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番外編29:都合の良い酔い

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「スッゲー!」

日が落ちてからが本番とでもいうように、人々は緑の芝生の上でごった返していた。大きな特設ステージの前では、より多くの客がミュージシャンの歌や演奏を間近で聴こうと押し寄せ、出演者と一体となり盛り上がりを見せる。

生まれて初めて見るそんな光景に、アキラは目を輝かせた。

「ほお、日本にもこんなに広い公園があるのか。大したもんだ」
「あ、アレ美味そう!」

このイベントの楽しみ方は音楽だけではない。広場のメインとなるステージから少し離れた場所では、様々な屋台や移動販売車が前を通りすがる者の食欲を誘う。

「買ってきて良いでしょ?」
「待ってアキラ、お小遣い渡すから。わかってると思うけど、お酒は駄目だからね。あと、酔っぱらってる人にはあまり近付かないこと」

飲食用のテーブルとベンチも設置されており、既に出来上がり顔を真っ赤にしている客もちらほら居る。

「暗い場所もあるから、足元に注意して。それから」
「分かってるよ、俺は大丈夫だって!」

ヒカルの言葉を遮りアキラは手の平を差し出す。ムッと口を結ぶ子供の肩に、半透明のアイアンマンが飛び乗って胸を張った。

「ヒカル。アキラのことなら心配無用だ。何たって俺がついてるからな!」
「やっぱりアキラくんはヒカルくんと一緒に行動して。その方が安心だわ」
「ペッパー、今俺が…!」
「みんな好きなもの買ってらっしゃい。私はこの辺に居るから」
「えー?なんで俺だけー!」

不機嫌な2人を余所に、ペッパーは皆が揃って座れるテーブルを探しに行った。

「ふーん、野外でライブを聴きながらのジャンクフードねぇ。たまには良いんじゃない?」
「ライブっつーか、もう祭だな」
「なんだか恐そうな人達が沢山居る…」

ジェシカが興味深そうに辺りを見渡す一方で、エドはクリスの後ろに隠れ足をすくませている。

恐そうではなく実際に恐い男ロールシャッハはと言うと、パートナーである夢主の隣で大人しく突っ立っていた。が、拳の骨を鳴らしながら極々小さく呟く。

「フム。こういった祭事は、ハメを外しすぎる愚か者を容易に炙り出してくれる…」
「ロ、ロールシャッハさーん!暴力は無しですよ~!」
「ちょっと夢主、ロールシャッハなんて放っときなさいよ」

ジェシカが適当に引き留めたが夢主は聞く耳を持たず、危険なヒーローを追ってその場を離れてしまった。
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