「ええっ！？今日ですか！？」

何も予定が無いと思い込んでいた日曜の昼、それは突然告げられた。

「スマン、急に決まったことでな」

アイアンマンは溌剌と言い切った。毎度のことながら、申し訳なさそうにする気配は一切感じられない。

「……ヴィランなんですよね」
「ああ。しかも日本の裏社会を牛耳っていると言っても過言じゃない、正に超が付くヴィランだ」
「超……」
「ま、妙なことさえしなければ叩き斬られることは無いだろ」
「た、叩き斬る……」

夢主の顔色は順調に青くなっていく。彼は彼なりに説明しただけで、不安を煽るつもりは一切無かった。

「ロールシャッハさん…」
「スーパーヴィランだか何だか知らんが、夢主が大人しくしていれば問題無いのだろう」
「お前もな、ロールシャッハ」

パートナーの手首の上に立っているヒーローはマスクの内側で口をへの字に曲げ顔を背けた。

「あ、そうそう！そのシルバーサムライだが、忙しい中時間を割いてくれたのが午後の２時」
「もうすぐじゃないですか！」

時計の針は天辺をとうに回っていた。移動の時間も考えると、間もなくという表現の方が近い。

「早く支度しとけよー」
「うう…はい…」
「大丈夫！俺も一緒に行くから！」

帽子で寝癖を隠しているつもりのアキラですら、今の夢主にとっては非常に頼もしく感じられた。