第三部:都合の悪い男女
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見事第1関門をくぐり抜けたロールシャッハは、夢主を肩に担いだまま薄暗い通路を疾走する。そのままの姿勢では頭に血が昇ってしまい苦しいので、彼の背中に手を置き上体を少し起こしてから尋ねる。
「…あの、ロールシャッハさん」
「何だ」
憧れのヒーローとの会話や抱き抱えられていることに感動している暇は無い。用件は端的に。
「助けてくれるんですか?」
「ああ。お前は被害者だからな。それに、俺のせいで誘拐された」
「え?」
「お互い、元の身体に戻る必要がある。奴等を制裁する前に、まずはこの船から出るぞ」
たしかに、彼の入ったディスクを拾ったことがきっかけでこうして事件に巻き込まれている。が、たった今召還されたヒーローは、まるで今まで起きたことを全部把握しているかのような口振りだ。
「それって…」
『聞け、ヴィラン共!今、この船の中でドブネズミが2匹脱走した。1匹はロールシャッハ、白黒のマスクを被ったヒーローだ。もう1匹は人間の子供、ロールシャッハのディスクを持っている。見つけ次第生け捕りにし、私の実験室まで連れて来い!』
夢主に注射を刺した男の声による船内放送が狭い廊下にも響き渡った。
「い、生け捕り…」
電気椅子が脳裏に浮かび、思わず身体がこわばる。
「フン。モルモットからドブネズミとは、随分出世したものだ」
ロールシャッハは構わず走り続ける。
『連れて来いって…まさかずっと待機してるつもり?あんたもあいつ等探すの手伝いなさいよ!大して怪我してないんでしょ!?』
『私はこの部屋の片付けと実験装置の修理をしなければならないのだ!』
『そんなの後よ後!』
『アボミネーション、貴様は今すぐ実験室前に来て瓦礫を撤去するのだ!急げ!』
「アボミ、ネーション?…って、誰だっけ…?」
夢主はウォッチメンに関する情報は興味本位からよく収集しているが、それ以外のヒーロー・ヴィランについてはあまり詳しくない。スパイダーマン等、一握りのメジャーなヒーローの顔と名前が一致する程度の知識量。
よってそのアボミネーションとやら含め、もしヴィランと対面してしまっても、そいつの特徴も弱点も何もわからないのだ。今更無知を後悔しても遅い。
「ロールシャッハさん!後ろから…!」
夢主が見る方向からバロン・ジモが現れた。ここに連れて来られた時に会ったヴィラン。無意識にトレンチコートを掴み直す。
「逃げ出したドブネズミと言うのは、貴様等か!」
「挟み撃ちだぁ!」
進行方向にはキング・コブラ。
ロールシャッハは真横にあるドアを自由が利く右肩で打ち破り、薄暗い部屋に逃げ込む。
「…あの、ロールシャッハさん」
「何だ」
憧れのヒーローとの会話や抱き抱えられていることに感動している暇は無い。用件は端的に。
「助けてくれるんですか?」
「ああ。お前は被害者だからな。それに、俺のせいで誘拐された」
「え?」
「お互い、元の身体に戻る必要がある。奴等を制裁する前に、まずはこの船から出るぞ」
たしかに、彼の入ったディスクを拾ったことがきっかけでこうして事件に巻き込まれている。が、たった今召還されたヒーローは、まるで今まで起きたことを全部把握しているかのような口振りだ。
「それって…」
『聞け、ヴィラン共!今、この船の中でドブネズミが2匹脱走した。1匹はロールシャッハ、白黒のマスクを被ったヒーローだ。もう1匹は人間の子供、ロールシャッハのディスクを持っている。見つけ次第生け捕りにし、私の実験室まで連れて来い!』
夢主に注射を刺した男の声による船内放送が狭い廊下にも響き渡った。
「い、生け捕り…」
電気椅子が脳裏に浮かび、思わず身体がこわばる。
「フン。モルモットからドブネズミとは、随分出世したものだ」
ロールシャッハは構わず走り続ける。
『連れて来いって…まさかずっと待機してるつもり?あんたもあいつ等探すの手伝いなさいよ!大して怪我してないんでしょ!?』
『私はこの部屋の片付けと実験装置の修理をしなければならないのだ!』
『そんなの後よ後!』
『アボミネーション、貴様は今すぐ実験室前に来て瓦礫を撤去するのだ!急げ!』
「アボミ、ネーション?…って、誰だっけ…?」
夢主はウォッチメンに関する情報は興味本位からよく収集しているが、それ以外のヒーロー・ヴィランについてはあまり詳しくない。スパイダーマン等、一握りのメジャーなヒーローの顔と名前が一致する程度の知識量。
よってそのアボミネーションとやら含め、もしヴィランと対面してしまっても、そいつの特徴も弱点も何もわからないのだ。今更無知を後悔しても遅い。
「ロールシャッハさん!後ろから…!」
夢主が見る方向からバロン・ジモが現れた。ここに連れて来られた時に会ったヴィラン。無意識にトレンチコートを掴み直す。
「逃げ出したドブネズミと言うのは、貴様等か!」
「挟み撃ちだぁ!」
進行方向にはキング・コブラ。
ロールシャッハは真横にあるドアを自由が利く右肩で打ち破り、薄暗い部屋に逃げ込む。