番外編36:都合の悪い反射
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ロールシャッハが折れたことで1本の傘を均等に分け合い、ようやくいつもの下校の時間に戻る。
「雨が降るまでは、窓辺に小鳥が止まりに来てたんですよ」
毎度の送り迎え中、大抵は夢主が一方的に喋りロールシャッハはそれを黙って聞いていることが多い。
「鳥は滅多に無いですけど、大きな虫なんかが教室に入ってきたらみんなお勉強どころじゃなくなっちゃうんですよね~。先生も気を取られて講義が中断しちゃうあの感じ、息抜きみたいで結構好きなんです」
どれも取るに足らない話題だが、この時間はロールシャッハファンにとっては正に至福のひと時だった。
「ある意味一躍スターですよね、虫ですけど。あと、グラウンドに入って来ちゃう犬とか!」
相手からは共感も反感もされず、大抵は反応すら無い。それでも、拒絶されるまでは好き勝手に語り続けていた。
だが、稀に例外もある。
「私はまだ見たこと無……」
今日のような悪天候の日は、特に。
「どうした」
下らないお喋りを中断し歩みを止めた子供の方へ振り向く。意気揚々と話していた彼女の顔はすっかり青ざめている。表情の浮き沈みは特に無く、どこか遠くの一点を見つめて小さく呟いた。
「…今……」
ロールシャッハは辺りを見回すが、ヴィランの影は何処にも無い。
と、しばらく経ってから地が微かに唸るような音が鳴り響いたことで彼は納得した。
「フム……雷か」
パートナーの異変の原因はかなり離れた位置で発生したようだ。行き交う人々は何気ない顔で2人の横を通り過ぎていく。
「自然現象だ。あの忌々しい実験装置とは比べ物にならない程甚大で、それでいて被害に遭う確率は極めて低い。全くの別物だ」
「……わかってます」
わかっているつもりだが、いやが応無しに加えられ続けた苦痛の記憶が、こんな些細なことで蘇ってしまう。
「わかってます…あれとは違う…」
両足が重い。靴裏がアスファルトにくっついてしまったかのような錯覚に陥る。電気椅子に括り付けられ拷問を繰り返された後も、こんな風に体が重かった。
「あ……すみません、早く帰りましょうか!」
しかし、それも過去の出来事だ。今更電撃が何だというのだ。自分は今、自由の身だ。手も足も思いのままに動かせる。表情だって。
夢主は口角を上げ恐怖を打ち消しながらロールシャッハの元へと駆け寄った。
が、また足が止まる。辺り一帯が太陽よりも強い光で照らされた直後、猛烈な破壊音が轟いた。
「雨が降るまでは、窓辺に小鳥が止まりに来てたんですよ」
毎度の送り迎え中、大抵は夢主が一方的に喋りロールシャッハはそれを黙って聞いていることが多い。
「鳥は滅多に無いですけど、大きな虫なんかが教室に入ってきたらみんなお勉強どころじゃなくなっちゃうんですよね~。先生も気を取られて講義が中断しちゃうあの感じ、息抜きみたいで結構好きなんです」
どれも取るに足らない話題だが、この時間はロールシャッハファンにとっては正に至福のひと時だった。
「ある意味一躍スターですよね、虫ですけど。あと、グラウンドに入って来ちゃう犬とか!」
相手からは共感も反感もされず、大抵は反応すら無い。それでも、拒絶されるまでは好き勝手に語り続けていた。
だが、稀に例外もある。
「私はまだ見たこと無……」
今日のような悪天候の日は、特に。
「どうした」
下らないお喋りを中断し歩みを止めた子供の方へ振り向く。意気揚々と話していた彼女の顔はすっかり青ざめている。表情の浮き沈みは特に無く、どこか遠くの一点を見つめて小さく呟いた。
「…今……」
ロールシャッハは辺りを見回すが、ヴィランの影は何処にも無い。
と、しばらく経ってから地が微かに唸るような音が鳴り響いたことで彼は納得した。
「フム……雷か」
パートナーの異変の原因はかなり離れた位置で発生したようだ。行き交う人々は何気ない顔で2人の横を通り過ぎていく。
「自然現象だ。あの忌々しい実験装置とは比べ物にならない程甚大で、それでいて被害に遭う確率は極めて低い。全くの別物だ」
「……わかってます」
わかっているつもりだが、いやが応無しに加えられ続けた苦痛の記憶が、こんな些細なことで蘇ってしまう。
「わかってます…あれとは違う…」
両足が重い。靴裏がアスファルトにくっついてしまったかのような錯覚に陥る。電気椅子に括り付けられ拷問を繰り返された後も、こんな風に体が重かった。
「あ……すみません、早く帰りましょうか!」
しかし、それも過去の出来事だ。今更電撃が何だというのだ。自分は今、自由の身だ。手も足も思いのままに動かせる。表情だって。
夢主は口角を上げ恐怖を打ち消しながらロールシャッハの元へと駆け寄った。
が、また足が止まる。辺り一帯が太陽よりも強い光で照らされた直後、猛烈な破壊音が轟いた。