程無くして目蓋の向こう側は眩しくなくなり、転送が完了した。目をゆっくり開くと、夢主は銀色の球体を持って広い廊下の中央に立っている。全くと言って良い程見覚えの無い場所だが、少女は自分とロールシャッハが日本に戻って来たことを確信した。

目の前では、黒ずくめの男３人とその手下のヴィランがアベンジャーズに挟み撃ちにされ応戦している真っ最中。ここは日本且つ、仲間の居るレストランだ。

一つ贅沢を言えば、転送先が悪党の真後ろでなければ良かった。

「あ！」

急に姿を現した６人目に、５人の子供達は声を揃えて叫んだ。人差し指を口の前に立てたがもう遅い。

「んん？あぁ何だよ、なんとか実験のガキか。邪魔だから下がってな……って、ええっ！？」

悪者の一人に本当の意味で気付かれ、それと同時に背を向けジェシカやペッパーの居る方へ走り出した。しかし、夢主の頭上を軽々と跳んできたヴィランが彼女等との間に着地する。仲間との合流を阻まれてしまった。

「こっちだ！」
「はい！」

小さなロールシャッハの言う通り、夢主はすぐ横にある通路へ逃げ込む。

「逃げんなよ実験サンプルちゃーん！」
「俺達でガキを追う。お前等は足止めしてろ！」
「仰せのままにっ！」

ヴィランの代わりに答えたワスプがジュウベエ達の足元を撃つ。が、小さくなっていた彼女はワールウィンドウに吹き飛ばされ、結果３人の男を通してしまう。

援護射撃をしながらアイアンマンは仲間に指示を出す。

「まずい！ハルク、一旦戻れ！ソーも夢主を頼む！」
「通す訳ねえだろ、貴様の相手は俺だ！」

アボミネーションが引こうとするハルクに掴みかかるが、すかさずリパルサーが放たれヴィランは尻餅を突く。

「通す訳ないだろ？」