番外編27:都合の悪い嘘祭
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こんな有様の仲間を放っておけない性分なため、クリスは仕方なく夢主の話を聞くことにした。取りあえず部屋に入り、2人はベッドの縁に並んで腰掛ける。
「素直に、応援できないって…私、性格悪い…」
「そんなこと無ぇだろ。そいつが……気になる奴が、お前じゃなくて他の奴ばっか見ていたら…そんな気持ちにもなるだろ」
クリスはしょぼくれる夢主へ助言をしながら、バッキーのことを引きずっていたかつてのキャプテン・アメリカを思い出していた。
「つーか、ロールシャッハはあれで結婚してんのか?」
「あれってどういう意味」
クリスは純粋な疑問を口にしたが、その言い方が癇に障った。熱心なロールシャッハファンは、たとえどんな状況でも彼を悪く言う者を許さない。顔を上げ彼の横顔をじっと見据える。
「どういう意味」
「夢主。クリスは決して、彼をけなすつもりで言った訳ではない。あくまで素直な疑問を主張したまでだ。そうだろうクリス」
正にパートナーの言う通りだが、こうも明言化されると返ってやり辛さを感じてしまう。
「か、考えてもみろよ。風呂に入らねえ、洗濯もしねえ、危険なヒーロー活動も辞めねえ。そんなの結婚相手が許すと思うか?」
「確かに。夫がそんなことでは妻の心労は絶えないだろう」
「……でも、ロールシャッハさんが言ってたもん」
「言っていない」
話し合いに夢中だった3人は、ロールシャッハ本人が会話に参加して初めて彼が部屋の入口で仁王立ちしていることに気付いた。
「誰だ。そんなデマを流した奴は」
「待ってください、じゃあ…ロールシャッハさんは子供も、許嫁も、彼女も」
「誰だ」
マスクの模様は燃え盛る炎の様に荒々しく流れ続けている。こういう場合、逆らわない方が良い。
「…エドくんと、ジェシカちゃん。あと、ヒカルさんです」
報告を聞くや否や、ロールシャッハは大股でリビングに向かっていった。
それから数秒もせずに小さな子供の悲鳴が基地中に響き、次いでジェシカが部屋に駆け込んできてルームメイトの両肩を掴んだ。
「夢主!さっきのことごめんなさい!夢主をロールシャッハのことで騙したら面白いかもって言った私が悪かったの!反省してるわ!許してくれるわよね!?夢主が許してくれれば何も問題無いわよね!?」
「首謀者が部下を置いて一人逃れられると思うな」
凍りついたジェシカは振り向けず、ただただ顔が青ざめていく。
「できればロールシャッハが来る前に許してくれれば…良かった…」
半泣きのエドを脇に担いだロールシャッハに襟首を掴まれ、哀れジェシカはずるずると引きずられていく。
「あとは参謀か」
それだけ言い残し、鬼と化したダークヒーローは男子部屋へと歩を進める。
「…止めねぇのか」
「ちょっと痛い目見れば良いの!」
いくら頭に血が昇っていても、まさか子供相手に指を折ったりはしないだろう。
まあ自業自得か、と呟くクリスの横顔を見ながら、夢主はふと考えた。彼だけは今日のこのイベントに参加していない。
「ねえ。クリスくんもこのこと知ってたら、私に嘘吐いてた?」
「はあ?しねぇよ。騙してまでお前の落ち込んでる顔見たくねーし」
「!」
割とロマンチックな言葉が放たれ、夢主は思わず目を見開いた。
「……!」
そんな彼女の反応から、クリスは自分が一体何を言ってしまったのかを理解し急いで撤回する。
「く、下んねーってことだよ!こんなっ、嘘吐いて楽しむのがっ!」
「クリス。君の本当の気持ちは、きっと夢主に届いただろう」
パートナーによる追い打ちのせいでクリスは居たたまれなくなり女子部屋を後にした。
「素直に、応援できないって…私、性格悪い…」
「そんなこと無ぇだろ。そいつが……気になる奴が、お前じゃなくて他の奴ばっか見ていたら…そんな気持ちにもなるだろ」
クリスはしょぼくれる夢主へ助言をしながら、バッキーのことを引きずっていたかつてのキャプテン・アメリカを思い出していた。
「つーか、ロールシャッハはあれで結婚してんのか?」
「あれってどういう意味」
クリスは純粋な疑問を口にしたが、その言い方が癇に障った。熱心なロールシャッハファンは、たとえどんな状況でも彼を悪く言う者を許さない。顔を上げ彼の横顔をじっと見据える。
「どういう意味」
「夢主。クリスは決して、彼をけなすつもりで言った訳ではない。あくまで素直な疑問を主張したまでだ。そうだろうクリス」
正にパートナーの言う通りだが、こうも明言化されると返ってやり辛さを感じてしまう。
「か、考えてもみろよ。風呂に入らねえ、洗濯もしねえ、危険なヒーロー活動も辞めねえ。そんなの結婚相手が許すと思うか?」
「確かに。夫がそんなことでは妻の心労は絶えないだろう」
「……でも、ロールシャッハさんが言ってたもん」
「言っていない」
話し合いに夢中だった3人は、ロールシャッハ本人が会話に参加して初めて彼が部屋の入口で仁王立ちしていることに気付いた。
「誰だ。そんなデマを流した奴は」
「待ってください、じゃあ…ロールシャッハさんは子供も、許嫁も、彼女も」
「誰だ」
マスクの模様は燃え盛る炎の様に荒々しく流れ続けている。こういう場合、逆らわない方が良い。
「…エドくんと、ジェシカちゃん。あと、ヒカルさんです」
報告を聞くや否や、ロールシャッハは大股でリビングに向かっていった。
それから数秒もせずに小さな子供の悲鳴が基地中に響き、次いでジェシカが部屋に駆け込んできてルームメイトの両肩を掴んだ。
「夢主!さっきのことごめんなさい!夢主をロールシャッハのことで騙したら面白いかもって言った私が悪かったの!反省してるわ!許してくれるわよね!?夢主が許してくれれば何も問題無いわよね!?」
「首謀者が部下を置いて一人逃れられると思うな」
凍りついたジェシカは振り向けず、ただただ顔が青ざめていく。
「できればロールシャッハが来る前に許してくれれば…良かった…」
半泣きのエドを脇に担いだロールシャッハに襟首を掴まれ、哀れジェシカはずるずると引きずられていく。
「あとは参謀か」
それだけ言い残し、鬼と化したダークヒーローは男子部屋へと歩を進める。
「…止めねぇのか」
「ちょっと痛い目見れば良いの!」
いくら頭に血が昇っていても、まさか子供相手に指を折ったりはしないだろう。
まあ自業自得か、と呟くクリスの横顔を見ながら、夢主はふと考えた。彼だけは今日のこのイベントに参加していない。
「ねえ。クリスくんもこのこと知ってたら、私に嘘吐いてた?」
「はあ?しねぇよ。騙してまでお前の落ち込んでる顔見たくねーし」
「!」
割とロマンチックな言葉が放たれ、夢主は思わず目を見開いた。
「……!」
そんな彼女の反応から、クリスは自分が一体何を言ってしまったのかを理解し急いで撤回する。
「く、下んねーってことだよ!こんなっ、嘘吐いて楽しむのがっ!」
「クリス。君の本当の気持ちは、きっと夢主に届いただろう」
パートナーによる追い打ちのせいでクリスは居たたまれなくなり女子部屋を後にした。