番外編40:都合良く閉じ込められたら 作成途中
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「イタズラ?だよね…」
夢主は何かに取り憑かれたようにふらりと立ち上がった。
背後にある扉のノブへ期待を込めて手を掛けるが、何度回そうとしてもほんの少しの角度で突っ掛かってしまう。唯一の出口に鍵がかけられていることのチェックだけに終わった。
「うそ…やだ、うそっ…!」
「うぅ~ん…」
「!?」
がちゃがちゃと立ててしまった騒音により、悪漢達が次々と上体を起こしだす。
「っ……何だここは…?」
「うぅ……たしかアジトに居た筈だが、ロキ城とも違う……全員無事か?ロゼッタが居ないな」
「頭痛ぇ……って、ロールシャッハのガキ!」
「その表現は語弊を生みますよ。ごきげんようお嬢さん」
4人の内、ジュウベエだけは辺りを見回してから夢主を睨んだ。
「まさかこれは貴様が仕組ん……いや、不可能か。それに不可解だ」
ヘビに睨まれたカエルが弁明するよりも先に、この子供も自分達と同じ立場におかれていると結論付けた。
「んな怖がんなよ~、なんもしねえから。今は」
「今は!?」
「やめなさいジョエル」
仮に彼女の困惑した表情が演技だとしたら、弱者がこのような手間隙をかけて己を窮地へ追い込む動機が謎だ。アベンジャーズやS.H.I.E.L.D.がこんなことに協力するとも思えない。
「ご安心を。私の目が黒い内は好き勝手させません」
「お前碧眼だろ。つーか誰か説明してくれよ、何なんだよこの状況?ロキの仕業かぁ?」
「それにしては目的が不明だ」
「そうだな。特に……」
ティムの言葉が途切れたと同時に、男達はパネル板の文字を見上げる。
「4人の男性って、どー考えても俺等のことだよな」
「……」
叶うならばその字面を見つけてほしくなかった。
「そして、私達よりも彼女が先に目覚めていた……ということですか」
「……」
これは自分の仕業ではないし何らかの悪事が暴かれた訳でもない。夢主が部屋の隅で縮こまっているのは、彼等の次に取るであろう行動にひどく警戒しているから。
「アレってマジなのか?ちょっとそこ退いとけ」
ジョエルは無理矢理外に出ようと、夢主には目もくれず隣で扉をこじ開け始めた。
「ふぬぬっ、意外と固ぇな…!」
「スマホが無い……外部からの協力は得られませんね」
力業をジョエルだけに任せ、他の3人は状況整理に戻る。
「おぉい、誰かこっち手伝えよ!」
「ティム、転送装置は?」
「残念ながら壊されている。お前の愛用品ならここに」
ティムは手元に転がっていた長ドスをジュウベエへ手渡した。受け取った持ち主はその刃を鞘から出して眺め、スマートブレインの発明品と違って傷ひとつ無いことを確認する。
「ディスクも無くなっているとは……これはロキに大目玉を食らいますね」
「我々に残されたヴィランは、バイオバンドに装着している分のみか」
「そっか、ディスクがあるじゃねえか!俺のアボミネーションにぶっ壊させちまおう!」
孤軍奮闘していた男は摩擦ですっかり熱くなったドアノブを解放し、数歩下がって巨漢用のスペースを空ける。私は何をすべきかと戸惑っている夢主の肩に手を置き、背後にあるベッドの方へ適当に押しやった。
「お前邪魔だ、あっち行ってろ。ディスクモード!……ありゃ?」
自分の声に反応してデジタル時計が緑色のディスクへと変形する筈だが、D・スマッシュしようとした利き手は宙で往生する。
「ディスクモード!……我々のディスクも反応無しだ」
「まじかよ、これじゃ誰も呼び出せねえ!」
人間が持たない特殊能力や並外れたパワーの使用は不可。脱出のための手段が1つ消え失せた。
「ジュウベエ、お前のソードでこう…バーン!っと…」
「長ドスを何だと思っている」
「よく見ればこれ、時計も止まっていますね。今何時何分でしょうか?今日は料理番組の撮影があるのですが…」
バイオバンドや転送装置をどうにか修復できないかといじっていたティムは、仲間の発した言葉の端を拾う。
「今日?日付は分かるのか?」
「ええ、まあ」
「ならば、最後に意識があったときから日は跨いでいないな。しかし、時間帯は全く見当がつかない」
窓の無い小部屋の中、天井の中心に取り付けられた蛍光灯が一定の光量にて5人を照らしている。
「ん~、起きたばっかだけど、なんとなく朝じゃねぇ気がする…」
「お嬢さん、何か知っていることはありませんか?」
「えっ」
状況を一通り把握した大人達は新しい情報を求め、夢主を蚊帳の外から引き入れる。
「わ、私もわからないですっ!皆さんよりちょっと前に目が覚めただけで…」
胸の前でバイオバンドをいつもの癖の如く掴む。ディスクモードよりも小さい形状の触感は、誰も頼りにできない現実を突きつけられたようで心細さが増す。夢主は壁に寄り掛かったまま俯いて目を強く瞑った。
「ディスクがこんなことだからロールシャッハさんも呼べないし……なんで、どうしてこんなことに…どうすれば…」
「どうすればって、今んとこ答えは1つじゃねえか」
少女の目前に立ったジョエルが親指で自分の肩越しに背後のパネルを指し示す。
もう片方の手が夢主の耳横で壁を突く。上半身裸にジャケットの年上男性が、彼女に大きく濃い影を落とした。
夢主は何かに取り憑かれたようにふらりと立ち上がった。
背後にある扉のノブへ期待を込めて手を掛けるが、何度回そうとしてもほんの少しの角度で突っ掛かってしまう。唯一の出口に鍵がかけられていることのチェックだけに終わった。
「うそ…やだ、うそっ…!」
「うぅ~ん…」
「!?」
がちゃがちゃと立ててしまった騒音により、悪漢達が次々と上体を起こしだす。
「っ……何だここは…?」
「うぅ……たしかアジトに居た筈だが、ロキ城とも違う……全員無事か?ロゼッタが居ないな」
「頭痛ぇ……って、ロールシャッハのガキ!」
「その表現は語弊を生みますよ。ごきげんようお嬢さん」
4人の内、ジュウベエだけは辺りを見回してから夢主を睨んだ。
「まさかこれは貴様が仕組ん……いや、不可能か。それに不可解だ」
ヘビに睨まれたカエルが弁明するよりも先に、この子供も自分達と同じ立場におかれていると結論付けた。
「んな怖がんなよ~、なんもしねえから。今は」
「今は!?」
「やめなさいジョエル」
仮に彼女の困惑した表情が演技だとしたら、弱者がこのような手間隙をかけて己を窮地へ追い込む動機が謎だ。アベンジャーズやS.H.I.E.L.D.がこんなことに協力するとも思えない。
「ご安心を。私の目が黒い内は好き勝手させません」
「お前碧眼だろ。つーか誰か説明してくれよ、何なんだよこの状況?ロキの仕業かぁ?」
「それにしては目的が不明だ」
「そうだな。特に……」
ティムの言葉が途切れたと同時に、男達はパネル板の文字を見上げる。
「4人の男性って、どー考えても俺等のことだよな」
「……」
叶うならばその字面を見つけてほしくなかった。
「そして、私達よりも彼女が先に目覚めていた……ということですか」
「……」
これは自分の仕業ではないし何らかの悪事が暴かれた訳でもない。夢主が部屋の隅で縮こまっているのは、彼等の次に取るであろう行動にひどく警戒しているから。
「アレってマジなのか?ちょっとそこ退いとけ」
ジョエルは無理矢理外に出ようと、夢主には目もくれず隣で扉をこじ開け始めた。
「ふぬぬっ、意外と固ぇな…!」
「スマホが無い……外部からの協力は得られませんね」
力業をジョエルだけに任せ、他の3人は状況整理に戻る。
「おぉい、誰かこっち手伝えよ!」
「ティム、転送装置は?」
「残念ながら壊されている。お前の愛用品ならここに」
ティムは手元に転がっていた長ドスをジュウベエへ手渡した。受け取った持ち主はその刃を鞘から出して眺め、スマートブレインの発明品と違って傷ひとつ無いことを確認する。
「ディスクも無くなっているとは……これはロキに大目玉を食らいますね」
「我々に残されたヴィランは、バイオバンドに装着している分のみか」
「そっか、ディスクがあるじゃねえか!俺のアボミネーションにぶっ壊させちまおう!」
孤軍奮闘していた男は摩擦ですっかり熱くなったドアノブを解放し、数歩下がって巨漢用のスペースを空ける。私は何をすべきかと戸惑っている夢主の肩に手を置き、背後にあるベッドの方へ適当に押しやった。
「お前邪魔だ、あっち行ってろ。ディスクモード!……ありゃ?」
自分の声に反応してデジタル時計が緑色のディスクへと変形する筈だが、D・スマッシュしようとした利き手は宙で往生する。
「ディスクモード!……我々のディスクも反応無しだ」
「まじかよ、これじゃ誰も呼び出せねえ!」
人間が持たない特殊能力や並外れたパワーの使用は不可。脱出のための手段が1つ消え失せた。
「ジュウベエ、お前のソードでこう…バーン!っと…」
「長ドスを何だと思っている」
「よく見ればこれ、時計も止まっていますね。今何時何分でしょうか?今日は料理番組の撮影があるのですが…」
バイオバンドや転送装置をどうにか修復できないかといじっていたティムは、仲間の発した言葉の端を拾う。
「今日?日付は分かるのか?」
「ええ、まあ」
「ならば、最後に意識があったときから日は跨いでいないな。しかし、時間帯は全く見当がつかない」
窓の無い小部屋の中、天井の中心に取り付けられた蛍光灯が一定の光量にて5人を照らしている。
「ん~、起きたばっかだけど、なんとなく朝じゃねぇ気がする…」
「お嬢さん、何か知っていることはありませんか?」
「えっ」
状況を一通り把握した大人達は新しい情報を求め、夢主を蚊帳の外から引き入れる。
「わ、私もわからないですっ!皆さんよりちょっと前に目が覚めただけで…」
胸の前でバイオバンドをいつもの癖の如く掴む。ディスクモードよりも小さい形状の触感は、誰も頼りにできない現実を突きつけられたようで心細さが増す。夢主は壁に寄り掛かったまま俯いて目を強く瞑った。
「ディスクがこんなことだからロールシャッハさんも呼べないし……なんで、どうしてこんなことに…どうすれば…」
「どうすればって、今んとこ答えは1つじゃねえか」
少女の目前に立ったジョエルが親指で自分の肩越しに背後のパネルを指し示す。
もう片方の手が夢主の耳横で壁を突く。上半身裸にジャケットの年上男性が、彼女に大きく濃い影を落とした。