番外編31:都合の良い居合い
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「夢主と言ったな。拙者が居合いで刀を抜く瞬間、ディー・スマッシュしてみせよ」
その単語を聞いた途端、夢主の震えは徐々に収まっていく。
「ディー・スマッシュを…?」
「そうだ。ヒーローをディスクから出し、拙者の攻撃を寸前で防いでみせるのだ」
夢主はゆっくりと立ち上がり、数歩前に出て相手を見据える。アキラはそんな仲間の背を見て、てっきりシルバーサムライからの挑戦を受ける決心がついたのだと思い込み大人しく見守っていた。
が、彼女の腹は違った。
「ま、待ってください。居合い斬りを止めろって…それ、ロールシャッハさんを危険に晒すってことですよね」
シルバーサムライの発言に対し、6人目の子供は単純な質問ではなく確認する意味を込めて尋ねた。
「……何が言いたい」
「それって、やる意味あるんですか?」
「おっ、おいっ夢主!」
「あちゃー」
夢主による口答えを期に、シルバーサムライからとてつもない怒気が放たれ始める。
「小娘…今自分が何を言ったのか分かっているのか?」
「ロールシャッハさんにわざわざ危ないことをさせたくないだけです。もう、あんなこと…」
尊敬するヒーローがかつて、自分を助けるために肩に受けた生々しい切り傷。そしてそこから滴り落ちる血を思い起こしていた。
「夢主、構うな。奴の言う通りにし」
問答無用でロールシャッハのホログラムを消してしまう。いつに無く強気の姿勢だ。
「過去に如何なる出来事があったところで、今この場には何ら関係無い。お主がどれだけ意地を張ろうと、拙者は構わず刀を振るうぞ」
「どうぞご自由に」
夢主の意志は変わらない。想定外の展開にアイアンマンは声を荒らげた。
「夢主!ディー・スマッシュしろ!」
「いいえ」
「ロールシャッハに万一のことがあっても、ディスクの回復機能があるから心配無い!」
「俺も同じことやったんだよ!ホントに危ないんだってば!」
アキラまでもが夢主の無謀な決断を撤回させようと声を大にした。溝が黒く染まった青色ディスクも、白いバンドの上でカタカタと震え続けている。
「どうやら、お主に賛同する者は一人も居らんようだな」
「あ!でもトニー、ロールシャッハは夢主がディー・スマッシュしなくても、自分でディスクの外へ出られるんだよね?」
アキラはシルバーサムライになるべく聞こえないようトニー・スタークに耳打ちした。しかし、背後から青いディスクを見つめる彼の表情は険しいままだ。
「そうらしいが……ああやって奴が焦ってるってことは、自分から出てくる力は今日は残っていないのかもしれない」
「ええーっ?じゃあどうするんだよ!?」
屋敷の塀の外では、ライブカメラの映像を前にヒカル達も焦りを隠せずにいた。
「どっ、どうしよう!このままだと夢主が斬られちゃうよ~!」
「エド。夢主を助けたいなら俺をディー・スマッシュしろ。準備はできている」
「ソーも準備しておいて。夢主ちゃん、いくら何でも無謀すぎる…!」
「ヒカル、もう少し様子を見てみてはどうだろうか?」
「え?」
4人の子供と3人のヒーローの目が、半透明のマイティ・ソーに向けられる。彼はこの場に居る誰よりも落ち着いた様子で話し始める。
「思うに、これは夢主なりの覚悟でもあるのだ。覚悟の形は人それぞれ……今、彼女の邪魔をするべきではない」
「何呑気なこと言ってんのよ、死んじゃったら覚悟も何もお終いじゃない!」
そうこうしている内に、現場の膠着状態は今にも解かれようとしていた。
「先程のアキラの話に依れば…唯一ロールシャッハをディー・スマッシュできるお主が死ねば、奴は永遠にディスクの外へ出られぬやも知れんぞ」
「それでも、彼を死なせてしまうことはありません」
無力な少女は手足だけでなく声まで震え、みっともないことこの上ない。それでも、彼女は最後まで言い切った。
「生意気な子供……否、強情な女め」
二重三重に念を押したにも関わらず、相手の態度が変わることは無かった。とうとう柄を持つ手に力が込められる。
「タキオン・ブレード!」
シルバーサムライは紫色のオーラを存分に纏った刀を抜き、一気に振り降ろした。
「夢主ー!!」
アキラの叫び声が屋敷中に響き渡る。その後は、鹿威しと震えるディスクがただただ静寂を際立たせていた。
その単語を聞いた途端、夢主の震えは徐々に収まっていく。
「ディー・スマッシュを…?」
「そうだ。ヒーローをディスクから出し、拙者の攻撃を寸前で防いでみせるのだ」
夢主はゆっくりと立ち上がり、数歩前に出て相手を見据える。アキラはそんな仲間の背を見て、てっきりシルバーサムライからの挑戦を受ける決心がついたのだと思い込み大人しく見守っていた。
が、彼女の腹は違った。
「ま、待ってください。居合い斬りを止めろって…それ、ロールシャッハさんを危険に晒すってことですよね」
シルバーサムライの発言に対し、6人目の子供は単純な質問ではなく確認する意味を込めて尋ねた。
「……何が言いたい」
「それって、やる意味あるんですか?」
「おっ、おいっ夢主!」
「あちゃー」
夢主による口答えを期に、シルバーサムライからとてつもない怒気が放たれ始める。
「小娘…今自分が何を言ったのか分かっているのか?」
「ロールシャッハさんにわざわざ危ないことをさせたくないだけです。もう、あんなこと…」
尊敬するヒーローがかつて、自分を助けるために肩に受けた生々しい切り傷。そしてそこから滴り落ちる血を思い起こしていた。
「夢主、構うな。奴の言う通りにし」
問答無用でロールシャッハのホログラムを消してしまう。いつに無く強気の姿勢だ。
「過去に如何なる出来事があったところで、今この場には何ら関係無い。お主がどれだけ意地を張ろうと、拙者は構わず刀を振るうぞ」
「どうぞご自由に」
夢主の意志は変わらない。想定外の展開にアイアンマンは声を荒らげた。
「夢主!ディー・スマッシュしろ!」
「いいえ」
「ロールシャッハに万一のことがあっても、ディスクの回復機能があるから心配無い!」
「俺も同じことやったんだよ!ホントに危ないんだってば!」
アキラまでもが夢主の無謀な決断を撤回させようと声を大にした。溝が黒く染まった青色ディスクも、白いバンドの上でカタカタと震え続けている。
「どうやら、お主に賛同する者は一人も居らんようだな」
「あ!でもトニー、ロールシャッハは夢主がディー・スマッシュしなくても、自分でディスクの外へ出られるんだよね?」
アキラはシルバーサムライになるべく聞こえないようトニー・スタークに耳打ちした。しかし、背後から青いディスクを見つめる彼の表情は険しいままだ。
「そうらしいが……ああやって奴が焦ってるってことは、自分から出てくる力は今日は残っていないのかもしれない」
「ええーっ?じゃあどうするんだよ!?」
屋敷の塀の外では、ライブカメラの映像を前にヒカル達も焦りを隠せずにいた。
「どっ、どうしよう!このままだと夢主が斬られちゃうよ~!」
「エド。夢主を助けたいなら俺をディー・スマッシュしろ。準備はできている」
「ソーも準備しておいて。夢主ちゃん、いくら何でも無謀すぎる…!」
「ヒカル、もう少し様子を見てみてはどうだろうか?」
「え?」
4人の子供と3人のヒーローの目が、半透明のマイティ・ソーに向けられる。彼はこの場に居る誰よりも落ち着いた様子で話し始める。
「思うに、これは夢主なりの覚悟でもあるのだ。覚悟の形は人それぞれ……今、彼女の邪魔をするべきではない」
「何呑気なこと言ってんのよ、死んじゃったら覚悟も何もお終いじゃない!」
そうこうしている内に、現場の膠着状態は今にも解かれようとしていた。
「先程のアキラの話に依れば…唯一ロールシャッハをディー・スマッシュできるお主が死ねば、奴は永遠にディスクの外へ出られぬやも知れんぞ」
「それでも、彼を死なせてしまうことはありません」
無力な少女は手足だけでなく声まで震え、みっともないことこの上ない。それでも、彼女は最後まで言い切った。
「生意気な子供……否、強情な女め」
二重三重に念を押したにも関わらず、相手の態度が変わることは無かった。とうとう柄を持つ手に力が込められる。
「タキオン・ブレード!」
シルバーサムライは紫色のオーラを存分に纏った刀を抜き、一気に振り降ろした。
「夢主ー!!」
アキラの叫び声が屋敷中に響き渡る。その後は、鹿威しと震えるディスクがただただ静寂を際立たせていた。