番外編40:都合良く閉じ込められたら 作成途中
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「げぇ!?またかよ!」
「先程と同じことをすれば良い……という訳ではなさそうですね」
パネル板に記された内容は、1部屋目のものとは少しだけ異なっている。
「少女が4人にキスしないと出られない部屋、か。主語を定義してきたな」
「んじゃ、今度こそ頼むぜ子犬ちゃん」
「待て」
「今回も指令の文章に穴がある」
ジュウベエとティムは腕を組んで妙なお題を見上げたまま、発言だけで性急な仲間を引き留めた。
「4人に……ということは、お嬢さんも含め5人の内4人に、彼女が口づけをしろということですね」
「てことはあれか?俺等の内1人はチューお預け?」
「お嬢さんの負担を考えれば、まあ、そうなりますが……どうします?スマートブレインさん」
「私に聞くな。ここは、本人の意思を尊重させるべきだろう」
視線が一挙に集まる。
「わ、私っ?」
夢主はまだまだ戸惑い中。理屈では何をどうすれば良いのかとうに理解しているのだが、気持ちの切り換えがうまくいかない。
「う、あ、え~、その…」
条件を満たせば、この怪しい施設を脱出できるかはともかく、先へと進むことができる。今しがたの成功体験により、パネル板を無視するという選択肢は完全に消え失せたらしい。
「えーっと……」
「さっさと決めてくんね?お預け係」
「うぅ……じゃあ……」
指を閉じた手で差されたのは先程から一言も発していないジュウベエだった。
「ヘッ、嫌われてやんのー」
「だからどうということは無い。早く済ませろ」
除外された男性は出口の側まで歩いて行って壁に寄り掛かると、腕を組んで目を伏せた。
「んじゃ俺から。んぅ~」
「だから待て。今回も口と口である必要は無いではないか」
「チッ、気付いてたか。じゃあこっち」
横を向かれたので、夢主はそのまま彼の頬に唇を柔く押し当てる。いやらしいリップ音を立ててしまわないよう、慎重に。
「ごちそーさ~ん」
こうまで堂々とした態度を取られてしまうとキスしたこちらが恥ずかしがる間も奪われたようで、何だか納得がいかない気分だ。
「頬でなくとも、手等で宜しいのでは?」
「……はっ!」
指摘されて夢主は初めて気が付いた。
「割かしチョロイよなーお前」
「フフフ。では、私とティムにもお願いします。手の甲にしておきましょうか?」
「このような状況下で実験体から忠誠を誓われるとは、皮肉なものだな」
色々な意味でかなり不服だが、課せられたお題を放棄する訳にもいかない。平常心を心掛けながら2人分を黙々とこなし、最後に利き手を自分の唇に触れさせる。
開錠音がした方を見ると、全く同じ姿勢で待ち続けていたスーツの男性が丁度目を開いたところだった。
「……」
もし彼へのキスも必要だったならば、どうなっていただろうか。
否、どうということは別段無い。相手が彼であろうとなかろうと指示を淡々とこなせば良いだけの話。
だが、その想像図がはっきりとした輪郭を持つよりも先に脳内から急いで掻き消した。誰にも内緒で焦った理由を夢主はまだ知らないままでいたかった。
「先程と同じことをすれば良い……という訳ではなさそうですね」
パネル板に記された内容は、1部屋目のものとは少しだけ異なっている。
「少女が4人にキスしないと出られない部屋、か。主語を定義してきたな」
「んじゃ、今度こそ頼むぜ子犬ちゃん」
「待て」
「今回も指令の文章に穴がある」
ジュウベエとティムは腕を組んで妙なお題を見上げたまま、発言だけで性急な仲間を引き留めた。
「4人に……ということは、お嬢さんも含め5人の内4人に、彼女が口づけをしろということですね」
「てことはあれか?俺等の内1人はチューお預け?」
「お嬢さんの負担を考えれば、まあ、そうなりますが……どうします?スマートブレインさん」
「私に聞くな。ここは、本人の意思を尊重させるべきだろう」
視線が一挙に集まる。
「わ、私っ?」
夢主はまだまだ戸惑い中。理屈では何をどうすれば良いのかとうに理解しているのだが、気持ちの切り換えがうまくいかない。
「う、あ、え~、その…」
条件を満たせば、この怪しい施設を脱出できるかはともかく、先へと進むことができる。今しがたの成功体験により、パネル板を無視するという選択肢は完全に消え失せたらしい。
「えーっと……」
「さっさと決めてくんね?お預け係」
「うぅ……じゃあ……」
指を閉じた手で差されたのは先程から一言も発していないジュウベエだった。
「ヘッ、嫌われてやんのー」
「だからどうということは無い。早く済ませろ」
除外された男性は出口の側まで歩いて行って壁に寄り掛かると、腕を組んで目を伏せた。
「んじゃ俺から。んぅ~」
「だから待て。今回も口と口である必要は無いではないか」
「チッ、気付いてたか。じゃあこっち」
横を向かれたので、夢主はそのまま彼の頬に唇を柔く押し当てる。いやらしいリップ音を立ててしまわないよう、慎重に。
「ごちそーさ~ん」
こうまで堂々とした態度を取られてしまうとキスしたこちらが恥ずかしがる間も奪われたようで、何だか納得がいかない気分だ。
「頬でなくとも、手等で宜しいのでは?」
「……はっ!」
指摘されて夢主は初めて気が付いた。
「割かしチョロイよなーお前」
「フフフ。では、私とティムにもお願いします。手の甲にしておきましょうか?」
「このような状況下で実験体から忠誠を誓われるとは、皮肉なものだな」
色々な意味でかなり不服だが、課せられたお題を放棄する訳にもいかない。平常心を心掛けながら2人分を黙々とこなし、最後に利き手を自分の唇に触れさせる。
開錠音がした方を見ると、全く同じ姿勢で待ち続けていたスーツの男性が丁度目を開いたところだった。
「……」
もし彼へのキスも必要だったならば、どうなっていただろうか。
否、どうということは別段無い。相手が彼であろうとなかろうと指示を淡々とこなせば良いだけの話。
だが、その想像図がはっきりとした輪郭を持つよりも先に脳内から急いで掻き消した。誰にも内緒で焦った理由を夢主はまだ知らないままでいたかった。