番外編32:都合の良い謝罪
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「……」
未だ戻らない夢主のことを気にしつつも、クリスは自分の腕に巻いているバイオバンドにいつもと違うディスクをセットした。
「何だ」
皆が見守る中、小さなロールシャッハは通常通り冷たい調子で発言する。
「おお。普通に出てきた」
「第一声が“何だ”って…」
「バイオコードが変わっても相変わらずね。あら?エドはどこ?」
「クリス、ロールシャッハ。何か変わった感じはあるか?」
腰に手を当てたアイアンマンが早速2人に結果を求める。
「なんとも無ぇよ」
「どういうつもりだ」
クリスが肩透かしを食らっている一方で、返事からして大分不機嫌な様子のロールシャッハ。気難しいヒーローの神経をこれ以上逆撫でしてはいけない。ヒカルは笑顔をひきつらせながら恐る恐る説明しようとした。
「あの、ロールシャッハ。実はスタークさんが…」
「話は全部聞こえていた。良いからさっさと元に戻せ」
「気高きヒーロー様のパートナー愛とやらが確認できたな、これはこれで良い収穫だ」
「黙れ」
「照れることは無いぞ~ロールシャッハ」
「そうじゃない、夢主がこっちに向かって来ている」
「…何?」
その忠告に、アイアンマンは冷やかしを中断し真顔に戻った。
早くしなければディスクの持ち主に黙って実験を進めていたことがバレてしまう。しかし、科学者である彼が閉口した理由は別にあった。
「ロールシャッハ、お前、夢主の居る位置がそんなに細かく感知できるのか?」
アイアンマンが言い終わると同時に、渦中の人物がリビングの扉を開いた。部屋の奥に立っているクリスとロールシャッハを目で捉えたまま微動だにしない。
「……」
「あ、あああ、あの…」
彼女の後ろでは、廊下の壁に寄り添ったエドが人一倍縮こまっている。
「夢主を救出した時もお前の勘に頼ってたしな……あ、よう夢主。ちょいとロールシャッハ借りてるぞ~」
張り詰めた空気の中、トニー・スタークだけはマイペースを貫き通す。
6人目の子供はそんな彼をキッと睨みつけ、一言たりとも発さずに退室していった。
「あらら、怒らせちゃったわね」
「私知~らない」
ワスプとジェシカは他人事のように、読んでいたファッション雑誌へ目を戻す。
「僕、夢主にこのこと伝えに行って、そしたらいきなりトイレから出てきちゃって、止められなくて…その……余計なことしてごめん…」
「こっち睨んでたな…」
「どうするんだよトニー」
アキラ達は主犯の口から出てくるであろう誠意ある言葉を待つ。
「は?俺のせいだっていうのか!?俺はただクリスを促しただけだ!」
「トーニーイー?」
皆の冷たい視線とペッパーに責められ諦めがついたのか、負けず嫌いの彼はがっくしと肩を落とした。
「はぁ…仕方ない。謝りに行くぞ、クリス」
「なんで俺まで」
「俺が行くよ。言い出しっぺだし」
「いいやアキラ、実際にロールシャッハのディスクを装着したのはクリスだ。当人が頭を下げた方が効果的だぞ」
そう言いながら半透明のアイアンマンはまだ怪訝な顔をしているクリスの肩に飛び乗った。あくまで喧嘩を仲裁する側の人間でいるつもりらしい。
「心配するな、俺がついて行ってやる」
「一番悪いのはトニーだと思うけど」
リビングを出て行く2人の背を、残ったアキラ達とアベンジャーズは不安げに見送った。
未だ戻らない夢主のことを気にしつつも、クリスは自分の腕に巻いているバイオバンドにいつもと違うディスクをセットした。
「何だ」
皆が見守る中、小さなロールシャッハは通常通り冷たい調子で発言する。
「おお。普通に出てきた」
「第一声が“何だ”って…」
「バイオコードが変わっても相変わらずね。あら?エドはどこ?」
「クリス、ロールシャッハ。何か変わった感じはあるか?」
腰に手を当てたアイアンマンが早速2人に結果を求める。
「なんとも無ぇよ」
「どういうつもりだ」
クリスが肩透かしを食らっている一方で、返事からして大分不機嫌な様子のロールシャッハ。気難しいヒーローの神経をこれ以上逆撫でしてはいけない。ヒカルは笑顔をひきつらせながら恐る恐る説明しようとした。
「あの、ロールシャッハ。実はスタークさんが…」
「話は全部聞こえていた。良いからさっさと元に戻せ」
「気高きヒーロー様のパートナー愛とやらが確認できたな、これはこれで良い収穫だ」
「黙れ」
「照れることは無いぞ~ロールシャッハ」
「そうじゃない、夢主がこっちに向かって来ている」
「…何?」
その忠告に、アイアンマンは冷やかしを中断し真顔に戻った。
早くしなければディスクの持ち主に黙って実験を進めていたことがバレてしまう。しかし、科学者である彼が閉口した理由は別にあった。
「ロールシャッハ、お前、夢主の居る位置がそんなに細かく感知できるのか?」
アイアンマンが言い終わると同時に、渦中の人物がリビングの扉を開いた。部屋の奥に立っているクリスとロールシャッハを目で捉えたまま微動だにしない。
「……」
「あ、あああ、あの…」
彼女の後ろでは、廊下の壁に寄り添ったエドが人一倍縮こまっている。
「夢主を救出した時もお前の勘に頼ってたしな……あ、よう夢主。ちょいとロールシャッハ借りてるぞ~」
張り詰めた空気の中、トニー・スタークだけはマイペースを貫き通す。
6人目の子供はそんな彼をキッと睨みつけ、一言たりとも発さずに退室していった。
「あらら、怒らせちゃったわね」
「私知~らない」
ワスプとジェシカは他人事のように、読んでいたファッション雑誌へ目を戻す。
「僕、夢主にこのこと伝えに行って、そしたらいきなりトイレから出てきちゃって、止められなくて…その……余計なことしてごめん…」
「こっち睨んでたな…」
「どうするんだよトニー」
アキラ達は主犯の口から出てくるであろう誠意ある言葉を待つ。
「は?俺のせいだっていうのか!?俺はただクリスを促しただけだ!」
「トーニーイー?」
皆の冷たい視線とペッパーに責められ諦めがついたのか、負けず嫌いの彼はがっくしと肩を落とした。
「はぁ…仕方ない。謝りに行くぞ、クリス」
「なんで俺まで」
「俺が行くよ。言い出しっぺだし」
「いいやアキラ、実際にロールシャッハのディスクを装着したのはクリスだ。当人が頭を下げた方が効果的だぞ」
そう言いながら半透明のアイアンマンはまだ怪訝な顔をしているクリスの肩に飛び乗った。あくまで喧嘩を仲裁する側の人間でいるつもりらしい。
「心配するな、俺がついて行ってやる」
「一番悪いのはトニーだと思うけど」
リビングを出て行く2人の背を、残ったアキラ達とアベンジャーズは不安げに見送った。