番外編30:都合の良い一流
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スタッフ2人は眠りにつかされた夢主を狭いロッカールームのベンチへ横たわらせ、帽子を脱ぎ各々の仮面を装着した。途端に、警備員の制服が黒ずくめの衣装に切り替わる。
「容易いな。今までの苦労は何だったのか」
「まだぐっすり眠ってやがる。しかもディスク入りロールシャッハ付きだ」
赤い髑髏を模したベネチアンマスクの男は、少量減った睡眠薬の瓶を上着のポケットから取り出した。
「持ち主が眠っている限り、俺達は安全って訳だ」
「そうだな。安全な内にさっさとずらかろうぜ!」
金色マスクの男は仲間から預かっていた球体の装置をいじり始める。
「えーっと、どーやるんだったかな…」
「早くしろ」
これでロキの居る城に戻れば彼等の作戦は完了する。既に決着はついたかと思われた。
しかし転送装置を起動させるよりも先に、何の前触れも無く厄介なヒーローがディスクから召還された。
「安全、か」
「げげっ!?」
「なっ、何!?」
居合わせているのは気を失ったパートナーの他に、生身の人間が2人。唯一の出入口を背に立ったロールシャッハがこの場を掌握する。
「まやかしの安心など、真の安全とは程遠い。ただの妄信に過ぎない」
マスクの黒い模様は燃え盛る炎のように散り散りに形を変えていく。
「ディー・スマッシュ無しで勝手に出てきただと!?」
「どーなってんだよこいつのディスク!?」
ジュウベエとジョエルは決して油断などしていなかったが、あり得ない現象に不意を突かれ、2人は驚きを隠せないでいる。
「とにかく…」
「あ、ああ。アボミネーション!」
ジョエルが緑色のディスクに手を伸ばすが、加勢させまいとロールシャッハが持ち主に掴みかかった。
「わーっ!タンマタンマ!待て待て待てって!」
「動くな。お前じゃない、ロールシャッハだ」
鈍く光る刀の切っ先は勘違いしたジョエルでも指名を受けたロールシャッハでもなく、こんな状況下で未だ眠り続ける夢主の首元へ向けられていた。
「貴様、ディスクから自分の意志で出られたということは、自ら入ることも出来るんだろう?」
「……」
「俺が何を言いたいか、分かるな?」
同時刻。2人の男が対峙する壁の向こう側では、ようやく追いかけっこが終わろうとしていた。
「待ちなさいジェシカちゃん!」
「これ以上は困ります、お戻りください!」
「もうっ、放してよ!」
手を振りほどかれた勢いでよろけた男性は体を壁に叩きつけられ、大きな音を立てた。
「夢主ー!聞こえたら返事してー!」
ジェシカは構わず廊下の奥へと走っていく。
「し、失礼しました!ジェシカちゃん、いい加減にしなさい!」
ペッパーは無害な従業員に頭を下げ、困った子供を捕まえに行ってしまった。
「……やれやれ」
アベンジャーズのパートナーに散々振り回されたが、これも計画の内だった。完全に人気が無くなったことを確認し、男は胸元から装飾の付いた仮面を取り出した。
「容易いな。今までの苦労は何だったのか」
「まだぐっすり眠ってやがる。しかもディスク入りロールシャッハ付きだ」
赤い髑髏を模したベネチアンマスクの男は、少量減った睡眠薬の瓶を上着のポケットから取り出した。
「持ち主が眠っている限り、俺達は安全って訳だ」
「そうだな。安全な内にさっさとずらかろうぜ!」
金色マスクの男は仲間から預かっていた球体の装置をいじり始める。
「えーっと、どーやるんだったかな…」
「早くしろ」
これでロキの居る城に戻れば彼等の作戦は完了する。既に決着はついたかと思われた。
しかし転送装置を起動させるよりも先に、何の前触れも無く厄介なヒーローがディスクから召還された。
「安全、か」
「げげっ!?」
「なっ、何!?」
居合わせているのは気を失ったパートナーの他に、生身の人間が2人。唯一の出入口を背に立ったロールシャッハがこの場を掌握する。
「まやかしの安心など、真の安全とは程遠い。ただの妄信に過ぎない」
マスクの黒い模様は燃え盛る炎のように散り散りに形を変えていく。
「ディー・スマッシュ無しで勝手に出てきただと!?」
「どーなってんだよこいつのディスク!?」
ジュウベエとジョエルは決して油断などしていなかったが、あり得ない現象に不意を突かれ、2人は驚きを隠せないでいる。
「とにかく…」
「あ、ああ。アボミネーション!」
ジョエルが緑色のディスクに手を伸ばすが、加勢させまいとロールシャッハが持ち主に掴みかかった。
「わーっ!タンマタンマ!待て待て待てって!」
「動くな。お前じゃない、ロールシャッハだ」
鈍く光る刀の切っ先は勘違いしたジョエルでも指名を受けたロールシャッハでもなく、こんな状況下で未だ眠り続ける夢主の首元へ向けられていた。
「貴様、ディスクから自分の意志で出られたということは、自ら入ることも出来るんだろう?」
「……」
「俺が何を言いたいか、分かるな?」
同時刻。2人の男が対峙する壁の向こう側では、ようやく追いかけっこが終わろうとしていた。
「待ちなさいジェシカちゃん!」
「これ以上は困ります、お戻りください!」
「もうっ、放してよ!」
手を振りほどかれた勢いでよろけた男性は体を壁に叩きつけられ、大きな音を立てた。
「夢主ー!聞こえたら返事してー!」
ジェシカは構わず廊下の奥へと走っていく。
「し、失礼しました!ジェシカちゃん、いい加減にしなさい!」
ペッパーは無害な従業員に頭を下げ、困った子供を捕まえに行ってしまった。
「……やれやれ」
アベンジャーズのパートナーに散々振り回されたが、これも計画の内だった。完全に人気が無くなったことを確認し、男は胸元から装飾の付いた仮面を取り出した。