「アイアンマン、フューリー。そろそろアキラ達をニューヨークに集めている訳を教えてくれないか？」

小声で何やら話し込んでいる長官と科学者の背後からソーが声をかけた。

「勿論、２人の指示には従う。だが“危機が迫っている”の一言だけで動くには限界がある」
「我々は信頼し合っている仲間ではないか。事情をきちんと説明してほしい」
「こんな大所帯で日本に押し掛けた理由も、だ」
「まさかジェシカ達と遊ぶためだけにS.H.I.E.L.D.に協力してもらってるんじゃないんでしょ？」

表情も声色も普段通りではあるものの、４人の仲間はリーダーを半ば咎めるようにして尋ねた。以前アキラに言われた“隠し事は無し”を、この男は結局守れていない。

「あぁスマンスマン、それどころじゃなかったもんで」

しかし、アイアンマンは悪びれる様子も素直に反省する様子も無く、早速説明し始める。

「理由は２つ。まず１つ目、アキラ達６人に声をかけているのは、バイオコードの検査のためだ」
「バイオコードの検査？何故今になって…」
「今月に入ってから、バイオコードを体内に宿しているS.H.I.E.L.D.隊員…特に、若い隊員の体に異状が現れるようになった」

アイアンマンではなく、一歩前に出たフューリーが続けて答える。

「微かな手の痺れや目眩と言った、些細な症状ではあるが……念のため該当隊員のバイオコードを試験的にアンインストールしたところ、その症状は完全に治まった」
「レボリューション・バイオコードを体に宿している子供達やバイオコードをアンインストールした夢主も、今一度メンテナンスをする必要がある。アキラ達のためにも、そして、異状の原因追究のためにも、これは大事な調査ってことだ」

トニー・スタークは目を閉じ、自身の解説に対して満足げに頷いた。