番外編30:都合の良い一流
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もうじき完全に日が暮れようという時間帯。普段ならペッパー・ポッツはアベンジャーズ基地にて夕食の準備に追われているのだが、今日に限っては子供6人を引き連れ、とある料理店の前で車を停めた。
「着いたわよ。さあ降りて」
「おお…」
「高そうなお店…」
店構えは派手すぎず、かと言って素朴でもない、一言で言い表すならば上品。明るさ控えめに設定されたライトアップは、洗練されたデザインを更に引き立たせている。
クリスやエドは店内に入る前からその雰囲気に圧倒されていた。
「そう?普通じゃない?」
「アハハ、ジェシカの普通は僕達にとっては十分凄いよ…」
お嬢様による直球な感想にヒカルは冷や汗を垂らしながら答えた。
「そう、凄いんだぞここは。なんたって一流の料理人が腕を振るう三ツ星レストランだ。いつ来ても予約でいっぱい、勿論来る客も一流の人間ばかりだ」
半透明のアイアンマンがまるで自分の功績を語るように自慢げに紹介する。
「い、良いんですか…!?」
「みんないつも頑張ってるから、たまには贅沢させてあげなきゃ。良いわねトニー?」
「ああ。大人な俺からのプレゼントだと思ってくれ。だから夢主、そんな辛気臭い顔をすんなって」
「あっ、ええと、はい。その…」
いまいちはっきりしない返事には理由があった。夢主は水平にした手首を顔の高さまで上げ、尊敬するヒーローのホログラムと向き合った。
「済みませんロールシャッハさん、今日はディスクの中に居ていただく日なので…」
タイミングが悪いことに、今日は夢主の体調を考慮してD・スマッシュをお休みする日。よってロールシャッハは高級フランス料理を味わうことができない。
「後で感想だけ教えろ」
例の如く彼の表情は隠れているが、語尾を少しだけ乱暴に言い放たれた気がする。
「みんな、受付通る間はヒーローを隠しておいてね」
「はーい」
ご馳走にありつけず残念がっているのは夢主のパートナーだけではない。
「エド。俺も食べられないのか」
「ぼ、僕に言われても…」
「私達はディスクから解放されるまでお預けよ」
ワスプはハルクを躾るように言い残した後、ジェシカにホログラムを一旦消させた。
一方、子供達は期待に胸を膨らませながら店に入っていく。
「日本でのフランス料理はどれ程のものかしら~?」
「日本人の舌に合わせて、味付けは本場より薄いかもね」
「俺はもっと濃くても良いけどな」
「あら?クリスはデザートがあればそれでオッケーなんじゃないの?」
「んな訳ねーし!」
しかし彼等の内、後ろの方に立っていた夢主が通り過ぎてもその場から動こうとしない子供が一人。
「アキラくん?」
「……へっ?あ、ああ。何?」
様子がおかしい。こういった時この子は余計な考え事などせず、誰よりも目を輝かせ我先へと新境地へ足を踏み入れているからだ。
「アキラ、ミニミニアイアンマンもディスクに入れて欲しいんだが?」
「……」
アイアンマンは腕組みして皮肉っぽくリクエストするが、パートナーはまた自分の世界に入ってしまっている。
そんな弟を心配し、兄がすぐさま引き返してきた。
「アキラ、どうしたの?」
「いや……父さん、今頃どうしてるかなって…美味しいもの、食べるどころじゃないだろうなって思って」
アカツキ・ノゾムはディスクが世界中にばらまかれたあの事件以来、行方を眩ましている。5人組の悪党が身の丈に合わないテクノロジーを駆使している点から、彼はロキに捕らえられている可能性が高い。
こうしている今も父親がどこかで苦しんでいると思うと、アキラは居ても立ってもいられなかった。
「アキラ…」
皆の気分も沈んだかと思えばそんなことは無く、ジェシカがいつもと全く変わらない調子で開口する。
「もー!人質でもない私達が元気無くてどーするの?今は美味しいもの沢山食べて、いっぱい力付けて助けに行きましょ!」
他の子供達も続いて、思い思いに彼を励ます。
「親父さんを連れ戻した後、次は一緒に食いに来れば良いんじゃねえか?」
「クリスの言う通りだよっ!せっかくなんだから、今日はその下調べってことで!」
「自分が人質に取られて大変な時でも、大事な息子には美味しいものを美味しく食べてほしいって思ってるんじゃないかな」
「みんな…」
そしてアキラの肩に乗っているトニー・スタークも、彼なりに励ましの言葉をかける。
「俺がご馳走するんだからアキラ、お前に楽しんでもらわなきゃ困る」
「そうだよな…ありがと!」
「さ、行こうかアキラ」
「うん!」
兄に元気良く返事をしたアキラの大きな声に、ペッパーも安心して歩き出した。
「着いたわよ。さあ降りて」
「おお…」
「高そうなお店…」
店構えは派手すぎず、かと言って素朴でもない、一言で言い表すならば上品。明るさ控えめに設定されたライトアップは、洗練されたデザインを更に引き立たせている。
クリスやエドは店内に入る前からその雰囲気に圧倒されていた。
「そう?普通じゃない?」
「アハハ、ジェシカの普通は僕達にとっては十分凄いよ…」
お嬢様による直球な感想にヒカルは冷や汗を垂らしながら答えた。
「そう、凄いんだぞここは。なんたって一流の料理人が腕を振るう三ツ星レストランだ。いつ来ても予約でいっぱい、勿論来る客も一流の人間ばかりだ」
半透明のアイアンマンがまるで自分の功績を語るように自慢げに紹介する。
「い、良いんですか…!?」
「みんないつも頑張ってるから、たまには贅沢させてあげなきゃ。良いわねトニー?」
「ああ。大人な俺からのプレゼントだと思ってくれ。だから夢主、そんな辛気臭い顔をすんなって」
「あっ、ええと、はい。その…」
いまいちはっきりしない返事には理由があった。夢主は水平にした手首を顔の高さまで上げ、尊敬するヒーローのホログラムと向き合った。
「済みませんロールシャッハさん、今日はディスクの中に居ていただく日なので…」
タイミングが悪いことに、今日は夢主の体調を考慮してD・スマッシュをお休みする日。よってロールシャッハは高級フランス料理を味わうことができない。
「後で感想だけ教えろ」
例の如く彼の表情は隠れているが、語尾を少しだけ乱暴に言い放たれた気がする。
「みんな、受付通る間はヒーローを隠しておいてね」
「はーい」
ご馳走にありつけず残念がっているのは夢主のパートナーだけではない。
「エド。俺も食べられないのか」
「ぼ、僕に言われても…」
「私達はディスクから解放されるまでお預けよ」
ワスプはハルクを躾るように言い残した後、ジェシカにホログラムを一旦消させた。
一方、子供達は期待に胸を膨らませながら店に入っていく。
「日本でのフランス料理はどれ程のものかしら~?」
「日本人の舌に合わせて、味付けは本場より薄いかもね」
「俺はもっと濃くても良いけどな」
「あら?クリスはデザートがあればそれでオッケーなんじゃないの?」
「んな訳ねーし!」
しかし彼等の内、後ろの方に立っていた夢主が通り過ぎてもその場から動こうとしない子供が一人。
「アキラくん?」
「……へっ?あ、ああ。何?」
様子がおかしい。こういった時この子は余計な考え事などせず、誰よりも目を輝かせ我先へと新境地へ足を踏み入れているからだ。
「アキラ、ミニミニアイアンマンもディスクに入れて欲しいんだが?」
「……」
アイアンマンは腕組みして皮肉っぽくリクエストするが、パートナーはまた自分の世界に入ってしまっている。
そんな弟を心配し、兄がすぐさま引き返してきた。
「アキラ、どうしたの?」
「いや……父さん、今頃どうしてるかなって…美味しいもの、食べるどころじゃないだろうなって思って」
アカツキ・ノゾムはディスクが世界中にばらまかれたあの事件以来、行方を眩ましている。5人組の悪党が身の丈に合わないテクノロジーを駆使している点から、彼はロキに捕らえられている可能性が高い。
こうしている今も父親がどこかで苦しんでいると思うと、アキラは居ても立ってもいられなかった。
「アキラ…」
皆の気分も沈んだかと思えばそんなことは無く、ジェシカがいつもと全く変わらない調子で開口する。
「もー!人質でもない私達が元気無くてどーするの?今は美味しいもの沢山食べて、いっぱい力付けて助けに行きましょ!」
他の子供達も続いて、思い思いに彼を励ます。
「親父さんを連れ戻した後、次は一緒に食いに来れば良いんじゃねえか?」
「クリスの言う通りだよっ!せっかくなんだから、今日はその下調べってことで!」
「自分が人質に取られて大変な時でも、大事な息子には美味しいものを美味しく食べてほしいって思ってるんじゃないかな」
「みんな…」
そしてアキラの肩に乗っているトニー・スタークも、彼なりに励ましの言葉をかける。
「俺がご馳走するんだからアキラ、お前に楽しんでもらわなきゃ困る」
「そうだよな…ありがと!」
「さ、行こうかアキラ」
「うん!」
兄に元気良く返事をしたアキラの大きな声に、ペッパーも安心して歩き出した。