第一部:都合の良い女
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好奇心を抑えきれない夢主はすぐに落下地点を確認しに行く。
墜落したのはきっと宇宙船。中から出てくるのはエイリアンか、銀河のヒーローか、時を越えて還ってきた人間か。アメリカ、もとい、アメリカのヒーローを題材にしたコミックではよくありそうな展開を期待した。
「……ここじゃなかった?」
現場と思われる道路には、宇宙船どころか小さなクレーターも無い。至って普通の、アスファルト。夢主と同じように気になって窓や玄関から顔を出す人間も居たが、先程の閃光を気のせいで済まし引っ込んでいく。
「さっきのって、これが?…違うよね」
唯一見つけたものは、異変でも何でもない、手の平サイズの何か。光ってもいないし熱くもない。流れ星とは無関係だろう。
「何?…コンパクト?」
最初は黒い手鏡かと思って近付いたが、両方はずれ。ギターのピックを大きく分厚くしたような青一色のそれは半分に開かない。機械的な溝や凸凹の具合からして、女性が持ち歩くものではなさそうだ。プラスチックとも金属とも言い難い触感。何かの部品か、玩具か。
裏返す。その中心には円形の画面がただはめ込まれていて、月明かりを反射した。
「ああ、ゲーム機……ん?んん!?」
よく見ると、何者かが青白いラインによって映し出されている。
「ろ、ろ、ロ!」
ロールシャッハを知らない人間がこの奇妙な左右対称模様を見ても、ヒーローの顔だとは思わなかっただろう。
「ロールシャッハ!ロールシャッハさんの玩具!?こんなクオリティ高いグッズがあったなんて!」
大好きなアメリカンヒーローの玩具を目にすることができて、夢主の気分は最高潮に達する。
「はぁ~っ!運命!?運命ね!!」
あるか無いかの人目など気にせず、頬とそれとを何度も何度も擦れ合わせる。
「良いな良いなぁコレ!何処で売ってんだろう?一体誰の……」
正気を取り戻す。
これは落とし物。落とし物には、持ち主が存在する。その誰かに、返さなくてはならない。
「……」
持っていたハンカチでその物体を丁寧に拭く。顔を密着させていた表の面を重点的に。
ヒーローなら、私利私欲のために持ち逃げなんてしない。
だが正直、手放したくない。
「……明日、ね」
もう夜遅いことを理由に、夢主は交番へ寄ることを積極的に諦めた。
墜落したのはきっと宇宙船。中から出てくるのはエイリアンか、銀河のヒーローか、時を越えて還ってきた人間か。アメリカ、もとい、アメリカのヒーローを題材にしたコミックではよくありそうな展開を期待した。
「……ここじゃなかった?」
現場と思われる道路には、宇宙船どころか小さなクレーターも無い。至って普通の、アスファルト。夢主と同じように気になって窓や玄関から顔を出す人間も居たが、先程の閃光を気のせいで済まし引っ込んでいく。
「さっきのって、これが?…違うよね」
唯一見つけたものは、異変でも何でもない、手の平サイズの何か。光ってもいないし熱くもない。流れ星とは無関係だろう。
「何?…コンパクト?」
最初は黒い手鏡かと思って近付いたが、両方はずれ。ギターのピックを大きく分厚くしたような青一色のそれは半分に開かない。機械的な溝や凸凹の具合からして、女性が持ち歩くものではなさそうだ。プラスチックとも金属とも言い難い触感。何かの部品か、玩具か。
裏返す。その中心には円形の画面がただはめ込まれていて、月明かりを反射した。
「ああ、ゲーム機……ん?んん!?」
よく見ると、何者かが青白いラインによって映し出されている。
「ろ、ろ、ロ!」
ロールシャッハを知らない人間がこの奇妙な左右対称模様を見ても、ヒーローの顔だとは思わなかっただろう。
「ロールシャッハ!ロールシャッハさんの玩具!?こんなクオリティ高いグッズがあったなんて!」
大好きなアメリカンヒーローの玩具を目にすることができて、夢主の気分は最高潮に達する。
「はぁ~っ!運命!?運命ね!!」
あるか無いかの人目など気にせず、頬とそれとを何度も何度も擦れ合わせる。
「良いな良いなぁコレ!何処で売ってんだろう?一体誰の……」
正気を取り戻す。
これは落とし物。落とし物には、持ち主が存在する。その誰かに、返さなくてはならない。
「……」
持っていたハンカチでその物体を丁寧に拭く。顔を密着させていた表の面を重点的に。
ヒーローなら、私利私欲のために持ち逃げなんてしない。
だが正直、手放したくない。
「……明日、ね」
もう夜遅いことを理由に、夢主は交番へ寄ることを積極的に諦めた。