番外編19:都合の良い胆力
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アキラの大きな声が静かな夜の空によく響く。その元気で緊張感の無い声のお陰で、肝試しと言うより最早散歩感覚だ。
「あ!ほこらって、あれかな?」
夢主は今歩いている道の先に、木造の犬小屋のようなものを見つけた。そこまではライトの光がようやく届く程度の距離があり、目的のほこらかどうか目視ではまだ分かり辛い。
「ねえ、アキラくん……アキラくん?」
いつもはすぐに返ってくる返事がなかなか来ない。不思議に思い振り向くと、先程まで隣を歩いていた筈の仲間が姿を消していた。
そこに居たのに。ついさっきまで呑気にお喋りしていたというのに。
「ア、キラ…く……嘘…」
元の方向を向いても誰も居ない。真っ暗な道が続いているだけだ。
「かっ…」
神隠しに遭ってしまったのか?
夢主は戦慄した。
「ヒカルさんに何て説明すれば…!」
アキラ本人の心配も無論しているが、彼の兄から絶対に掛けられるであろうプレッシャーにもう既に耐えきれない。血の気が引き手は震えだす。すっかり気が動転した夢主だが、冷静にも自分の手首に装着しているディスクからパートナーのホログラムを呼び出そうとした。
「どっどうしよう、ロールシャッハさ」
「わっ!!」
「!?」
彼女の耳元で思い切り放たれた声が辺りに木霊する。
「……どこに行っちゃったのかと…」
肝試しのペアは、非常に良い笑顔をして夢主の真後ろに立っていた。
「夢主の後ろに居たんだよ。足音もなるべく消してさ。面白かっただろ?」
「はぁ…アキラくんはね…」
無駄に疲弊した夢主を余所に、アキラは目的地に向かって駆け出していく。
やはりと言うか何と言うか、そそっかしい子供は途中にあるぬかるみに気が付かず、足を滑らせ盛大に転んでしまった。
「アキラくん!」
「へへっ、大丈夫大丈夫!」
こんなのへっちゃらとでも言うように、これまた良い笑顔を向けてくる。夢主が手を差し伸べる前にアキラは自分の力で立ち上がった。幸いにも怪我は無かったが、彼のズボンと靴は泥でベトベトだ。
「あちゃー…これこそヒカルさんに何て説明すれば…」
「何で兄さん?」
頭を悩ませ夢主はため息を吐いた。が、先程の恐怖と不安に比べれば随分と気が楽だ。
「替えの寝間着、持ってきてる?」
「多分兄さんが持ってる。旅行行くときは、いっつも用意してくれてるんだ」
「ああ、流石です…」
「あ!ほこらって、あれかな?」
夢主は今歩いている道の先に、木造の犬小屋のようなものを見つけた。そこまではライトの光がようやく届く程度の距離があり、目的のほこらかどうか目視ではまだ分かり辛い。
「ねえ、アキラくん……アキラくん?」
いつもはすぐに返ってくる返事がなかなか来ない。不思議に思い振り向くと、先程まで隣を歩いていた筈の仲間が姿を消していた。
そこに居たのに。ついさっきまで呑気にお喋りしていたというのに。
「ア、キラ…く……嘘…」
元の方向を向いても誰も居ない。真っ暗な道が続いているだけだ。
「かっ…」
神隠しに遭ってしまったのか?
夢主は戦慄した。
「ヒカルさんに何て説明すれば…!」
アキラ本人の心配も無論しているが、彼の兄から絶対に掛けられるであろうプレッシャーにもう既に耐えきれない。血の気が引き手は震えだす。すっかり気が動転した夢主だが、冷静にも自分の手首に装着しているディスクからパートナーのホログラムを呼び出そうとした。
「どっどうしよう、ロールシャッハさ」
「わっ!!」
「!?」
彼女の耳元で思い切り放たれた声が辺りに木霊する。
「……どこに行っちゃったのかと…」
肝試しのペアは、非常に良い笑顔をして夢主の真後ろに立っていた。
「夢主の後ろに居たんだよ。足音もなるべく消してさ。面白かっただろ?」
「はぁ…アキラくんはね…」
無駄に疲弊した夢主を余所に、アキラは目的地に向かって駆け出していく。
やはりと言うか何と言うか、そそっかしい子供は途中にあるぬかるみに気が付かず、足を滑らせ盛大に転んでしまった。
「アキラくん!」
「へへっ、大丈夫大丈夫!」
こんなのへっちゃらとでも言うように、これまた良い笑顔を向けてくる。夢主が手を差し伸べる前にアキラは自分の力で立ち上がった。幸いにも怪我は無かったが、彼のズボンと靴は泥でベトベトだ。
「あちゃー…これこそヒカルさんに何て説明すれば…」
「何で兄さん?」
頭を悩ませ夢主はため息を吐いた。が、先程の恐怖と不安に比べれば随分と気が楽だ。
「替えの寝間着、持ってきてる?」
「多分兄さんが持ってる。旅行行くときは、いっつも用意してくれてるんだ」
「ああ、流石です…」