第三部:都合の悪い男女
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その後もロールシャッハにぴったりついて走る。彼の指示に従って立ち止まったり方向を変えたりしながら、何とかヴィランに見つからないまま外の景色を拝むことが出来た。
「……」
ここは船の側面にしても、一体どの辺りだろうか。日差しが眩しい。風が強い。磯の香りが喉を刺激する。想像以上に貴方臭い。もう走るの疲れた。
「……」
また彼を困らせないためにも、無駄口は一切無し。
柵のすぐ横は海。大型船なので海面とは大分距離があるため、飛び込むには勇気と強靱な身体と運と水着が要るだろう。
「…!戻れ!!」
目の前の扉が突然開き、先を走るロールシャッハに太い緑色の触手が絡む。一瞬で中に吸い込まれてしまった。
「ロールシャッハさん!?」
「来るな!!」
部屋の中から制止される。
「先に行け!俺は、ムグ…」
「シュルルル、捕まえたぞ。さっきはまんまと騙してくれたな、えぇ!?」
どうすれば良いかわからない。指示通り自分1人で進んで行ってもあっさり捕まるかもしれないし、ここで加勢するにしてもひ弱な一般人が一体何の役に立てるというのか。
「しかもあそこから出ようとしても、ご丁寧にフタを閉めて行きやがって!出るのに一苦労したぜ」
何も出来ずただその場で立ち止まっていると、覗かずとも中から続きが聞こえる。
「さぁて、外でアンヨがすくんでいるお嬢ちゃんも……クッセェ!!プンプン臭うってのは、おい、ぐぁっ!?やめっ…」
「え?…え!?」
「……」
「……」
沈黙が続く。
「……」
「……」
「あ…あの…」
どちらがどちらを仕留めたのか。怖くて様子を見に行けない。
「……」
「……」
「……ロ、ロールシャ」
ドシンと誰かが倒れる音が聞こえ、力を失った手だけが入り口からだらんと出てきた。
「ひっ!」
よく見ると、小指だけおかしな方向に曲がっている。
「フン…」
ヒーローは何事も無かったかのように部屋から出てきたが、急に膝を突いた。
「ロールシャッハさん!?」
「ぐっ…構うな……急ぐぞ」
大きな外傷は見られないが、無傷では済まなかったようだ。駆け寄るが平気なフリをされる。
「でも、急ぐってどこに…」
「ヘリポートだ。1人、チャーター機でこの船に来た奴が居るだろ。それを拝借する」
飛行機でここから逃げ出せるかもしれない。ロールシャッハと夢主は船首を目指す。そんな開けた場所ではヴィランに見つかる可能性大だが、二人一緒に脱出するにはこの方法しか無いだろう。
「……」
ここは船の側面にしても、一体どの辺りだろうか。日差しが眩しい。風が強い。磯の香りが喉を刺激する。想像以上に貴方臭い。もう走るの疲れた。
「……」
また彼を困らせないためにも、無駄口は一切無し。
柵のすぐ横は海。大型船なので海面とは大分距離があるため、飛び込むには勇気と強靱な身体と運と水着が要るだろう。
「…!戻れ!!」
目の前の扉が突然開き、先を走るロールシャッハに太い緑色の触手が絡む。一瞬で中に吸い込まれてしまった。
「ロールシャッハさん!?」
「来るな!!」
部屋の中から制止される。
「先に行け!俺は、ムグ…」
「シュルルル、捕まえたぞ。さっきはまんまと騙してくれたな、えぇ!?」
どうすれば良いかわからない。指示通り自分1人で進んで行ってもあっさり捕まるかもしれないし、ここで加勢するにしてもひ弱な一般人が一体何の役に立てるというのか。
「しかもあそこから出ようとしても、ご丁寧にフタを閉めて行きやがって!出るのに一苦労したぜ」
何も出来ずただその場で立ち止まっていると、覗かずとも中から続きが聞こえる。
「さぁて、外でアンヨがすくんでいるお嬢ちゃんも……クッセェ!!プンプン臭うってのは、おい、ぐぁっ!?やめっ…」
「え?…え!?」
「……」
「……」
沈黙が続く。
「……」
「……」
「あ…あの…」
どちらがどちらを仕留めたのか。怖くて様子を見に行けない。
「……」
「……」
「……ロ、ロールシャ」
ドシンと誰かが倒れる音が聞こえ、力を失った手だけが入り口からだらんと出てきた。
「ひっ!」
よく見ると、小指だけおかしな方向に曲がっている。
「フン…」
ヒーローは何事も無かったかのように部屋から出てきたが、急に膝を突いた。
「ロールシャッハさん!?」
「ぐっ…構うな……急ぐぞ」
大きな外傷は見られないが、無傷では済まなかったようだ。駆け寄るが平気なフリをされる。
「でも、急ぐってどこに…」
「ヘリポートだ。1人、チャーター機でこの船に来た奴が居るだろ。それを拝借する」
飛行機でここから逃げ出せるかもしれない。ロールシャッハと夢主は船首を目指す。そんな開けた場所ではヴィランに見つかる可能性大だが、二人一緒に脱出するにはこの方法しか無いだろう。