番外編19:都合の良い胆力
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「アキラ、ディー・スマッシュだ!」
「でも、この風じゃあ…!」
手の平に収まる程の軽い装置を投げても、こんな状況では地に着く前に吹き飛ばされてしまうだろう。それ以前に、飛ばされないよう木にしがみつくだけで皆精一杯だ。特にロールシャッハと夢主の位置はより強い風が吹き荒れていて、今にも体が浮きそうになっている。
「クク…時間の問題だな」
このままでは2人とも捕まってしまう。夢主は木に抱きつくように腕を回して何とかディスクを利き手に取り、ロールシャッハをD・セキュアしようとそれを彼に向けた。
「ロールシャッハさんだけでも…!」
「待て。もう少しで出せる」
「え?」
「こちらの準備はできている。実験体と奴が飛んできたらすぐにでも引き上げるぞ。ワールウィンド、移動後も2人の動きを封じておくように」
正義の味方達を高い位置から悠々と見下ろしながら、ティムは球体のワープ装置を懐より取り出した。手筈は完璧だ。
「フフン。ディスクから出て来れないアベンジャーズなんて怖くないわ……ん?」
些細な異変にまずロゼッタが気付く。
「ねえ、何か…」
「まさか…この臭いは…」
上品な世界で活躍する天才シェフは、たった一度だけ嗅いだことのある異臭によってトラウマが蘇り血の気が引いた。
「ロールシャッハの…!」
この鼻が曲がる感覚。標的そのものよりも先に、標的の体臭が彼等の元へ届いていたのだ。
「うぐっ…!」
「鼻が……私の鼻がっ…!」
「くっ、なんつー臭いだ!」
「ぐえ~!」
「いぎがでぎないわ~!」
どこに顔を背けても同じこと、彼等の居る場所は既に悪臭で満たされている。
「何だ?あいつ等。急に苦しみ始めたぞ」
アイアンマンはこちらを惑わせる作戦か何かかと一瞬深読みしたが、あの苦しみ様は演技ではなさそうだ。
「そうか!ロールシャッハのキツい体臭がワールウィンドの起こす風に乗って、あの5人の元に届いたんだ!」
「ひぇ~!」
「それは……」
「辛そうだな…」
「ちょーっと可哀想かも」
エドは生き生きしながらヒーローの解説をしたが、彼以外の子供達は敵ながら哀れみの念を向けた。
「ぐっ……ワールウィンド、止めろ!」
獲物を近くに運ぶための風が、今や次々と悪臭を届ける通り道と化している。袖で口と鼻を塞ぎながらジュウベエは全く予定に無かった指示を出した。
「何!?しかしまだあいつ等を…」
「ディー・セキュア!……ガハッ」
ワールウィンドは問答無用でディスクに収められた。男は封印の言葉を叫んだ直後、うっかり鼻から盛大に息を吸い込んでしまい、そのまま力尽きた。
「まだ臭いわよ!風止めないで~!」
ニュースの女神の悲痛の叫びは、当然だが気を失った者には届かない。
「俺、なんか腹痛ぇ…」
「私は目眩が…」
他のメンバーも次々と膝を突き、悪党全員が戦意喪失してしまった。最早闘いどころではない。
「くそっ、覚えてろよ!」
ティムは最後の力を振り絞りワープ装置を起動する。彼等は目的を果たさない内にこの地獄を離脱した。
「でも、この風じゃあ…!」
手の平に収まる程の軽い装置を投げても、こんな状況では地に着く前に吹き飛ばされてしまうだろう。それ以前に、飛ばされないよう木にしがみつくだけで皆精一杯だ。特にロールシャッハと夢主の位置はより強い風が吹き荒れていて、今にも体が浮きそうになっている。
「クク…時間の問題だな」
このままでは2人とも捕まってしまう。夢主は木に抱きつくように腕を回して何とかディスクを利き手に取り、ロールシャッハをD・セキュアしようとそれを彼に向けた。
「ロールシャッハさんだけでも…!」
「待て。もう少しで出せる」
「え?」
「こちらの準備はできている。実験体と奴が飛んできたらすぐにでも引き上げるぞ。ワールウィンド、移動後も2人の動きを封じておくように」
正義の味方達を高い位置から悠々と見下ろしながら、ティムは球体のワープ装置を懐より取り出した。手筈は完璧だ。
「フフン。ディスクから出て来れないアベンジャーズなんて怖くないわ……ん?」
些細な異変にまずロゼッタが気付く。
「ねえ、何か…」
「まさか…この臭いは…」
上品な世界で活躍する天才シェフは、たった一度だけ嗅いだことのある異臭によってトラウマが蘇り血の気が引いた。
「ロールシャッハの…!」
この鼻が曲がる感覚。標的そのものよりも先に、標的の体臭が彼等の元へ届いていたのだ。
「うぐっ…!」
「鼻が……私の鼻がっ…!」
「くっ、なんつー臭いだ!」
「ぐえ~!」
「いぎがでぎないわ~!」
どこに顔を背けても同じこと、彼等の居る場所は既に悪臭で満たされている。
「何だ?あいつ等。急に苦しみ始めたぞ」
アイアンマンはこちらを惑わせる作戦か何かかと一瞬深読みしたが、あの苦しみ様は演技ではなさそうだ。
「そうか!ロールシャッハのキツい体臭がワールウィンドの起こす風に乗って、あの5人の元に届いたんだ!」
「ひぇ~!」
「それは……」
「辛そうだな…」
「ちょーっと可哀想かも」
エドは生き生きしながらヒーローの解説をしたが、彼以外の子供達は敵ながら哀れみの念を向けた。
「ぐっ……ワールウィンド、止めろ!」
獲物を近くに運ぶための風が、今や次々と悪臭を届ける通り道と化している。袖で口と鼻を塞ぎながらジュウベエは全く予定に無かった指示を出した。
「何!?しかしまだあいつ等を…」
「ディー・セキュア!……ガハッ」
ワールウィンドは問答無用でディスクに収められた。男は封印の言葉を叫んだ直後、うっかり鼻から盛大に息を吸い込んでしまい、そのまま力尽きた。
「まだ臭いわよ!風止めないで~!」
ニュースの女神の悲痛の叫びは、当然だが気を失った者には届かない。
「俺、なんか腹痛ぇ…」
「私は目眩が…」
他のメンバーも次々と膝を突き、悪党全員が戦意喪失してしまった。最早闘いどころではない。
「くそっ、覚えてろよ!」
ティムは最後の力を振り絞りワープ装置を起動する。彼等は目的を果たさない内にこの地獄を離脱した。