第三部:都合の悪い男女
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一番近くに立っていた全面マスクのマニーノは、ロールシャッハを捕らえようと空のディスクを取り出す。
「ディー・セぐぇ!?」
が、呆気なくそれを奪われた上に一発で殴り倒されてしまった。ロールシャッハは灰色のディスクを足元に落とし、ティム・ギリアムが投げ飛ばされた拍子に落としていったそれも一緒に踏みつけ、ヒビを入れる。
「ンの野郎!調子に乗りやがって…おわぁっ!?」
金色マスクのジョエルが距離を詰め殴りかかるが、紙一重でかわされる。空を切る腕を掴み取られ、背負い投げで元の位置に帰らされた。
「……」
「こいつ、地味に強ぇ!」
「くっ…!」
次は愛刀を置いてきてしまっていた赤いマスクの男の番だ。
「何をしている!?誰か、誰かディー・セキュアを!」
象鼻の男が一番後ろから野次を飛ばす。
「空のディスクを持っていたら、とっくのとうにしてるわよ!それより、どうしてよりにもよってロールシャッハを実験に使ってんの!?あいつはそもそもヒーローだし、反発的ってのは警察に対してだけじゃない!」
「あれを見ればわかる!そんなに言うんだったら、何故詳しく説明してくれなかった!?」
「それは貴方も同じでしょ!?実際にディー・スマッシュするような実験だって言ってくれていればこんなことには……あ!」
3人を完全に伸したロールシャッハは、塞がった出入り口近くで責任をなすり付け合う残党に顔を向けた。
「ひいっ」
「私を盾にするんじゃないわよ!」
どこからか引き抜いてきた鉄パイプで装置やモニターを完全に叩き壊してから、2人にゆっくり近付く。
「や、やりたければやりたまえ!すぐにヴィランが駆けつけ、ききき貴様などひねり潰してくれる!」
「……」
もっともな脅しには特に応答せず、ロールシャッハは振り返り部屋の中心に戻る。その場に座り込んでいた夢主は青いディスクを拾い上げ、使い物にならなくなった割れたディスクと見比べていた。
「あ、ロ…ロールシャッハさん!」
「動くな」
それだけ言うと持っている鉄パイプを振りかぶり、彼女を拘束している鎖を3本とも叩き壊した。
「走れるか?」
「え?……あ、えっと」
体をいじられたせいか、この惨事に腰を抜かしたためか、足に力がうまく入らない。正直、今すぐには走り出せない。
「そ、その…」
夢主のはっきりしない態度から察し、体臭のキツいヒーローはヒロインを自分の左肩に担ぎ上げた。
「きゃ!?」
彼の進行方向と逆向きの姿勢で急に持ち上げられたためスカートの後ろがめくれてしまうかと一瞬焦ったが、彼が左手で太股と一緒に押さえ付けてくれているようだ。
ロールシャッハは夢主を担いだまま倒れた電気椅子を退かし部屋から出ると、歪んだ出入り口をその椅子をずらして塞いだ。
「ちょっ!?出しなさい!」
暴れん坊の足音が消えてから、比較的軽傷で済んだ3人が手の指や肩を庇いながら体を起こす。
「ってて…あの野郎!」
「噂以上の奴じゃないか。見くびっていたな…」
「あれでただの人間とは……にわかに信じがたい」
「あんた達間抜けの感想はどうでも良いわ」
「何だと!?」
ジョエルは無傷のロゼッタにくってかかる。
「さっさと手持ちのヴィランをディー・スマッシュすれば良かったじゃない!」
「悪かったな!誰かさんの言う通り、全員船の警備に使っちまって!」
その誰かさんは、スマートブレインらしからぬ荒らげた声で船内全域に指令を出す。
「緊急事態だ!!全員直ちに私の実験室に集合しろ!」
「いや、待て。ヴィラン達には奴を探させた方が良いだろう。ここは海の上、まだこの船のどこかに居る筈だ」
「俺達がここから出るのが先だろ!」
「こんなことなら、ロキにディスクを預けるんじゃなかったわ…!」
現在、セレブリティ達と行動を共にするヴィランの数は1属性につき1~2人。必要最低限のディスク以外は全てロキに渡してしまっていた。
「そうだ、ロキ!ロキを呼べ!奴ならテレポートでも何でもできるだろ!」
「ロキは議員の仕事で、しばらくは手が離せないのよ!」
「こんな時に…!」
「悔しがる暇があったら、あんた達もこれ退かすの手伝いなさい!」
ロゼッタ含め、4人がかりで邪魔な椅子を押して退かそうとする。
「くそっ……あいつ、こんな重いものどうやって…」
「おい、危ねぇ!」
無理に動かそうとすると、壊れた電気椅子から火花や電気がバチバチ飛び始め、迂闊に近付けなくなった。最早、椅子と言うより危険なガラクタだ。
「ああ…私の最高傑作が~」
ただ突っ立っているティムは落胆し、力無く膝をつく。
「そんなのまた作れば良いでしょ!」
「そう簡単に何度も作れる代物ではない!なんとしても、あの実験体を取り戻さねば!」
「ディー・セぐぇ!?」
が、呆気なくそれを奪われた上に一発で殴り倒されてしまった。ロールシャッハは灰色のディスクを足元に落とし、ティム・ギリアムが投げ飛ばされた拍子に落としていったそれも一緒に踏みつけ、ヒビを入れる。
「ンの野郎!調子に乗りやがって…おわぁっ!?」
金色マスクのジョエルが距離を詰め殴りかかるが、紙一重でかわされる。空を切る腕を掴み取られ、背負い投げで元の位置に帰らされた。
「……」
「こいつ、地味に強ぇ!」
「くっ…!」
次は愛刀を置いてきてしまっていた赤いマスクの男の番だ。
「何をしている!?誰か、誰かディー・セキュアを!」
象鼻の男が一番後ろから野次を飛ばす。
「空のディスクを持っていたら、とっくのとうにしてるわよ!それより、どうしてよりにもよってロールシャッハを実験に使ってんの!?あいつはそもそもヒーローだし、反発的ってのは警察に対してだけじゃない!」
「あれを見ればわかる!そんなに言うんだったら、何故詳しく説明してくれなかった!?」
「それは貴方も同じでしょ!?実際にディー・スマッシュするような実験だって言ってくれていればこんなことには……あ!」
3人を完全に伸したロールシャッハは、塞がった出入り口近くで責任をなすり付け合う残党に顔を向けた。
「ひいっ」
「私を盾にするんじゃないわよ!」
どこからか引き抜いてきた鉄パイプで装置やモニターを完全に叩き壊してから、2人にゆっくり近付く。
「や、やりたければやりたまえ!すぐにヴィランが駆けつけ、ききき貴様などひねり潰してくれる!」
「……」
もっともな脅しには特に応答せず、ロールシャッハは振り返り部屋の中心に戻る。その場に座り込んでいた夢主は青いディスクを拾い上げ、使い物にならなくなった割れたディスクと見比べていた。
「あ、ロ…ロールシャッハさん!」
「動くな」
それだけ言うと持っている鉄パイプを振りかぶり、彼女を拘束している鎖を3本とも叩き壊した。
「走れるか?」
「え?……あ、えっと」
体をいじられたせいか、この惨事に腰を抜かしたためか、足に力がうまく入らない。正直、今すぐには走り出せない。
「そ、その…」
夢主のはっきりしない態度から察し、体臭のキツいヒーローはヒロインを自分の左肩に担ぎ上げた。
「きゃ!?」
彼の進行方向と逆向きの姿勢で急に持ち上げられたためスカートの後ろがめくれてしまうかと一瞬焦ったが、彼が左手で太股と一緒に押さえ付けてくれているようだ。
ロールシャッハは夢主を担いだまま倒れた電気椅子を退かし部屋から出ると、歪んだ出入り口をその椅子をずらして塞いだ。
「ちょっ!?出しなさい!」
暴れん坊の足音が消えてから、比較的軽傷で済んだ3人が手の指や肩を庇いながら体を起こす。
「ってて…あの野郎!」
「噂以上の奴じゃないか。見くびっていたな…」
「あれでただの人間とは……にわかに信じがたい」
「あんた達間抜けの感想はどうでも良いわ」
「何だと!?」
ジョエルは無傷のロゼッタにくってかかる。
「さっさと手持ちのヴィランをディー・スマッシュすれば良かったじゃない!」
「悪かったな!誰かさんの言う通り、全員船の警備に使っちまって!」
その誰かさんは、スマートブレインらしからぬ荒らげた声で船内全域に指令を出す。
「緊急事態だ!!全員直ちに私の実験室に集合しろ!」
「いや、待て。ヴィラン達には奴を探させた方が良いだろう。ここは海の上、まだこの船のどこかに居る筈だ」
「俺達がここから出るのが先だろ!」
「こんなことなら、ロキにディスクを預けるんじゃなかったわ…!」
現在、セレブリティ達と行動を共にするヴィランの数は1属性につき1~2人。必要最低限のディスク以外は全てロキに渡してしまっていた。
「そうだ、ロキ!ロキを呼べ!奴ならテレポートでも何でもできるだろ!」
「ロキは議員の仕事で、しばらくは手が離せないのよ!」
「こんな時に…!」
「悔しがる暇があったら、あんた達もこれ退かすの手伝いなさい!」
ロゼッタ含め、4人がかりで邪魔な椅子を押して退かそうとする。
「くそっ……あいつ、こんな重いものどうやって…」
「おい、危ねぇ!」
無理に動かそうとすると、壊れた電気椅子から火花や電気がバチバチ飛び始め、迂闊に近付けなくなった。最早、椅子と言うより危険なガラクタだ。
「ああ…私の最高傑作が~」
ただ突っ立っているティムは落胆し、力無く膝をつく。
「そんなのまた作れば良いでしょ!」
「そう簡単に何度も作れる代物ではない!なんとしても、あの実験体を取り戻さねば!」