番外編18:都合の良い媚薬
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夢主が入るよりも先にリビングの照明が点けられた。普段は誰かしらと顔を合わせる共有スペースだが、今はまるで空気や時間が止まっているかのように静まり返っている。大きな窓の外には黒い空が広がっており、昼間よりも若干肌寒さを感じさせる。
「待ってろ」
数分後、ロールシャッハはマグカップに温かい飲み物を入れてソファに戻ってきた。彼からそれを受け取り一口飲み込むと、喉と食道をするすると通過していく感覚がした。空っぽな胃が、今はやはり子供が活動するような時間帯ではない、早く寝るべきだ、ということを改めて自覚させてくれる。
「落ち着いたか?」
「はい。ありがとうございます」
礼を言うと隣に腰を下ろしているロールシャッハは満足したように唸った。そして背もたれに体を預け、夢主から顔を逸らしおもむろに口を開いた。
「…用意された料理を完食することは、大切な心掛けだ」
「?」
口下手なのか思考が先回りしすぎているのか、時に彼は主語や経緯をすっ飛ばして話し出すことがある。
「だが、体に合わないなら…冴えてしまうのなら、無理に食すことはない」
「えっ…!」
残念なことに、夢主が身体を疼かせていたことは既にお見通しだった。思わずマグカップを取り落としそうになり、中身の液体が波を立てる。
「こうして眠れなくなって、万一体調を崩されては…その……不便だ」
「いやっあのっ私はっ別にっ」
「落ち着いたんじゃなかったのか」
落ち着くどころか余計混乱してしまっている。
彼女はあの願望の内容をまた思い出していた。しかも今は、夢の中でキスされた場所と同じ空間に2人きり。手を伸ばさなくても届く範囲に彼が居る。
「……落ち着いたら、寝ます。だから、ロールシャッハさんは、先に部屋に戻ってください。私は大丈夫ですから」
隣に居られたら落ち着くものも落ち着かない。それに、こんな夜中に付き合わせてしまうなんて相手に悪いと思っているのもまた本心だ。
夢主は胸の高鳴りを無視して呼吸を無理矢理整え、何とか声を絞り出した。これで彼が部屋に帰ってくれれば助かるのだが、
「気にするな。俺も眠れなくて起きてきた」
更なる燃料投下だ。
程度は知れないが、ロールシャッハの身体もまた疼いている。子供に対する気遣いの言葉を、夢主はそのままの意味として受け取ってしまった。
こぼれる恐れがあるので先にカップをテーブルに置き、寝間着の膝部分を両手で強く握りしめた。
「あの……」
僅かながらも存在する正夢の可能性が、夢主の脆くなった理性のほとんどをかき消した。
「ロール、シャッハ、さん」
遂に己の欲求を抑えきれなくなった夢主は、まずは側にあるズボンの布地を控えめに摘んだ。
「……」
「……」
その手は微かに震えていた。俯いた顔を上げ彼と目を合わせれば、もう後戻りはできないかもしれない。
「やっぱり先に戻る。放せ」
「…はい」
冷たい一言により厳しい現実に呆気無く引き戻され、ロールシャッハは足早に危険を回避して行ってしまった。
次の日。明らかに様子のおかしい夢主をヒカルとジェシカが気遣い理由を尋ねるも、本人は何でもないと首を横に振るだけ。パートナーもそっぽを向く。何でもないことは無いと直感したジェシカはもう一踏ん張りするが、この別荘の持ち主トニー・スタークによってそれは阻止された。
もうちょっと積極的ver.→
「待ってろ」
数分後、ロールシャッハはマグカップに温かい飲み物を入れてソファに戻ってきた。彼からそれを受け取り一口飲み込むと、喉と食道をするすると通過していく感覚がした。空っぽな胃が、今はやはり子供が活動するような時間帯ではない、早く寝るべきだ、ということを改めて自覚させてくれる。
「落ち着いたか?」
「はい。ありがとうございます」
礼を言うと隣に腰を下ろしているロールシャッハは満足したように唸った。そして背もたれに体を預け、夢主から顔を逸らしおもむろに口を開いた。
「…用意された料理を完食することは、大切な心掛けだ」
「?」
口下手なのか思考が先回りしすぎているのか、時に彼は主語や経緯をすっ飛ばして話し出すことがある。
「だが、体に合わないなら…冴えてしまうのなら、無理に食すことはない」
「えっ…!」
残念なことに、夢主が身体を疼かせていたことは既にお見通しだった。思わずマグカップを取り落としそうになり、中身の液体が波を立てる。
「こうして眠れなくなって、万一体調を崩されては…その……不便だ」
「いやっあのっ私はっ別にっ」
「落ち着いたんじゃなかったのか」
落ち着くどころか余計混乱してしまっている。
彼女はあの願望の内容をまた思い出していた。しかも今は、夢の中でキスされた場所と同じ空間に2人きり。手を伸ばさなくても届く範囲に彼が居る。
「……落ち着いたら、寝ます。だから、ロールシャッハさんは、先に部屋に戻ってください。私は大丈夫ですから」
隣に居られたら落ち着くものも落ち着かない。それに、こんな夜中に付き合わせてしまうなんて相手に悪いと思っているのもまた本心だ。
夢主は胸の高鳴りを無視して呼吸を無理矢理整え、何とか声を絞り出した。これで彼が部屋に帰ってくれれば助かるのだが、
「気にするな。俺も眠れなくて起きてきた」
更なる燃料投下だ。
程度は知れないが、ロールシャッハの身体もまた疼いている。子供に対する気遣いの言葉を、夢主はそのままの意味として受け取ってしまった。
こぼれる恐れがあるので先にカップをテーブルに置き、寝間着の膝部分を両手で強く握りしめた。
「あの……」
僅かながらも存在する正夢の可能性が、夢主の脆くなった理性のほとんどをかき消した。
「ロール、シャッハ、さん」
遂に己の欲求を抑えきれなくなった夢主は、まずは側にあるズボンの布地を控えめに摘んだ。
「……」
「……」
その手は微かに震えていた。俯いた顔を上げ彼と目を合わせれば、もう後戻りはできないかもしれない。
「やっぱり先に戻る。放せ」
「…はい」
冷たい一言により厳しい現実に呆気無く引き戻され、ロールシャッハは足早に危険を回避して行ってしまった。
次の日。明らかに様子のおかしい夢主をヒカルとジェシカが気遣い理由を尋ねるも、本人は何でもないと首を横に振るだけ。パートナーもそっぽを向く。何でもないことは無いと直感したジェシカはもう一踏ん張りするが、この別荘の持ち主トニー・スタークによってそれは阻止された。
もうちょっと積極的ver.→