第四部:都合の良い男
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「俺のディスクの色は、何色だと思う?」
「は?」
「……」
全く新しい話題を唐突に切り出され、また何も進展しない時間が経った。
「それって、もしお前が封印されたらディスクは何色に変化するか…ってことか?」
「ああ」
「エド!」
隣に座るジェシカがひじで軽く小突く。
「え、えっとー…!」
エドは怖い人の様子をチラチラ伺いながら解説し始めた。
「ロールシャッハは人間だし、特殊能力は、その、無いし、科学の力を駆使している訳でも…だから…緑、いや、青?」
「そう、青色。ファイト属性だ」
その言葉にアイアンマンの顔が一瞬険しくなった。
「おいピーター。バイオコードだけじゃなく、ディスクのことはぜーんぶ話しちゃったのか?」
「いーや?こちらからは特に何も教えていませんよ。僕だって、完全にこの人達を信用している訳じゃないから」
ナイトオウルが少し俯いた。
「ディスクについては、主に犯人共の話を聞いて理解した。ディスクの中からな」
「何だって!?」
さらっと明かされる新事実に、またもや一同が騒然とする。
「彼、今はこうして普段通り活動できてるんだけど、一度ディスクに封印されていたんだってさ」
「封印って、一体誰が…?いつ…?」
「ロキとかいう、ステッキを持ったやかましいヴィランだ。奴が刑務所の上で反乱を起こした時、俺も封印された」
「え?」
例の事件の当事者かのような口振りに、アキラが一つ質問する。
「じゃあ、ロールシャッハもディスク発表会に参加していたの?」
「ああ」
「お前もあの場に居たのかぁ~」
アイアンマンの気の抜けた言葉のせいで、ペッパーが腕を組みため息をつく。
「トニー、自分で招待したヒーローも忘れちゃったの?」
「いやぁ~ダメ元で誘ってはいたんだが、まさか来てくれていたとは、ハハハ……ん?待てよ……てことは、ロールシャッハは今もずっとディー・スマッシュされている状態なのか!?」
「ああ」
当人は当たり前だとでも言うようにさらりと返す。
今度は特に子供達の目が見開かれた。ロールシャッハがこの部屋に入ってからは5分なんて裕に過ぎている。制限時間付きのバイオコードを持つ彼等にとって、長時間ディスクから実体化しているヒーローとの対面は初めてのことだ。
「そのディスクは…?」
「奴等の手元にある。俺をディー・スマッシュしたのは、その捕まっている子供だ」
「じゃあその子が持っているのはリミテッド・バイオコードじゃないのね」
「フ、おかしいだろ。何で敵にディー・セキュアされずにここまで来れたんだよ?」
クリスはロールシャッハから目を離さず続ける。
「あんた、特殊能力無いんだよな?ヴィランが大勢居る敵の手の内から見事抜け出してきたとでも言うのか?ますます怪しいぜ」
このヒーローは自分達を騙すために嘘をついている。アベンジャーズと子供達をおびき寄せればディスクから解放してやる、とでも敵から吹き込まれたに違いない。だから、監禁されている子供なんか本当は存在しない。そう睨んでいた。
「クリス!」
彼はもうキャプテン・アメリカの方を見ない。
「フン。これが罠なら、わざわざ交渉が不利になるような事実を口にすると思うか?」
「…!」
クリスは何かに気付き顔色を変えたが、ロールシャッハはそんな彼に目もくれず、ポケットに手を入れたままソファから立ち上がった。
「どうしても信じられないと言うのなら、この話は終わりだ。俺は一人でも行く」
「ま、まあ待てロールシャッハ。もう少し話してみよう!」
ロールシャッハとナイトオウルは部屋の出口へ向かう。
「不利って?どういうこと?」
状況をいまいち理解できていないアキラへ、振り返ったナイトオウルが丁寧に説明してくれる。
「ロールシャッハは、いや、我々はなんとしてもその子を助け出したい。そのためには、包み隠さず全てを打ち明ける必要がある。協力者には、有利なことも不利なことも全部知っていてもらいたいからね」
都合の悪い事実、明かしたくない弱味を、会ったばかりの同業者と共有する。それがウォッチメン、と言うより、ひねくれ者ロールシャッハなりの精一杯の誠意だった。
「どうか我々を信じてくれ。この通りだ」
ナイトオウルは覚えたてのお辞儀を深々として返答を待つ。ロールシャッハはドアと向き合ったまま動かない。
「は?」
「……」
全く新しい話題を唐突に切り出され、また何も進展しない時間が経った。
「それって、もしお前が封印されたらディスクは何色に変化するか…ってことか?」
「ああ」
「エド!」
隣に座るジェシカがひじで軽く小突く。
「え、えっとー…!」
エドは怖い人の様子をチラチラ伺いながら解説し始めた。
「ロールシャッハは人間だし、特殊能力は、その、無いし、科学の力を駆使している訳でも…だから…緑、いや、青?」
「そう、青色。ファイト属性だ」
その言葉にアイアンマンの顔が一瞬険しくなった。
「おいピーター。バイオコードだけじゃなく、ディスクのことはぜーんぶ話しちゃったのか?」
「いーや?こちらからは特に何も教えていませんよ。僕だって、完全にこの人達を信用している訳じゃないから」
ナイトオウルが少し俯いた。
「ディスクについては、主に犯人共の話を聞いて理解した。ディスクの中からな」
「何だって!?」
さらっと明かされる新事実に、またもや一同が騒然とする。
「彼、今はこうして普段通り活動できてるんだけど、一度ディスクに封印されていたんだってさ」
「封印って、一体誰が…?いつ…?」
「ロキとかいう、ステッキを持ったやかましいヴィランだ。奴が刑務所の上で反乱を起こした時、俺も封印された」
「え?」
例の事件の当事者かのような口振りに、アキラが一つ質問する。
「じゃあ、ロールシャッハもディスク発表会に参加していたの?」
「ああ」
「お前もあの場に居たのかぁ~」
アイアンマンの気の抜けた言葉のせいで、ペッパーが腕を組みため息をつく。
「トニー、自分で招待したヒーローも忘れちゃったの?」
「いやぁ~ダメ元で誘ってはいたんだが、まさか来てくれていたとは、ハハハ……ん?待てよ……てことは、ロールシャッハは今もずっとディー・スマッシュされている状態なのか!?」
「ああ」
当人は当たり前だとでも言うようにさらりと返す。
今度は特に子供達の目が見開かれた。ロールシャッハがこの部屋に入ってからは5分なんて裕に過ぎている。制限時間付きのバイオコードを持つ彼等にとって、長時間ディスクから実体化しているヒーローとの対面は初めてのことだ。
「そのディスクは…?」
「奴等の手元にある。俺をディー・スマッシュしたのは、その捕まっている子供だ」
「じゃあその子が持っているのはリミテッド・バイオコードじゃないのね」
「フ、おかしいだろ。何で敵にディー・セキュアされずにここまで来れたんだよ?」
クリスはロールシャッハから目を離さず続ける。
「あんた、特殊能力無いんだよな?ヴィランが大勢居る敵の手の内から見事抜け出してきたとでも言うのか?ますます怪しいぜ」
このヒーローは自分達を騙すために嘘をついている。アベンジャーズと子供達をおびき寄せればディスクから解放してやる、とでも敵から吹き込まれたに違いない。だから、監禁されている子供なんか本当は存在しない。そう睨んでいた。
「クリス!」
彼はもうキャプテン・アメリカの方を見ない。
「フン。これが罠なら、わざわざ交渉が不利になるような事実を口にすると思うか?」
「…!」
クリスは何かに気付き顔色を変えたが、ロールシャッハはそんな彼に目もくれず、ポケットに手を入れたままソファから立ち上がった。
「どうしても信じられないと言うのなら、この話は終わりだ。俺は一人でも行く」
「ま、まあ待てロールシャッハ。もう少し話してみよう!」
ロールシャッハとナイトオウルは部屋の出口へ向かう。
「不利って?どういうこと?」
状況をいまいち理解できていないアキラへ、振り返ったナイトオウルが丁寧に説明してくれる。
「ロールシャッハは、いや、我々はなんとしてもその子を助け出したい。そのためには、包み隠さず全てを打ち明ける必要がある。協力者には、有利なことも不利なことも全部知っていてもらいたいからね」
都合の悪い事実、明かしたくない弱味を、会ったばかりの同業者と共有する。それがウォッチメン、と言うより、ひねくれ者ロールシャッハなりの精一杯の誠意だった。
「どうか我々を信じてくれ。この通りだ」
ナイトオウルは覚えたてのお辞儀を深々として返答を待つ。ロールシャッハはドアと向き合ったまま動かない。