番外編18:都合の良い媚薬
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「やっぱり先に戻…」
ズボンを指先で摘むだけでは飽き足らず、夢主は立て膝を突いてロールシャッハと向かい合った。
「おい」
そしてソファの背もたれに両手を置き、彼の頭を腕の中に閉じ込めた。
「何の真似だ」
従順な筈の子供は退く気配が一切無く、切羽詰まったような笑い出しそうな何とも言えない表情をしている。危険だけでなく異変も察知したロールシャッハは、彼女を問答無用に払い退ける前にまずは様子をうかがうことにした。
「ごめんなさい…」
一方で夢主の身体は熱さを増していく。鼻で息をする度に肩と胸が上下してしまう。お世辞にも上品とは言い難い体臭を嗅ぎ取ってしまう。トレンチコート・ジャケット・帽子を脱いだ、普段お目にかかれない身なりを自分だけに見せる特別な姿だと錯覚してしまう。
彼はさっさと逃げ出すべきだった。
「少しだけ……少しだけ、動かないで…」
さすがに自ら接吻する勇気までは無い。夢主は顔をやや逸らし、そのまま目の前の肩に顔を埋め身体も密着させた。
「……」
何故か男は抵抗しない。全て理解した上で気を遣ってくれているのだろう、きっと。
「ごめんなさい…」
謝罪の言葉を述べつつも、ロールシャッハの膝を割った夢主の脚は徐々に彼の根元に近付いていき、頬はマスク越しの耳へ擦り付き始める。
性に関する実のところの知識を持ち合わせない夢主は、こうすることでこの感情の出所を必死に探っていた。
「はぁ、…はぁっ……ごめんなさいっ…」
「……」
遂に吐息まで出だす。
「お前は」
黙っていた彼がやっと何かを口にしたことに気付き、夢主は動きを止めた。
途端、ソファに勢い良く背が埋まり、膝を割られる側になってしまった。見たことのない白黒パターンが間近に迫り、火照りきった頬に濃い影を落とす。
「俺を貞操の神か何かとでも思っているのか。あれはフィクションだぞ」
「ん…あ……うぅ…」
大人に叱られているにも関わらず、子供の脚は相手を誘うようにゆるゆると動いてしまう。その動作は意志通りなのか意志に反しているのか、夢主本人にすらわからなくなっていた。
自身の情けなさに、その目には涙が浮かび始める。
「私、こんなっ……ごめんなさい…」
「違う。謝るな」
返ってきたのはロールシャッハらしくない、意外な言葉だった。謝らなくても良いとは。
目を丸くしていると、日傘になっていた胴体がゆっくり覆い被さってくる。そして理解した。
「え…?」
「……」
大分荒くなった鼻息がマスク越しに耳元へ届く。夢主は彼に叱られてはいないことに気付いた。むしろ、2人とも同じような気分ではないか。
もうどうにでもなれと、夢主は硬く厚い背中に腕を回した。
ズボンを指先で摘むだけでは飽き足らず、夢主は立て膝を突いてロールシャッハと向かい合った。
「おい」
そしてソファの背もたれに両手を置き、彼の頭を腕の中に閉じ込めた。
「何の真似だ」
従順な筈の子供は退く気配が一切無く、切羽詰まったような笑い出しそうな何とも言えない表情をしている。危険だけでなく異変も察知したロールシャッハは、彼女を問答無用に払い退ける前にまずは様子をうかがうことにした。
「ごめんなさい…」
一方で夢主の身体は熱さを増していく。鼻で息をする度に肩と胸が上下してしまう。お世辞にも上品とは言い難い体臭を嗅ぎ取ってしまう。トレンチコート・ジャケット・帽子を脱いだ、普段お目にかかれない身なりを自分だけに見せる特別な姿だと錯覚してしまう。
彼はさっさと逃げ出すべきだった。
「少しだけ……少しだけ、動かないで…」
さすがに自ら接吻する勇気までは無い。夢主は顔をやや逸らし、そのまま目の前の肩に顔を埋め身体も密着させた。
「……」
何故か男は抵抗しない。全て理解した上で気を遣ってくれているのだろう、きっと。
「ごめんなさい…」
謝罪の言葉を述べつつも、ロールシャッハの膝を割った夢主の脚は徐々に彼の根元に近付いていき、頬はマスク越しの耳へ擦り付き始める。
性に関する実のところの知識を持ち合わせない夢主は、こうすることでこの感情の出所を必死に探っていた。
「はぁ、…はぁっ……ごめんなさいっ…」
「……」
遂に吐息まで出だす。
「お前は」
黙っていた彼がやっと何かを口にしたことに気付き、夢主は動きを止めた。
途端、ソファに勢い良く背が埋まり、膝を割られる側になってしまった。見たことのない白黒パターンが間近に迫り、火照りきった頬に濃い影を落とす。
「俺を貞操の神か何かとでも思っているのか。あれはフィクションだぞ」
「ん…あ……うぅ…」
大人に叱られているにも関わらず、子供の脚は相手を誘うようにゆるゆると動いてしまう。その動作は意志通りなのか意志に反しているのか、夢主本人にすらわからなくなっていた。
自身の情けなさに、その目には涙が浮かび始める。
「私、こんなっ……ごめんなさい…」
「違う。謝るな」
返ってきたのはロールシャッハらしくない、意外な言葉だった。謝らなくても良いとは。
目を丸くしていると、日傘になっていた胴体がゆっくり覆い被さってくる。そして理解した。
「え…?」
「……」
大分荒くなった鼻息がマスク越しに耳元へ届く。夢主は彼に叱られてはいないことに気付いた。むしろ、2人とも同じような気分ではないか。
もうどうにでもなれと、夢主は硬く厚い背中に腕を回した。