番外編40:都合良く閉じ込められたら 作成途中
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「おい、ジョエル?」
「貴方、まさか…」
「ドアは開かねえ、テレポートできねえ、ヴィランも助けも呼べねえ。つーことで、いくぞ」
夢主は反射的に唇を巻き込み膝を閉じた。
「待たないかジョエル!」
ティムのこめかみに冷や汗が伝う。思考よりも手の早い仲間は残りの2人によって少女から十二分に引き離された。
「なんで止めんだよ!さっさとミッションクリアしてこんなところ出ようぜ!?」
彼はまだ諦めそうにないので、ジュウベエとマニーノの羽交い締めも緩められない。
「罠かもしれない。犯人の目的がわからない以上、素直に従うのは危険だ。まずは落ち着け」
「考えてみても下さい。一番手が貴方では彼女が気の毒でしょう」
「全く以て2人の言う通りだ。お前はいつも早計……ん?」
まともな発言をした顔をして色男マニーノはちゃっかり前へ進み出る。
「野蛮な仲間で申し訳ありません。一方で私は紳士ですからね、ご安心下さい」
彼は決して力で押し通すようなことはしない。ひざまづき、硬直していた彼女へ下方から手を差し伸べた。恐る恐る出てきた手をそっと掬い上げる。
「貴女のタイミングで構いませんよ、さあどうぞ」
ふわりと微笑み、その流れで両目を閉じてみせる。
「え…その……」
容姿端麗な西洋男子の顔面をお好きにどうぞ、とおまかせされてしまった。
「あ、あの……」
キリリと鋭く、かつ柔らかな雰囲気も感じられる眉。からの、程よい堀の先にある目元と長い睫毛。筋の通った、しかし美容整形特有の違和感は無い鼻。どれを取っても圧倒される。もしかしたら肌は私より綺麗なのではないだろうか。
「あ、ある意味、ハードル高いです…」
触れ合っている指先に熱が集まる。一丁前に照れていることが相手へ伝わっていることだろう。こういったことに免疫過小の夢主は更に恥ずかしくなってしまった。
「フフ、参りましたね。緊張させるつもりは無かったのですが」
「んじゃあやっぱ俺から、っておい、誰がハードル低いって!?」
「マニーノ、ジョエル、いい加減にしろ」
非常事態だというのにマイペース過ぎやしないか。ティムは目覚めた数刻前以上に頭が痛くなってきた。
「よく読め。この指示には、誰が4人のどこに…とは明記されていないだろう」
「そもそもこんな指示に従わなくとも、他に脱出する方法を探せば良い」
「オイオイお二人さんよ、何ビビってんだ?コイツから俺等全員にキッスさせりゃ秒で解決すんだろ、多分。ほらボサッと突っ立ってんじゃねーよ」
ジョエルが夢主の手首を掴み、力任せに自身の胸元へ引き寄せる。
「待てと言っている。仮に指示通り行動し無事脱出できたとしよう。この娘をぞんざいに……特に、性的な面でそのように扱った事実がロールシャッハの耳に入れば、我々はどうなる?」
「……ヤバそう」
ヒーロー間での暗黙のルールなのか、自分達が正義の味方から露骨に命を狙われたなんてことは一度も無い。ロールシャッハを除いて。
実質人間の中年男など、数多くのヴィランを使役するセレブな彼等にとっては取るに足らない驚異。常識的に考えればそうなのだが、子供を拘束する力はあっさり抜けた。夢主は急いで壁際へ舞い戻る。
ジョエルが真に受けている一方で、特定のヒーローによる圧を肌で感じ取り、長ドスの鞘を持つ手の親指が柄を押し上げ刃を見せた。
「……」
「ジュウベエ。今は対抗心を燃やしている場合ではない」
「脱出後に何が待っているかなんて、ここを出てから考えませんか?このまま何もせず酸欠や餓死だなんて御免ですよ私は」
5人が閉じ込められている部屋には空調機器も食糧も無く、長期間の生活には不向きの空間。
「それに、きちんと指示に従っているか否か、犯人にチェックされている可能性があります。彼、あるいは彼等に飽きられれば私達はおしまいです」
また、今の環境がいつまで続くかも不明。
「と言うと?」
「突然床がパカッと開いて……なんてことも、無いとは言い切れません」
ティムからの問いに対する回答内容で、夢主だけが足をすくませた。
「だとしたら随分と雑なデスゲームだな」
「そっちのがわかりやすくて面白そーじゃん」
ピンポイントな指示、知らない場所、この面子、どれも謎の一言に尽きるが、自分達が何者かの手の平の上で踊らされていることは確実だ。
「とにかく、これ以上下手に行動し犯人の出方をうかがうよりかは、従順な姿を見せつけておいた方が宜しいかと」
マニーノが見上げた天井四隅には穴や凹凸等といった変わった点は認められないが、隠しカメラ以外の方法で監視されているかもしれない。
「何でも良いからさっさと試そうぜ。こんなとこ早く出てぇしよ」
「……わかった。だが待て」
ティムは壁に沿って設置されている簡素なテーブルへ近付く。
「ペンは無いのか。気の利かない犯人だな」
そしてそこに乗っていたメモ帳から1枚拝借し、細長い形へ千切り始めた。
「来なさい。これを持っていろ」
どうやらキスされる・させられる流れではなさそうだ。言われるがまま夢主はくじ引きの下半分を両手で握った。
だが、ひとつ疑問が。
「あの、これ…」
4本、つまり自分を除いた人数分しか無い。
「恨みっこナシだぜ」
「恨む程のことでもない」
「ティム、貴方は余り物に賭けるべきでは?製作者は当たり外れの見分けがついているでしょう」
「構わないから早く決定しろ」
何のためのくじ引きなのかはっきりと告げられぬまま、満場一致の雰囲気で男性達は事を進める。
先端が微かに折れ曲がっている紙を引き当てたのは、夢主に詰め寄っていた厚顔無恥な美男子だった。
「これ程までに有り難みの無い当たりは存在しませんね」
全然気乗りしないマニーノは、同じくテンションの低いティムが差し出した手の甲に唇を軽く落とす。
「はぁ……さあさ、お次は何方ですか?」
返答の代わりに、ジュウベエは無言でスツールを踏みつけ膝を立てた。
「靴に!?しませんからね!」
「なあなあ、どうせなら俺のギターにしてくれよ!あれ?俺のギターどこいった?盗られたか!?置いて来ちまっただけか?」
「手でも腕でもさっさと出してください!貴方達自由過ぎます!」
「マニーノ、そう言うお前も大概だからな」
夢主は騒がしくも面白おかしい雰囲気のせいで、つい含み笑いから声まで漏れ出しそうになった。
悪党、しかも割と年上の男性にもこんな一面があるのか。もっとも当人等としては本気故の言動なのだが、それが余計に子供っぽく見える。
「何だね?」
「い、いえっ」
異様な環境下だからこそ、夢主は普段の自分の立場を度外視して彼等のやり取りを観察できていた。
「貴方、まさか…」
「ドアは開かねえ、テレポートできねえ、ヴィランも助けも呼べねえ。つーことで、いくぞ」
夢主は反射的に唇を巻き込み膝を閉じた。
「待たないかジョエル!」
ティムのこめかみに冷や汗が伝う。思考よりも手の早い仲間は残りの2人によって少女から十二分に引き離された。
「なんで止めんだよ!さっさとミッションクリアしてこんなところ出ようぜ!?」
彼はまだ諦めそうにないので、ジュウベエとマニーノの羽交い締めも緩められない。
「罠かもしれない。犯人の目的がわからない以上、素直に従うのは危険だ。まずは落ち着け」
「考えてみても下さい。一番手が貴方では彼女が気の毒でしょう」
「全く以て2人の言う通りだ。お前はいつも早計……ん?」
まともな発言をした顔をして色男マニーノはちゃっかり前へ進み出る。
「野蛮な仲間で申し訳ありません。一方で私は紳士ですからね、ご安心下さい」
彼は決して力で押し通すようなことはしない。ひざまづき、硬直していた彼女へ下方から手を差し伸べた。恐る恐る出てきた手をそっと掬い上げる。
「貴女のタイミングで構いませんよ、さあどうぞ」
ふわりと微笑み、その流れで両目を閉じてみせる。
「え…その……」
容姿端麗な西洋男子の顔面をお好きにどうぞ、とおまかせされてしまった。
「あ、あの……」
キリリと鋭く、かつ柔らかな雰囲気も感じられる眉。からの、程よい堀の先にある目元と長い睫毛。筋の通った、しかし美容整形特有の違和感は無い鼻。どれを取っても圧倒される。もしかしたら肌は私より綺麗なのではないだろうか。
「あ、ある意味、ハードル高いです…」
触れ合っている指先に熱が集まる。一丁前に照れていることが相手へ伝わっていることだろう。こういったことに免疫過小の夢主は更に恥ずかしくなってしまった。
「フフ、参りましたね。緊張させるつもりは無かったのですが」
「んじゃあやっぱ俺から、っておい、誰がハードル低いって!?」
「マニーノ、ジョエル、いい加減にしろ」
非常事態だというのにマイペース過ぎやしないか。ティムは目覚めた数刻前以上に頭が痛くなってきた。
「よく読め。この指示には、誰が4人のどこに…とは明記されていないだろう」
「そもそもこんな指示に従わなくとも、他に脱出する方法を探せば良い」
「オイオイお二人さんよ、何ビビってんだ?コイツから俺等全員にキッスさせりゃ秒で解決すんだろ、多分。ほらボサッと突っ立ってんじゃねーよ」
ジョエルが夢主の手首を掴み、力任せに自身の胸元へ引き寄せる。
「待てと言っている。仮に指示通り行動し無事脱出できたとしよう。この娘をぞんざいに……特に、性的な面でそのように扱った事実がロールシャッハの耳に入れば、我々はどうなる?」
「……ヤバそう」
ヒーロー間での暗黙のルールなのか、自分達が正義の味方から露骨に命を狙われたなんてことは一度も無い。ロールシャッハを除いて。
実質人間の中年男など、数多くのヴィランを使役するセレブな彼等にとっては取るに足らない驚異。常識的に考えればそうなのだが、子供を拘束する力はあっさり抜けた。夢主は急いで壁際へ舞い戻る。
ジョエルが真に受けている一方で、特定のヒーローによる圧を肌で感じ取り、長ドスの鞘を持つ手の親指が柄を押し上げ刃を見せた。
「……」
「ジュウベエ。今は対抗心を燃やしている場合ではない」
「脱出後に何が待っているかなんて、ここを出てから考えませんか?このまま何もせず酸欠や餓死だなんて御免ですよ私は」
5人が閉じ込められている部屋には空調機器も食糧も無く、長期間の生活には不向きの空間。
「それに、きちんと指示に従っているか否か、犯人にチェックされている可能性があります。彼、あるいは彼等に飽きられれば私達はおしまいです」
また、今の環境がいつまで続くかも不明。
「と言うと?」
「突然床がパカッと開いて……なんてことも、無いとは言い切れません」
ティムからの問いに対する回答内容で、夢主だけが足をすくませた。
「だとしたら随分と雑なデスゲームだな」
「そっちのがわかりやすくて面白そーじゃん」
ピンポイントな指示、知らない場所、この面子、どれも謎の一言に尽きるが、自分達が何者かの手の平の上で踊らされていることは確実だ。
「とにかく、これ以上下手に行動し犯人の出方をうかがうよりかは、従順な姿を見せつけておいた方が宜しいかと」
マニーノが見上げた天井四隅には穴や凹凸等といった変わった点は認められないが、隠しカメラ以外の方法で監視されているかもしれない。
「何でも良いからさっさと試そうぜ。こんなとこ早く出てぇしよ」
「……わかった。だが待て」
ティムは壁に沿って設置されている簡素なテーブルへ近付く。
「ペンは無いのか。気の利かない犯人だな」
そしてそこに乗っていたメモ帳から1枚拝借し、細長い形へ千切り始めた。
「来なさい。これを持っていろ」
どうやらキスされる・させられる流れではなさそうだ。言われるがまま夢主はくじ引きの下半分を両手で握った。
だが、ひとつ疑問が。
「あの、これ…」
4本、つまり自分を除いた人数分しか無い。
「恨みっこナシだぜ」
「恨む程のことでもない」
「ティム、貴方は余り物に賭けるべきでは?製作者は当たり外れの見分けがついているでしょう」
「構わないから早く決定しろ」
何のためのくじ引きなのかはっきりと告げられぬまま、満場一致の雰囲気で男性達は事を進める。
先端が微かに折れ曲がっている紙を引き当てたのは、夢主に詰め寄っていた厚顔無恥な美男子だった。
「これ程までに有り難みの無い当たりは存在しませんね」
全然気乗りしないマニーノは、同じくテンションの低いティムが差し出した手の甲に唇を軽く落とす。
「はぁ……さあさ、お次は何方ですか?」
返答の代わりに、ジュウベエは無言でスツールを踏みつけ膝を立てた。
「靴に!?しませんからね!」
「なあなあ、どうせなら俺のギターにしてくれよ!あれ?俺のギターどこいった?盗られたか!?置いて来ちまっただけか?」
「手でも腕でもさっさと出してください!貴方達自由過ぎます!」
「マニーノ、そう言うお前も大概だからな」
夢主は騒がしくも面白おかしい雰囲気のせいで、つい含み笑いから声まで漏れ出しそうになった。
悪党、しかも割と年上の男性にもこんな一面があるのか。もっとも当人等としては本気故の言動なのだが、それが余計に子供っぽく見える。
「何だね?」
「い、いえっ」
異様な環境下だからこそ、夢主は普段の自分の立場を度外視して彼等のやり取りを観察できていた。