番外編28:都合の良い助言
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「それ…どこで手に入れたの?」
「!」
キャスターは2人の手首に装着しているディスクを指さした。迂闊にもヒーローのホログラムを消した後、時計モードに変形させ忘れていたのだ。
「子供が持ってて良いオモチャじゃないのよ?大人の私が預かってあげるわ」
「嫌だ!」
赤いディスクを取られそうになったアキラはすかさず腕を引っ込めた。
「お断りします。オモチャじゃないことくらいわかってます。私達はちゃんと管理できますから」
「そう……でも、世間はどう思うかしら!?」
ロゼッタは夢主の手首から青いディスクを素早く奪い、勢い良く振り向いてそれをカメラに見せつけた。
「ご覧ください!日本ではあまり知られていませんが、これはかのヴィラン脱獄事件にてロキが世界中にバラ撒いたディスクという装置です!中にはヴィラン、またはヒーローが閉じ込められている為、悪用されると大変危険な代物!公的機関は日々この装置を捜索しているのです。まさか当番組が世界平和に貢献できるとは!」
「か、返してください!」
ロゼッタ・ライリーは振り向いて、夢主にしか聞こえない程の小声で意地悪く告げる。
「残念ね。この忌々しいヒーローが貴女の手に戻ることは二度と無いわ」
「何なの?…どうしてこんなこと…あとロールシャッハさんは忌々しくないです…」
「ここじゃ分が悪いから、貴女自体の身柄はまた後で。さて、もう一つのディスクも…あら?」
辺りを見渡すが、赤い帽子の子供はいつの間にか姿を消していた。撮影現場に群がる野次馬の中にも居ない。
「あのガキ、どこに…」
「それを返してもらえるかな?ディスク開発者本人に」
ロゼッタと夢主、そしてこの場に居る全員が目を見開いた。赤と黄色の金属アーマーに身を包んだ男は2人の前まで歩いてきて、フェイスカバーを開け堂々と素顔を晒す。
「スタークさん!」
「なっ…!?」
敵が目の前に現れロゼッタが呆気にとられている間に、カメラマンが超有名人へピントを合わせる。
「トニー・スタークだ!!」
「いやあ、誤解させてしまったかな。今日はディスクの簡単な動作チェックをしているんだ。俺がランダムで選んだその子に協力してもらってて、な!」
「あ、はい!」
夢主はアイアンマンの肩越しに、木陰からピースサインを送るアキラを見つけ状況を理解した。
「つーことで、実験はお終い。ディスクを返してくれ、ニュースの女神さん」
「…ええ、勿論です」
たとえ今の話が嘘っぱちだとしても、ディスク開発者にこうも明言されてしまえば抵抗するメリットは無い。返却を渋れば怪しまれてしまう。
溝が黒く染まった青いディスクをアーマーの手に渡す瞬間、フェイスカバーを降ろしたトニー・スタークが周囲には届かない声量で耳打ちしてきた。
「あんた等も、フザケた実験をさっさと止めにするんだ」
その忠告には確かな怒りが込められていた。
ロゼッタから顔を離すと、彼は皆の思い描くようなアイアンマンへと切り替わる。
「んじゃっ、これにて失礼するよ!世界平和のためにも、実験結果を一秒でも早くまとめなきゃならないんでな。このアイアンマンが空の彼方へ飛んでく姿は、エンドロールの足しにでもしてくれ。勿論、出演料はサービスだ!」
そう言いながら彼はジェットブーツを使い浮かび上がる。皆の注目を独り占めにしたスーパーヒーローは晴れ渡った空の彼方へと飛んで行き、あっという間に豆粒程になってしまった。
「いや~、日本に来てまさかアイアンマンが撮れるとは!やっぱ持ってますよロゼッタさん!」
「ニュースの女神も伊達じゃないっすね!」
「……」
ロゼッタ・ライリーの悔しそうな顔も深い事情も何一つ知らない番組スタッフは脳天気にも彼女をヨイショし続ける。
「!」
キャスターは2人の手首に装着しているディスクを指さした。迂闊にもヒーローのホログラムを消した後、時計モードに変形させ忘れていたのだ。
「子供が持ってて良いオモチャじゃないのよ?大人の私が預かってあげるわ」
「嫌だ!」
赤いディスクを取られそうになったアキラはすかさず腕を引っ込めた。
「お断りします。オモチャじゃないことくらいわかってます。私達はちゃんと管理できますから」
「そう……でも、世間はどう思うかしら!?」
ロゼッタは夢主の手首から青いディスクを素早く奪い、勢い良く振り向いてそれをカメラに見せつけた。
「ご覧ください!日本ではあまり知られていませんが、これはかのヴィラン脱獄事件にてロキが世界中にバラ撒いたディスクという装置です!中にはヴィラン、またはヒーローが閉じ込められている為、悪用されると大変危険な代物!公的機関は日々この装置を捜索しているのです。まさか当番組が世界平和に貢献できるとは!」
「か、返してください!」
ロゼッタ・ライリーは振り向いて、夢主にしか聞こえない程の小声で意地悪く告げる。
「残念ね。この忌々しいヒーローが貴女の手に戻ることは二度と無いわ」
「何なの?…どうしてこんなこと…あとロールシャッハさんは忌々しくないです…」
「ここじゃ分が悪いから、貴女自体の身柄はまた後で。さて、もう一つのディスクも…あら?」
辺りを見渡すが、赤い帽子の子供はいつの間にか姿を消していた。撮影現場に群がる野次馬の中にも居ない。
「あのガキ、どこに…」
「それを返してもらえるかな?ディスク開発者本人に」
ロゼッタと夢主、そしてこの場に居る全員が目を見開いた。赤と黄色の金属アーマーに身を包んだ男は2人の前まで歩いてきて、フェイスカバーを開け堂々と素顔を晒す。
「スタークさん!」
「なっ…!?」
敵が目の前に現れロゼッタが呆気にとられている間に、カメラマンが超有名人へピントを合わせる。
「トニー・スタークだ!!」
「いやあ、誤解させてしまったかな。今日はディスクの簡単な動作チェックをしているんだ。俺がランダムで選んだその子に協力してもらってて、な!」
「あ、はい!」
夢主はアイアンマンの肩越しに、木陰からピースサインを送るアキラを見つけ状況を理解した。
「つーことで、実験はお終い。ディスクを返してくれ、ニュースの女神さん」
「…ええ、勿論です」
たとえ今の話が嘘っぱちだとしても、ディスク開発者にこうも明言されてしまえば抵抗するメリットは無い。返却を渋れば怪しまれてしまう。
溝が黒く染まった青いディスクをアーマーの手に渡す瞬間、フェイスカバーを降ろしたトニー・スタークが周囲には届かない声量で耳打ちしてきた。
「あんた等も、フザケた実験をさっさと止めにするんだ」
その忠告には確かな怒りが込められていた。
ロゼッタから顔を離すと、彼は皆の思い描くようなアイアンマンへと切り替わる。
「んじゃっ、これにて失礼するよ!世界平和のためにも、実験結果を一秒でも早くまとめなきゃならないんでな。このアイアンマンが空の彼方へ飛んでく姿は、エンドロールの足しにでもしてくれ。勿論、出演料はサービスだ!」
そう言いながら彼はジェットブーツを使い浮かび上がる。皆の注目を独り占めにしたスーパーヒーローは晴れ渡った空の彼方へと飛んで行き、あっという間に豆粒程になってしまった。
「いや~、日本に来てまさかアイアンマンが撮れるとは!やっぱ持ってますよロゼッタさん!」
「ニュースの女神も伊達じゃないっすね!」
「……」
ロゼッタ・ライリーの悔しそうな顔も深い事情も何一つ知らない番組スタッフは脳天気にも彼女をヨイショし続ける。