番外編27:都合の悪い嘘祭
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ある休日の午前。歯を磨き終わった夢主はアベンジャーズ基地内の廊下を歩いていた。水に漬けても問題無いが、ロールシャッハのディスクは手首から外して私服のポケットへ大事に仕舞ったままである。
この後は特に予定が無く、これからどうしようかと考えながら女子部屋へ向かう。天気も良いし、起きてすぐロールシャッハをディスクの外に出したばかりで体力もあるので、今日は彼を誘ってのんびり散歩に出掛けるのも良いかもしれない。
「えへへ…何着よっかな~」
そんな無防備な標的の元へ、眼鏡を掛けた小さな子供がわざわざ駆け寄ってきた。
「夢主」
どこか神妙な面持ちである。
「おはようエドくん」
「実は…」
「?」
エドは一度、両目をギュッと瞑ってから訴えるように打ち明け始めた。
「実は、ロールシャッハには彼女が居るんだよ!」
まずは手に持っていた櫛が滑り落ちる。
「えへへ……え?いや、え…?……ロール、…え?」
彼女が居る。と言うことは、お付き合いしている女性が居る。好きな女性が居る。その女性と、付き合っている。夢主は混乱した頭で極々単純な言葉を噛み砕き、徐々に意味を理解していった。
女嫌いで有名なロールシャッハのそんな浮いた話、一度も聞いたことが無い。だが、ヒーローヲタクの証言なら確かな情報なのだろう。
「ぐっ…!」
ショックのあまり平衡感覚を失い、ロールシャッハのパートナーはその場で膝を突いた。
「夢主ちゃん!?」
通りかかったペッパーがエドよりも早く夢主に駆け寄った。
「具合が悪いの!?」
「ちょっと……いや、だいじょ、ぶ…大丈夫です」
そう言いつつも、立ち上がるどころか床に両手を突き腰を下ろしてしまった。
「一体どうしたっていうの?」
「あ、あの~ペッパーさん、実は僕が…」
「あ!ロールシャッハ、調度良いところに来たわ!」
「立て、夢主。いくら何でも早過ぎる」
ついさっきD・スマッシュしたばかりだが、もうパートナーの子供がダウンしている。リミテッドバイオコードより持続時間が短い様では当人はたまったものじゃない。
「夢主ちゃんのこの様子を見てわからないの?今日は諦めなさいロールシャッハ」
「体力ではなく、根性の問題だ」
「こ、根性というより気分の問題かと…」
ペッパーの剣幕と普段から怖いロールシャッハに圧倒され、エドはなかなかネタばらしできずにいる。
「……」
一方で俯きっぱなしの夢主は、3人の話題とは全く別のことを考えていた。
ロールシャッハやナイトオウル、先日会った女性をモデルにして作られた物語には、主要キャラ1人1人をテーマにした前日談があるのだ。
「…ナンシー…」
ブロンドに黒縁眼鏡の、心優しい女性店員との絡み。あのロールシャッハが、女性を食事に誘っていたのだ。もしあれが事実を参考にしたストーリーならば、
「彼女持ち……あり得る…」
「?」
「彼女さん……コミックにも出てますよね…」
夢主は主語を言い忘れ、彼女持ちと聞いてロールシャッハは真っ先にナイトオウルを想像した。
「コミックに?ああ、居るぞ」
物語の終盤、ダニエルとローリーが仲むつまじく彼女の母の元を去ったシーンを思い出す。
「俺の持っている香水まで把握しておいて、そんな単純なことは知らなかったのか?」
この言葉は発言者の想像以上に相手を揺さぶった。
「そ、の…どう思ってるんですか?」
勝ち気な彼女の対とも言える、穏やかでたまに優柔不断なナイトオウルを頼りないと感じる時もある。
「フム。いつになっても危なっかしいというか……その点はコミックと同じだな」
「危なっかしい…」
漫画の中でコバックスを気にかけたナンシーは、不運にも連続殺人犯に半殺しにされてしまった。
「でも…2人は、幸せ、なんですよね」
「そんなこと俺に聞くな」
「夢主ちゃん、どうしちゃったの?」
「私は……私はずっと、ロールシャッハさんのファンです!!」
心配するペッパーを無視し、体力に何ら問題無い子供はすんなり立ち上がり力強く宣言してみせた。
「?……好きにしろ」
「いつも通り…なのかしら?」
「ア、アハハ…」
この後は特に予定が無く、これからどうしようかと考えながら女子部屋へ向かう。天気も良いし、起きてすぐロールシャッハをディスクの外に出したばかりで体力もあるので、今日は彼を誘ってのんびり散歩に出掛けるのも良いかもしれない。
「えへへ…何着よっかな~」
そんな無防備な標的の元へ、眼鏡を掛けた小さな子供がわざわざ駆け寄ってきた。
「夢主」
どこか神妙な面持ちである。
「おはようエドくん」
「実は…」
「?」
エドは一度、両目をギュッと瞑ってから訴えるように打ち明け始めた。
「実は、ロールシャッハには彼女が居るんだよ!」
まずは手に持っていた櫛が滑り落ちる。
「えへへ……え?いや、え…?……ロール、…え?」
彼女が居る。と言うことは、お付き合いしている女性が居る。好きな女性が居る。その女性と、付き合っている。夢主は混乱した頭で極々単純な言葉を噛み砕き、徐々に意味を理解していった。
女嫌いで有名なロールシャッハのそんな浮いた話、一度も聞いたことが無い。だが、ヒーローヲタクの証言なら確かな情報なのだろう。
「ぐっ…!」
ショックのあまり平衡感覚を失い、ロールシャッハのパートナーはその場で膝を突いた。
「夢主ちゃん!?」
通りかかったペッパーがエドよりも早く夢主に駆け寄った。
「具合が悪いの!?」
「ちょっと……いや、だいじょ、ぶ…大丈夫です」
そう言いつつも、立ち上がるどころか床に両手を突き腰を下ろしてしまった。
「一体どうしたっていうの?」
「あ、あの~ペッパーさん、実は僕が…」
「あ!ロールシャッハ、調度良いところに来たわ!」
「立て、夢主。いくら何でも早過ぎる」
ついさっきD・スマッシュしたばかりだが、もうパートナーの子供がダウンしている。リミテッドバイオコードより持続時間が短い様では当人はたまったものじゃない。
「夢主ちゃんのこの様子を見てわからないの?今日は諦めなさいロールシャッハ」
「体力ではなく、根性の問題だ」
「こ、根性というより気分の問題かと…」
ペッパーの剣幕と普段から怖いロールシャッハに圧倒され、エドはなかなかネタばらしできずにいる。
「……」
一方で俯きっぱなしの夢主は、3人の話題とは全く別のことを考えていた。
ロールシャッハやナイトオウル、先日会った女性をモデルにして作られた物語には、主要キャラ1人1人をテーマにした前日談があるのだ。
「…ナンシー…」
ブロンドに黒縁眼鏡の、心優しい女性店員との絡み。あのロールシャッハが、女性を食事に誘っていたのだ。もしあれが事実を参考にしたストーリーならば、
「彼女持ち……あり得る…」
「?」
「彼女さん……コミックにも出てますよね…」
夢主は主語を言い忘れ、彼女持ちと聞いてロールシャッハは真っ先にナイトオウルを想像した。
「コミックに?ああ、居るぞ」
物語の終盤、ダニエルとローリーが仲むつまじく彼女の母の元を去ったシーンを思い出す。
「俺の持っている香水まで把握しておいて、そんな単純なことは知らなかったのか?」
この言葉は発言者の想像以上に相手を揺さぶった。
「そ、の…どう思ってるんですか?」
勝ち気な彼女の対とも言える、穏やかでたまに優柔不断なナイトオウルを頼りないと感じる時もある。
「フム。いつになっても危なっかしいというか……その点はコミックと同じだな」
「危なっかしい…」
漫画の中でコバックスを気にかけたナンシーは、不運にも連続殺人犯に半殺しにされてしまった。
「でも…2人は、幸せ、なんですよね」
「そんなこと俺に聞くな」
「夢主ちゃん、どうしちゃったの?」
「私は……私はずっと、ロールシャッハさんのファンです!!」
心配するペッパーを無視し、体力に何ら問題無い子供はすんなり立ち上がり力強く宣言してみせた。
「?……好きにしろ」
「いつも通り…なのかしら?」
「ア、アハハ…」