番外編25:都合の良いヒロイン
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先日アベンジャーズ基地を訪れたナイトオウルは、相棒が居なくて苦労しているだなんて愚痴は一言もこぼしていなかった。
「日本で何やってるか知らないけど、彼には貴方が必要なの」
だが、ナイトオウルを近くでよく見ている彼女がこう言うのだから、彼が大変な思いをしているのは事実だろう。
ロールシャッハが遠くへ行ってしまうかもしれない不安とナイトオウルに対する罪悪感が夢主をじわじわと追い詰める。
「ちょっと、大丈夫!?」
精神的ショックに加えて、パートナーのヒーローを長時間ディスクの外に出していたため体力的にも限界が近付いていた。夢主はよろけてその場でしゃがみ込んでしまう。
目の前の子供を間接的に責め立てた女性は相手の内心など露知らず、すぐさま膝を突いて寄り添った。
「やっぱりさっきの奴等に何かされたんじゃ…!」
「さっきの奴等とは何だ」
「貴方は近付かないで!この距離でさえ臭いがキツいってのに、この子の具合が更に悪くなっちゃうじゃない!」
悪党から庇うように遮ぎったが、その腕は力の込もっていない手で押し返されてしまう。
「違うんです…」
「え?」
「夢主。何度言わせれば気が済むんだ」
「ごめんなさい…今日はまだ大丈夫だと思って……ディスク・モード」
弱っている女の子は手首に装着している腕時計を変形させ、わなわなと震える手で青く平べったい何かをロールシャッハに向けて掲げた。釈然としないが誰も説明してくれない。
「ちょっと…話が見えてこないんだけど」
「ディー・セキュア」
初めて耳にするその単語を期に、彼氏の相棒であるヒーローは光と化し、子供の手の中へ一瞬で吸い込まれた。
「ハァ!?」
正に目の前で、人が一人消えてしまった。
「何、え?ちょっと、今ロールシャッハ…」
「このディスクに、封印したんです」
「!?」
ディスクとやらの円い画面には、ロールシャッハの顔を簡単なイラストにしたようなものが表示されている。
驚く女性を余所に、子供はその装置を手首の白いバンドに付け直した。
「そんな…!貴方っ何てことしてくれたの!?ヒーローを封印するなんて!」
「落ち着け。お前の彼氏の相棒は無事だ」
閉じ込められた筈の者の声がする。目線を少し落とせば、装置の上に立っている小さな半透明のロールシャッハと目が、厳密に言えば顔の向きが合った。
「むしろ危険だったのは夢主の方だ」
「あら、こんなにちっちゃくなっちゃってカワイイ……って、ちょっと待って。やっぱり話が見えてこない」
ディスクを初めて目にした一般人は額に手をやった。
どこにでも居そうな子供がアベンジャーズの居場所を知っていて、ロールシャッハがいとも簡単に小さな装置に吸収されて、しかし危険だったのは吸収した側で。今起こったことを脳内でおさらいするが、ますます混乱してしまう。
「お話します。このディスクと、ヒーローと、例の脱獄事件について」
「日本で何やってるか知らないけど、彼には貴方が必要なの」
だが、ナイトオウルを近くでよく見ている彼女がこう言うのだから、彼が大変な思いをしているのは事実だろう。
ロールシャッハが遠くへ行ってしまうかもしれない不安とナイトオウルに対する罪悪感が夢主をじわじわと追い詰める。
「ちょっと、大丈夫!?」
精神的ショックに加えて、パートナーのヒーローを長時間ディスクの外に出していたため体力的にも限界が近付いていた。夢主はよろけてその場でしゃがみ込んでしまう。
目の前の子供を間接的に責め立てた女性は相手の内心など露知らず、すぐさま膝を突いて寄り添った。
「やっぱりさっきの奴等に何かされたんじゃ…!」
「さっきの奴等とは何だ」
「貴方は近付かないで!この距離でさえ臭いがキツいってのに、この子の具合が更に悪くなっちゃうじゃない!」
悪党から庇うように遮ぎったが、その腕は力の込もっていない手で押し返されてしまう。
「違うんです…」
「え?」
「夢主。何度言わせれば気が済むんだ」
「ごめんなさい…今日はまだ大丈夫だと思って……ディスク・モード」
弱っている女の子は手首に装着している腕時計を変形させ、わなわなと震える手で青く平べったい何かをロールシャッハに向けて掲げた。釈然としないが誰も説明してくれない。
「ちょっと…話が見えてこないんだけど」
「ディー・セキュア」
初めて耳にするその単語を期に、彼氏の相棒であるヒーローは光と化し、子供の手の中へ一瞬で吸い込まれた。
「ハァ!?」
正に目の前で、人が一人消えてしまった。
「何、え?ちょっと、今ロールシャッハ…」
「このディスクに、封印したんです」
「!?」
ディスクとやらの円い画面には、ロールシャッハの顔を簡単なイラストにしたようなものが表示されている。
驚く女性を余所に、子供はその装置を手首の白いバンドに付け直した。
「そんな…!貴方っ何てことしてくれたの!?ヒーローを封印するなんて!」
「落ち着け。お前の彼氏の相棒は無事だ」
閉じ込められた筈の者の声がする。目線を少し落とせば、装置の上に立っている小さな半透明のロールシャッハと目が、厳密に言えば顔の向きが合った。
「むしろ危険だったのは夢主の方だ」
「あら、こんなにちっちゃくなっちゃってカワイイ……って、ちょっと待って。やっぱり話が見えてこない」
ディスクを初めて目にした一般人は額に手をやった。
どこにでも居そうな子供がアベンジャーズの居場所を知っていて、ロールシャッハがいとも簡単に小さな装置に吸収されて、しかし危険だったのは吸収した側で。今起こったことを脳内でおさらいするが、ますます混乱してしまう。
「お話します。このディスクと、ヒーローと、例の脱獄事件について」