「じゃーまあ、改めて自己紹介ってことで！」

全員がリビングに集まり、腰を下ろしたりホログラムのままテーブルに乗っかったりしたところでピーターが切り出した。

「僕はナイトオウル。こっちは相棒のロールシャッハ」
「…ロールシャッハだ」
「なーんかあのマスク、オバケみたいじゃない？」

彼の対角線上に座るジェシカは、眉間に皺を寄せたまま隣のエドに同意を求める。

「オバケ？あの模様のこと？」
「だってあれ、ずっとウヨウヨしてるじゃない」

ロールシャッハの頭を覆う白い布、その顔の部分では黒い模様が絶えずうごめき続けている。先程よりは大分穏やかな動きだ。

「確かに、気味が悪ぃな」
「変なの！どーなってんだ？アレ」
「ア、アキラ！ええっと……不思議なマスクなんですね…！」

子供達４人は見慣れない白黒マスクがどうも気になる。

「オバケじゃないよジェシカ」

本人や相棒の代わりに、メガネを掛けた小さな男の子が丁寧に説明し始める。

「あのマスクは熱や圧力、すなわち、ロールシャッハの体温や顔の動きに反応して模様が変わり続ける、特殊な布でできているんだ。パロディの漫画ではマンハッタン博士が発明したんだけど、実際にはナイトオウルが作ったんだよ。世界で唯一と言っても過言じゃない、素晴らしい発明さ！」
「そうなんだ、船も不思議なマスクも作れるなんてスゲー！」

ナイトオウルは自分の後頭部を軽くかいた。

「へぇ～。ホント、エドって何でも知ってるのね」
「っていうか、夢みたいだよ！人前になかなか出てこないダークヒーロー二人に、こうして会って話ができるなんて！」
「で、何でも喜ぶのね…」
「僕までダークヒーローって認識されているのか…」

ナイトオウルは小さく呟いた。

「えっ違うの？」
「あ、いや…」
「おい」

今まで口数の少なかったロールシャッハが低くしゃがれた声でエドを制する。

「気は済んだか？」
「ご、ごめんなさい…」
「ああそうだった、雑談はこのくらいにしてそろそろ本題に入ろうか。ロールシャッハ」

皆の視線が集まったところで、彼はしっかりとした口調で話し出した。