番外編41:都合の良い褒美
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制限時間も残すところあと少しという段階。あえて泳がされているのか、人ひとり捕まえるのが下手過ぎるのか、夢主はまだ逃げ続けていた。悪党達が前者のパターンならば、そろそろ本気を出し始めてもおかしくないだろう。
「はぁ……っ、はぁ…」
もう足が思うように動かない。息をするにもいちいち胸が苦しい。とうとう夢主は通路の壁に手を突きながらずるずると座り込む。
一か八か、物陰か何処かに留まって誰にも見つからない奇跡に賭けるしかない。足腰に再度力を入れ、立ち上がる。
「よっしゃゲットォー!」
疲労困憊の夢主は周囲への注意を欠いていた。ジョエルは背後から彼女の両腕ごと上半身を抱き締めた。
「い、嫌っ、嫌ぁ!!」
よりにもよって、一番捕まりたくない鬼だ。
「待て待て待てっ、優しくすっから!」
男の声に焦りはあるが拘束は頑としていて解けることはない。厚いジャケット越しでも男性の筋肉質な腕の感触が嫌というほど伝わってくる。
「やっぱゲームは自分でプレイするに限るぜ。アボミネーションに任せたら秒で終わってただろーなー」
楽しんでいる。自分は面白がられている。
絶望しているところへ、ベルトの金具とは違う硬いものが夢主の腰に宛がわれた。
「ひっ!?」
「あれ?バレちった?察しちまった?そうだよちょこっと楽しんでからのお帰りコースだ」
「放せジョエル」
随分と低い声が彼のおふざけを止めさせた。その一声には、それだけの威圧感があった。
「ちぇっ、わーってるよ」
夢主はあっさり放されたが、ドアも窓も無い細い通路で2人の大人による挟み撃ち状態。どちらにせよ、逃げ切れない。
「俺かお前が捕まえれば、ティムに内緒でボーナスステージ突入。だろ?ジュウベエ」
「ボーナスステージ…?」
「俺達は貴様が再度走り出してから1分間動かない。ここから甲板まで逃げ切れば、ティムには報告をせずその時点で解放してやる」
終始ご機嫌なジョエルとは対に、ジュウベエはピクリとも笑わず一方的にルールを追加していく。
「甲板には脱出準備の整ったボートを用意してある。もし勝てれば一定時間タイガーシャークの気を引いておいてやる、自由に使うと良い」
「そんな、そんなこと、信じられない…」
「貴様は運が良い。ティムのことだ、ゲームに負けてもモルモットを鮫の餌にするくらいの腹いせは用意していただろう」
「俺等超優しーいっ!あ、ここで言う鮫ってタイガーシャークのことじゃなくて、モノホンのサメな!」
「……」
またこの、有無を言わさない雰囲気。自分がどう発言してもしなくても、この者達は同じ結果へ強引に導くつもりだろう。
「但し。捕まれば今度こそ身の安全は保障しない」
「身の、安全…?」
「さっきの続きってことだよ!」
ジョエルは舌舐めずりをしながら道を譲る。反対側、夢主の背後ではジュウベエも通せん坊を今だけ放棄した。
「さあ、ゲーム再開だぜ子犬ちゃん」
「ジョエル側と俺側、どちらから抜けても甲板への道のりは同じだ」
何にせよ、まだ逃げ続ける必要がある。夢主は最後の力を振り絞って、
そのまま前へ走りだした
→6ページ目
振り返って走りだした
→7ページ目
「はぁ……っ、はぁ…」
もう足が思うように動かない。息をするにもいちいち胸が苦しい。とうとう夢主は通路の壁に手を突きながらずるずると座り込む。
一か八か、物陰か何処かに留まって誰にも見つからない奇跡に賭けるしかない。足腰に再度力を入れ、立ち上がる。
「よっしゃゲットォー!」
疲労困憊の夢主は周囲への注意を欠いていた。ジョエルは背後から彼女の両腕ごと上半身を抱き締めた。
「い、嫌っ、嫌ぁ!!」
よりにもよって、一番捕まりたくない鬼だ。
「待て待て待てっ、優しくすっから!」
男の声に焦りはあるが拘束は頑としていて解けることはない。厚いジャケット越しでも男性の筋肉質な腕の感触が嫌というほど伝わってくる。
「やっぱゲームは自分でプレイするに限るぜ。アボミネーションに任せたら秒で終わってただろーなー」
楽しんでいる。自分は面白がられている。
絶望しているところへ、ベルトの金具とは違う硬いものが夢主の腰に宛がわれた。
「ひっ!?」
「あれ?バレちった?察しちまった?そうだよちょこっと楽しんでからのお帰りコースだ」
「放せジョエル」
随分と低い声が彼のおふざけを止めさせた。その一声には、それだけの威圧感があった。
「ちぇっ、わーってるよ」
夢主はあっさり放されたが、ドアも窓も無い細い通路で2人の大人による挟み撃ち状態。どちらにせよ、逃げ切れない。
「俺かお前が捕まえれば、ティムに内緒でボーナスステージ突入。だろ?ジュウベエ」
「ボーナスステージ…?」
「俺達は貴様が再度走り出してから1分間動かない。ここから甲板まで逃げ切れば、ティムには報告をせずその時点で解放してやる」
終始ご機嫌なジョエルとは対に、ジュウベエはピクリとも笑わず一方的にルールを追加していく。
「甲板には脱出準備の整ったボートを用意してある。もし勝てれば一定時間タイガーシャークの気を引いておいてやる、自由に使うと良い」
「そんな、そんなこと、信じられない…」
「貴様は運が良い。ティムのことだ、ゲームに負けてもモルモットを鮫の餌にするくらいの腹いせは用意していただろう」
「俺等超優しーいっ!あ、ここで言う鮫ってタイガーシャークのことじゃなくて、モノホンのサメな!」
「……」
またこの、有無を言わさない雰囲気。自分がどう発言してもしなくても、この者達は同じ結果へ強引に導くつもりだろう。
「但し。捕まれば今度こそ身の安全は保障しない」
「身の、安全…?」
「さっきの続きってことだよ!」
ジョエルは舌舐めずりをしながら道を譲る。反対側、夢主の背後ではジュウベエも通せん坊を今だけ放棄した。
「さあ、ゲーム再開だぜ子犬ちゃん」
「ジョエル側と俺側、どちらから抜けても甲板への道のりは同じだ」
何にせよ、まだ逃げ続ける必要がある。夢主は最後の力を振り絞って、
そのまま前へ走りだした
→6ページ目
振り返って走りだした
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