番外編30:都合の良い一流
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
偶然にも彼は、今の今まで行方不明とされていたアカツキ・ノゾムだった。科学者である彼はロキのアジト内に拘束され、悪事に必要な機械を無理矢理造らされているらしい。
「貴様、本当にアカツキ博士か?証拠を見せろ」
「証拠って言われてもなぁ…俺自身しか知らないことを聞いたところで、今答え合わせできないだろ?身分証明になる物なんかも全部置いてきてしまったし…」
「ロールシャッハさん、まだ疑ってるんですか?この人はさっき私達を庇ってくれたじゃないですか」
「……勝手にしろ」
ロキとその配下の5人組についても彼等の計画についても、アカツキ博士から聞き出せた情報は実にざっくりとしている。それは捕虜である彼が詳細を知らされていないからでもあるが、何より博士からの質問攻めに圧倒され、夢主の方が多く答える側になっていたためだ。
「で、話を戻すが、ヒカルとアキラ…特にアキラは君や周りの人に迷惑をかけていないかい?」
「いえいえ、とっても良い子ですよ。今日お店に入る前、お父さんのことを心配していましたし」
「お店?」
悪党に誘拐されたこと、バイオコードを組み込まれたこと、ロールシャッハ含めたヒーローとアキラ達に救われたこと、彼等と一緒に生活していること。そして今日あった出来事も全て話した。
「何ぃ~?俺がこうして拘束されてるって時に、あいつ等は高級レストランだってえ!?」
「……」
「……」
「俺が毎日何食わされてるのか知ってんのか~!?」
「ええと…なんかごめんなさい…」
「……」
自分が人質に取られて大変な時でも、大事な息子には美味しいものを美味しく食べてほしい。それが親心だと思っていたが、目の前の父親はものの見事に打ち砕いてくれた。手首の上のロールシャッハも呆れて閉口している。
「あ。でも捕虜の食事にしちゃあ、いつも豪華なんだよな…いやそれでも羨ましい!」
「贅沢なものだな。貴様には、皿と他人の口とを何度も往復するフォークを目の前で見せつけられる気持ちは到底わかるまい」
「あれ?ロールシャッハって確か、食にはこだわらないキャラじゃなかったか?俺の思い違いか?」
「あれは購読者を盛り上げるための追加要素だ」
「じゃあ、本当はお豆嫌いなんですか?」
「好物だ」
夢主はメモ帳が欲しくなった。
「気持ちくらいわかるさ。ディスクの中に居ると、腹が減らない代わりに食事ができないもんな」
「そのシステムもアカツキ博士の発明なんですか?」
「ああ。元々はヴィランを拘束しておく手法としてディスクを開発したからな、食事の楽しさなんて考慮しないさ。娯楽要素は後回し後回し。ディスクに閉じ込められているヒーローには悪いが、それくらいのストレスは今は我慢しててくれ。何せこっちはレストランのレの字も出てこないんだぞ!」
途中、真面目な話題に戻ったかと思えば、しつこい不幸自慢がまた始まってしまった。
「あ~あ、俺は毎日重労働だってのに。たまにはステーキくらい出ても良いと思わないか?」
「知るか」
この捕虜、半分は冗談だがもう半分は本気で悔しがっている。こんな状況にも関わらずだ。
大袈裟に表情を変える良い歳をした男性に、夢主は耐えきれず笑い出してしまった。
「ん?笑い事か?こっちは真剣なんだぞ!」
「その……アカツキさん、何だかスタークさんに似てますね」
夢主による極めて不名誉な発言に彼は目を丸くしたが、すっかり緊張が解けた様子の子供に安心してため息を吐く。
「勘弁してくれ…」
「貴様、本当にアカツキ博士か?証拠を見せろ」
「証拠って言われてもなぁ…俺自身しか知らないことを聞いたところで、今答え合わせできないだろ?身分証明になる物なんかも全部置いてきてしまったし…」
「ロールシャッハさん、まだ疑ってるんですか?この人はさっき私達を庇ってくれたじゃないですか」
「……勝手にしろ」
ロキとその配下の5人組についても彼等の計画についても、アカツキ博士から聞き出せた情報は実にざっくりとしている。それは捕虜である彼が詳細を知らされていないからでもあるが、何より博士からの質問攻めに圧倒され、夢主の方が多く答える側になっていたためだ。
「で、話を戻すが、ヒカルとアキラ…特にアキラは君や周りの人に迷惑をかけていないかい?」
「いえいえ、とっても良い子ですよ。今日お店に入る前、お父さんのことを心配していましたし」
「お店?」
悪党に誘拐されたこと、バイオコードを組み込まれたこと、ロールシャッハ含めたヒーローとアキラ達に救われたこと、彼等と一緒に生活していること。そして今日あった出来事も全て話した。
「何ぃ~?俺がこうして拘束されてるって時に、あいつ等は高級レストランだってえ!?」
「……」
「……」
「俺が毎日何食わされてるのか知ってんのか~!?」
「ええと…なんかごめんなさい…」
「……」
自分が人質に取られて大変な時でも、大事な息子には美味しいものを美味しく食べてほしい。それが親心だと思っていたが、目の前の父親はものの見事に打ち砕いてくれた。手首の上のロールシャッハも呆れて閉口している。
「あ。でも捕虜の食事にしちゃあ、いつも豪華なんだよな…いやそれでも羨ましい!」
「贅沢なものだな。貴様には、皿と他人の口とを何度も往復するフォークを目の前で見せつけられる気持ちは到底わかるまい」
「あれ?ロールシャッハって確か、食にはこだわらないキャラじゃなかったか?俺の思い違いか?」
「あれは購読者を盛り上げるための追加要素だ」
「じゃあ、本当はお豆嫌いなんですか?」
「好物だ」
夢主はメモ帳が欲しくなった。
「気持ちくらいわかるさ。ディスクの中に居ると、腹が減らない代わりに食事ができないもんな」
「そのシステムもアカツキ博士の発明なんですか?」
「ああ。元々はヴィランを拘束しておく手法としてディスクを開発したからな、食事の楽しさなんて考慮しないさ。娯楽要素は後回し後回し。ディスクに閉じ込められているヒーローには悪いが、それくらいのストレスは今は我慢しててくれ。何せこっちはレストランのレの字も出てこないんだぞ!」
途中、真面目な話題に戻ったかと思えば、しつこい不幸自慢がまた始まってしまった。
「あ~あ、俺は毎日重労働だってのに。たまにはステーキくらい出ても良いと思わないか?」
「知るか」
この捕虜、半分は冗談だがもう半分は本気で悔しがっている。こんな状況にも関わらずだ。
大袈裟に表情を変える良い歳をした男性に、夢主は耐えきれず笑い出してしまった。
「ん?笑い事か?こっちは真剣なんだぞ!」
「その……アカツキさん、何だかスタークさんに似てますね」
夢主による極めて不名誉な発言に彼は目を丸くしたが、すっかり緊張が解けた様子の子供に安心してため息を吐く。
「勘弁してくれ…」