番外編30:都合の良い一流
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強い閃光に耐えきれず、夢主は両目をぎゅっと瞑る。
「うぐっ!?」
その直後、彼女は硬い何かに体を跳ね返され呻き声を上げた。
「そんな……あら?」
ただ光に包まれ、ロッカールームの壁に激突しただけに終わったかと絶望する。
が、目を開くと先程連れてこられた部屋とは違い、辺りは水色に包まれていた。天井は高く、今ぶつかった壁は氷のような物質で覆われている。
異世界にでも飛ばされてしまったかと錯覚する空間だが、机やその上にある機器類は地球でよく見る形状をしているのでその点は安心した。そして無精髭を生やした黒髪の男性が1人、目を見開いてこちらを凝視していることに気付いた。
「君っ、一体どこから…!?」
「私は、そのっ…」
得体の知れない場所に人間が、しかも日本語を話す人間が居てくれて助かったが、居るからこそ夢主は次の問題に直面した。果たして何から説明すれば、どこからともなく出現した者の話を信じてもらえるだろうか。
しかし肝心の彼の目は夢主自体と言うよりも、彼女の手首に向けられている。
「ディスクだと?…まさか君は…」
男性が何か言い掛けたその時、何者かがこちらへ駆けてくる足音に2人とも振り向いた。
「何ださっきの音は!?」
「いったたた…足を滑らせただけだ」
黒髪の男性は今し方転んだような体勢で白々しく返事をする。椅子もそれらしい角度で倒しておいた。
「…フン。いくら暴れても無駄だぞ、アカツキ博士」
白衣の男はろくに確認もせず、忙しいのかすぐに部屋の前から去っていった。
「よし、行ったぞ。大丈夫かい?」
「ありがとうございます」
小さく縮こまっていた子供は机の下から這い出て立ち上がった。彼は膝を立てて横たわり、夢主を極力体の後ろに隠してくれていた。
ドアや音を遮るものはこの部屋には無いため、互いに小声で言葉を交わす。
「あの、ここはどこですか?」
「ここは…かの有名なスーパーヴィラン、ロキの城。その檻の中だ」
「ええ!?」
せっかく悪者の手から逃れたというのに、着いた先がその悪党の本拠地。先程聞こえた声も、あの5人組の内の科学者に似ていた気がする。
夢主はひとまずパートナーのホログラムを出した。
「どうしましょうロールシャッハさん…」
「知るか。お前が招いた事態だ」
ロールシャッハはポケットに両手を入れたまま冷たく突き返した。意思を尊重されなかったことをまだ根に持っている。
「ロールシャッハに、その青いディスク……やはり君が夢主なんだな」
ヒーローはともかく、何故自分の名前まで知っているのか。少女がそう尋ねる前にロールシャッハが口を出した。
「貴様、アカツキと言ったな」
「ああ。そうだが…」
「アカツキって、ヒカルさんとアキラくんの名字と一緒…」
「何!?ヒカルとアキラを知っているのか!?」
初対面の娘の口から息子達の名前が飛び出したことで、父親は血相を変え身を乗り出した。
「うぐっ!?」
その直後、彼女は硬い何かに体を跳ね返され呻き声を上げた。
「そんな……あら?」
ただ光に包まれ、ロッカールームの壁に激突しただけに終わったかと絶望する。
が、目を開くと先程連れてこられた部屋とは違い、辺りは水色に包まれていた。天井は高く、今ぶつかった壁は氷のような物質で覆われている。
異世界にでも飛ばされてしまったかと錯覚する空間だが、机やその上にある機器類は地球でよく見る形状をしているのでその点は安心した。そして無精髭を生やした黒髪の男性が1人、目を見開いてこちらを凝視していることに気付いた。
「君っ、一体どこから…!?」
「私は、そのっ…」
得体の知れない場所に人間が、しかも日本語を話す人間が居てくれて助かったが、居るからこそ夢主は次の問題に直面した。果たして何から説明すれば、どこからともなく出現した者の話を信じてもらえるだろうか。
しかし肝心の彼の目は夢主自体と言うよりも、彼女の手首に向けられている。
「ディスクだと?…まさか君は…」
男性が何か言い掛けたその時、何者かがこちらへ駆けてくる足音に2人とも振り向いた。
「何ださっきの音は!?」
「いったたた…足を滑らせただけだ」
黒髪の男性は今し方転んだような体勢で白々しく返事をする。椅子もそれらしい角度で倒しておいた。
「…フン。いくら暴れても無駄だぞ、アカツキ博士」
白衣の男はろくに確認もせず、忙しいのかすぐに部屋の前から去っていった。
「よし、行ったぞ。大丈夫かい?」
「ありがとうございます」
小さく縮こまっていた子供は机の下から這い出て立ち上がった。彼は膝を立てて横たわり、夢主を極力体の後ろに隠してくれていた。
ドアや音を遮るものはこの部屋には無いため、互いに小声で言葉を交わす。
「あの、ここはどこですか?」
「ここは…かの有名なスーパーヴィラン、ロキの城。その檻の中だ」
「ええ!?」
せっかく悪者の手から逃れたというのに、着いた先がその悪党の本拠地。先程聞こえた声も、あの5人組の内の科学者に似ていた気がする。
夢主はひとまずパートナーのホログラムを出した。
「どうしましょうロールシャッハさん…」
「知るか。お前が招いた事態だ」
ロールシャッハはポケットに両手を入れたまま冷たく突き返した。意思を尊重されなかったことをまだ根に持っている。
「ロールシャッハに、その青いディスク……やはり君が夢主なんだな」
ヒーローはともかく、何故自分の名前まで知っているのか。少女がそう尋ねる前にロールシャッハが口を出した。
「貴様、アカツキと言ったな」
「ああ。そうだが…」
「アカツキって、ヒカルさんとアキラくんの名字と一緒…」
「何!?ヒカルとアキラを知っているのか!?」
初対面の娘の口から息子達の名前が飛び出したことで、父親は血相を変え身を乗り出した。