東京湾に浮かぶテクノアイルインターナショナルスクール。放課後の教室で固まっている一部の女子生徒達は何かを惜しみながらぼやいていた。

「クリスくんが居なくなっちゃって寂しー！」
「もっと仲良くなりたかったのに…」
「転入してきてそんなに経ってないよね、どうしたんだろ？夢主さん何か知らない？」
「えっ」

彼女達の内リーダー格の女子は、少し離れた位置で席を立とうとした夢主に大きな声で話しかけた。

「さぁ……私は何も…」

一般人に事情を説明する訳にはいかないし、するつもりも無い。

愛想笑いを浮かべながらそそくさと教室から退散する。夢主の去り際も、複数の華やかな声が教室から漏れ出していた。

「他にも何人か転校しちゃったんだってー」
「ああ、もしかしてクリスくんといつも一緒に居た子達？」
「そう言えば最近見かけないね～」

宿敵ロキを倒した後、日本のアベンジャーズ基地に留まる必要が無くなったクリス達はそれぞれの故郷へ帰ってしまった。アキラは元々通っていた学校に戻り、ヒカルは父アカツキ・ノゾムの助手として日々研究に励んでいる。

かつてのメンバーが散り散りになった今、夢主はこのインターナショナルスクールに強くこだわり、現在も通い続けている。