある壁に打ち付けられた。
「ブラック・ウィドウ!クソッ…!」
何本撃ってもホークアイの矢は当たらない。
「ダメよ~、ダメダメっ。そこは傷ついたヒロインに寄り添わなきゃ。んで、マークが外れ見事脱出に成功する俺ちゃんを睨んでトゥービーコンティニュー。それがセオリーってモンだろ?」
傭兵はテレポートを交えつつ、たまに壁を駆け上がって矢を華麗に避ける。
が、ホークアイは戦闘は勿論気合いの方も負けていない。
「俺のアドリブは気に入らないってか?監督さんよ!」
「台本ちゃんと読め!お前が好き勝手すっからこの6ページ目だけ長過ぎるんだよ!スクロールする指の気にもなって!」
「デッドプールさん!」
「何!?」
戦いの最中、外野の夢主がデッドプールを指名した。彼女にしては珍しい大声で。
「今日私が泣いてたのは、その、男の子にキスされたからなんです!」
「……」
「……」
唐突な恋バナに両者攻撃の手を止める。
「……はぃい?」
「無理矢理じゃなくて、つい油断して受け入れちゃったというか…そんな気、全然無かったのに…告白も、されてしまって…」
自分は話を聞く必要が無いと察したホークアイは再び矢の雨を降らせにかかる。
「ちょ、待って!今取り込み中だから後にしてお嬢ちゃん!」
「どうしたら良いんでしょうか?未だに返事を返せずにいるんです」
後にしない。悩める乙女はもう止まらない。今止めてしまったら、彼はディスクに封印されてしまうかもしれないから。意見を聞けなくなってしまうから。今しか無いのだ。
半分自棄になって夢主が打ち明けている間も攻撃はお構いなしに降り注ぎ続ける。
「おいおいっ、俺ちゃんが言ってることわかんない!?日本語であってるよね!?」
「教えてください!このままじゃ私、ロールシャッハさんに合わせる顔が無いんです!」
「知るかンなモン!つーか何で急にロールシャッハ?男の子どこ行った!?」
「そもそも合わせる顔が無いのかすら分からないんです!」
「駄目だこの子…早く何とかしないと、ってぇ!?」
爆弾付きの矢が命中し、デッドプールは真っ黒焦げになってしまった。
「良いぞ夢主、その調子で続けてくれ!」
「デッドプールさん!教えてください!」
「もう喋んな!!知らねぇっつってんだろ!カウンセリングされる側の人間にそーいうこと聞くなっての!」
このしつこい質問攻めのせいで、当たる筈の無い矢を他にも何本か食らってしまった。常時おちゃらけているデッドプールにしては珍しく、本気で腹を立てている。
精巧に設計されたゲートが一瞬で開く音は子供の叫び声によってかき消され、女性は別エリアからやってきた男性と目が合った。
両者固まり、しばし沈黙。
「……あ、るわよ。豊富よ」
「ほ、豊富…?」
「豊富よ」
「キスも…ですか?そのことについてお聞きしたいので…」
「当たり前、じゃない」
ブラック・ウィドウは眉一つ動かさずに答えていくが、状況を全て理解し彼女の心情を見透かした上でホークアイは肩を揺らす。
「声が震えてるぜ、諜報員殿」
振り返ると夢主の後ろには幾度となくアベンジャーズに協力してくれた頼もしいヒーローが突っ立っている。笑いを堪えているのは何故なのか。
「ホークアイさん、お久しぶりです!……あ。今の、どこから聞いてましたか?」
「そこに居るの、もしかしてハニーと夢主ちゃん?俺も混ぜてよ、グループデートしようぜ~」
開いたままの分厚いゲートの向こうからやかましい声が届く。本来の目的の人物はすぐそこだ。
「悪いが2人とも独り占めさせてもらう。お前はそこでじっとしていろ」
自信たっぷりな男性だからこそ言える冗談へ女性陣からの冷たい目とジト目が送られる。
「ぷっぷのぷー!待ってろよ、今ここをな…こうして、こうしてやる!」
ホークアイが振り向くと、捕虜は音も無しに通路側に出ていた。内側からは絶対に開かないバリアは閉じられたままだ。
「なっ…どうやって!?」
「作画担当にご協力いただいたのさ……え?あ、じゃあ設定担当?……そう言えばそうか。いや、ソーか」
「やはりコイツはさっさとディスクに封印しとくべきだったか!」
弓を構えたホークアイがいち早く攻撃を仕掛ける。が、その危機的状況をきっかけにデッドプールは自分の仕事を思い出した。
「デッドプールは 自由の翼を 手に入れた ! 素早さが 274 上がった !」
妙な説明口調でそう言うと、片方を逆手にし剣2本の刃を前に向けたまま突進してくる。飛んでくる矢をいとわない捨て身の突進だ。
「気でも狂ったか!?」
「元々だもんねー、あらよっと」
ホークアイをテレポートで正面からすり抜けデッドプールは尚も走り続ける。狙うは本来の標的。
「しまった!」
「駆逐の時間だぜヒャッハー!」
「!?」
たしかに何かを裂いた手応えがあり、傭兵は刀を鞘に収め膝を突いてポーズを決めた。
「またつまらぬモノを斬ってしまっ……てない!?」
デッドプールの日本刀は夢主の制服のスカートを破いてはいたが、脚はかすっただけで肉は斬っていなかった。
代わりに、彼女を庇ったブラック・ウィドウのスーツが破けて傷口が開いている。
「ブラック・ウィドウさん!」
「かすり傷よ。ここでじっとしてて」
最小限の言葉を残し彼女も攻撃を仕掛けるが、容易くはじき返されてしまい夢主の背後にある壁に打ち付けられた。
「ブラック・ウィドウ!クソッ…!」
何本撃ってもホークアイの矢は当たらない。
「ダメよ~、ダメダメっ。そこは傷ついたヒロインに寄り添わなきゃ。んで、マークが外れ見事脱出に成功する俺ちゃんを睨んでトゥービーコンティニュー。それがセオリーってモンだろ?」
傭兵はテレポートを交えつつ、たまに壁を駆け上がって矢を華麗に避ける。
が、ホークアイは戦闘は勿論気合いの方も負けていない。
「俺のアドリブは気に入らないってか?監督さんよ!」
「台本ちゃんと読め!お前が好き勝手すっからこの6ページ目だけ長過ぎるんだよ!スクロールする指の気にもなって!」
「デッドプールさん!」
「何!?」
戦いの最中、外野の夢主がデッドプールを指名した。彼女にしては珍しい大声で。
「今日私が泣いてたのは、その、男の子にキスされたからなんです!」
「……」
「……」
唐突な恋バナに両者攻撃の手を止める。
「……はぃい?」
「無理矢理じゃなくて、つい油断して受け入れちゃったというか…そんな気、全然無かったのに…告白も、されてしまって…」
自分は話を聞く必要が無いと察したホークアイは再び矢の雨を降らせにかかる。
「ちょ、待って!今取り込み中だから後にしてお嬢ちゃん!」
「どうしたら良いんでしょうか?未だに返事を返せずにいるんです」
後にしない。悩める乙女はもう止まらない。今止めてしまったら、彼はディスクに封印されてしまうかもしれないから。意見を聞けなくなってしまうから。今しか無いのだ。
半分自棄になって夢主が打ち明けている間も攻撃はお構いなしに降り注ぎ続ける。
「おいおいっ、俺ちゃんが言ってることわかんない!?日本語であってるよね!?」
「教えてください!このままじゃ私、ロールシャッハさんに合わせる顔が無いんです!」
「知るかンなモン!つーか何で急にロールシャッハ?男の子どこ行った!?」
「そもそも合わせる顔が無いのかすら分からないんです!」
「駄目だこの子…早く何とかしないと、ってぇ!?」
爆弾付きの矢が命中し、デッドプールは真っ黒焦げになってしまった。
「良いぞ夢主、その調子で続けてくれ!」
「デッドプールさん!教えてください!」
「もう喋んな!!知らねぇっつってんだろ!カウンセリングされる側の人間にそーいうこと聞くなっての!」
このしつこい質問攻めのせいで、当たる筈の無い矢を他にも何本か食らってしまった。常時おちゃらけているデッドプールにしては珍しく、本気で腹を立てている。