番外編??+1:都合の良い男達
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
しかも、夢主の脳裏には全く別の人物が浮かぶ。
「でも、私は」
「ロールシャッハが好き。知ってる。でも、それって“何の”好きなの?」
「…え?」
「おっさんで、不潔で、頑固で、他のヒーローやヴィランに比べたら全然弱くて、恋愛や結婚に無縁で、こっから遥か離れたニューヨークに居て、手紙はたまにしか返してくれなくて…そんな奴に向ける好きが、恋愛の好き?」
「……」
わからない。ロールシャッハとの別れ際に好きと叫んでしまったが、今思うとあれはただの尊敬の意だったのかもしれない。恋愛のそれとは違うかもしれない。
仮に異性への好意だとしても、夢主はロールシャッハに一度フられている。目の前の彼はそれを知らない。
だが、今は迂闊に答えられない。
何かしら答えてしまったら、強引なサムは、ポジティブな彼は、自分の良い様に解釈してしまうだろうから。
「そうじゃなかったら……今の俺達には関係無いよな」
答えなくとも、どうやら都合良く脳内変換されてしまったらしい。
「で、でも……あの…」
端正な顔が近付いてくる。彼の頬はほんのりと赤く、いつもぱっちり開いている目蓋は徐々に伏せられていく。
永遠にできないであろう心の準備を、この青年は待ってくれない。
「ま、待って…」
迫る唇は間近で止まった。思い直してくれたのだと勘違いした夢主は胸をなで下ろす。
「嫌なら、ぶつなり逃げるなりしろよ」
彼の目つきは変わってくれていなかった。
手は大して強く握られていない。むしろ上からただ被せられている程度だ。力ずくで拘束しないその優しさが逆に夢主を戸惑わせ、混乱している彼女を引き止めるには十分だった。
サムは賭けに勝った。
「でも、私は」
「ロールシャッハが好き。知ってる。でも、それって“何の”好きなの?」
「…え?」
「おっさんで、不潔で、頑固で、他のヒーローやヴィランに比べたら全然弱くて、恋愛や結婚に無縁で、こっから遥か離れたニューヨークに居て、手紙はたまにしか返してくれなくて…そんな奴に向ける好きが、恋愛の好き?」
「……」
わからない。ロールシャッハとの別れ際に好きと叫んでしまったが、今思うとあれはただの尊敬の意だったのかもしれない。恋愛のそれとは違うかもしれない。
仮に異性への好意だとしても、夢主はロールシャッハに一度フられている。目の前の彼はそれを知らない。
だが、今は迂闊に答えられない。
何かしら答えてしまったら、強引なサムは、ポジティブな彼は、自分の良い様に解釈してしまうだろうから。
「そうじゃなかったら……今の俺達には関係無いよな」
答えなくとも、どうやら都合良く脳内変換されてしまったらしい。
「で、でも……あの…」
端正な顔が近付いてくる。彼の頬はほんのりと赤く、いつもぱっちり開いている目蓋は徐々に伏せられていく。
永遠にできないであろう心の準備を、この青年は待ってくれない。
「ま、待って…」
迫る唇は間近で止まった。思い直してくれたのだと勘違いした夢主は胸をなで下ろす。
「嫌なら、ぶつなり逃げるなりしろよ」
彼の目つきは変わってくれていなかった。
手は大して強く握られていない。むしろ上からただ被せられている程度だ。力ずくで拘束しないその優しさが逆に夢主を戸惑わせ、混乱している彼女を引き止めるには十分だった。
サムは賭けに勝った。